「('、3_ヽ)_」<チーン
「し、死んでる……」
「今は死なせておいてあげた方がいい。正気に戻ったら本当に死にたくなるだろうから」
「……でしょうね」
応接室のソファーの上に寝かせられた妹は、何とも言えない表情でそこに横たわっている。
先程までの狂乱の残滓は既に見えないが……うん、だからといって彼女の記憶の中からもそれが消えているか、と言われれば否なわけで。
そりゃまぁ、TASさんもそのまま寝させておいた方がいい、なんて殊勝?なことを言い出すというものである。
「なんだか含みのある言い方だね?」
「いやねぇ、普段のTASさんなら特殊な状態にある相手とか、そこから引き出せる特殊な反応を調べるために弄り回すのが常と言うか……」
「お姉さんは失礼。そんなの良くない結果しか出てこないから早々に利用を諦めたに決まってる」
「なるほど流石のTASさんもそこまで外道じゃ
折角居ない間に人道でも学んだのかな?……なんて思ったのにこれだよ!
まぁでも死ななきゃ
……ともかく。
寝かせたままの方がいいのであれば、妹に関しては暫く放っておくのがベストだろう。
ってなわけで、改めて話を聞くために場所を移動。
人数が居ても特に問題のない場所、ということで食堂を選択しそこに集った私達は、ここ最近出掛けていた彼女達が何を目的に動いていたのか、ということを尋ねたのであった。
「と言っても、そこまで難しいことはしていませんの」
「そうなの?」
「ええ。やっていたことは単純、向こうのTASさんが仕掛けた仕掛けを探す……。言葉にしてみればそんな単純な行動でしたから」
「TASさんの仕掛け……?」
「ちゃんと向こうの、って付けておいてほしい」
「そこ気にするとこなんだ……」
あれか、よっぽど混同して欲しくないことでもやってるのか。
珍しいくらいにムッとした顔をしているTASさんの様子からそんなことを感じつつ、その仕掛けとやらについて詳しく聞いた私達はというと。
「( ᐛ )」(宇宙猫)
「(; ゚д゚)」(マジかよ、という顔)
「( ; -ω-)a゙」(反応に困っている顔)
……とまぁそんな感じで、三者三様の困惑顔を晒す羽目になったのであった。
いやだって、ねぇ?
「……え、マジで言ってるのAUTOさん?」
「真面目な話ですわ」
「本気なのTASさん」
「残念だけど事実」
「いやだって、いやだってさぁ……」
二人の返答に、思わず顔を両手で覆ってしまう。
だってさぁ、それが本当なら……。
「こっぴどくフられたのを見た結果『そうだ、女性化したお兄さんならきっと噛み合うはず』だなんて論理の飛躍を起こしたとか……TASさんにあるまじき失態では!?」
(そうとも言い切れないのがお姉さん……もといお兄さんだとは言わないでおく)
(恋愛ごとに関して、無意識に除外ないしスルーしている節がありますものね、こちらのこの方は)
よもやである、向こうの俺がMODさんにこっぴどくフられて壊れた()結果、それをなんとかしてあげようと向こうのTASさんが思い付いたのが(並行世界の)同一人物ならフられないんじゃないか?
でも初めから異性だとやっぱり上手く行かないかもしれないから、途中で性転換させた相手なら元々同性であることもあって変に嫌がられることもないんじゃないかと判断した……とか。
いや、性転換ものの読みすぎだよ、なんてツッコミしか出てこないんだけど!?
しかも自分CPとな?業が深ぇよいくらなんでも!?
ツッコミのしすぎで肩で息をするような形になってしまったが……それも無理のない話。
冷静に考えれば絶対に選ばないような選択をあのTASさんが取っている、という時点で驚愕なのだ。
内容如何の前に問題まみれなのに、当の問題自体代入する数字からしてミスってるんだからツッコまざるをえまい。
「でもまぁ、多少気持ちはわからないでもない」
「嘘だぁ!?」
「話は最後まで聞いて。……貴方は向こうの自分がフられたのがMODだけだと思っているけれど──」
「え、待って止めて?その引きはいやな予感がする!凄まじくいやな予感がする!!」
「──MOD以外にも告って撃沈してる。それはもう見事なまでの大撃沈」
「やっぱりー!!?」
そりゃ壊れるわ向こうの俺!
変な勘違いした挙げ句告って撃沈?完全にダメな中年ムーヴやんけ!いや私まだ中年じゃないけどね!?
でもまぁ、これで向こうの俺が何言ってるのか把握できなかった理由もなんとなく理解できた。
ともすれば複数回に渡って撃沈、うまく行ったはずの相手も後から「やっぱダメだった」とばかりに切られる……。
うん、他人事ながら背筋の寒くなる有り様である()
(あとはまぁ、そんなお兄さんがこっちのお兄さんを見たら余計に発狂する、みたいな話もなくはないけど)
(その辺は迂闊に知らせるわけにもいきませんわね。確実に骨肉の争いになりますから)
(そういう意味では
なんだか生暖かい視線を向けてくる二人を横目に、私は頭を抱えているのであった──。