うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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やだ、向こうの俺悲しすぎ……?

 フられた結果バーサーカーになってるとか、向こうの俺悲しすぎるだろう……。

 もしかしてそういう同情を買うことすら前提にしてるのか……?

 そんな思考が脳裏を埋める今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?私は元気じゃないです。

 

 ……いやマジで。

 何が悲しくて向こうの俺の恋愛遍歴を聞かされねばならんのか、それも大失敗してるやつ。

 挙げ句の果てにその傷心を癒す目的で向こうのTASさんが思い付いたのが、並行世界の自分自身とのカップリングとか……情けなさすら湧いてくるわ私……。

 

 

「でも実際、それが良案だと思うくらいにメンタルぼこぼこになってるのが向こうのお兄さん。それはもう真っ先に飛び降りることを選ばなかったのが不思議な位のレベル」

「そっかーその域かー……でもまぁ、普段から顔合わせてる相手に告白とかして断られるとか、そりゃ次の日以降気まずいどころの話でもないわな……」

 

 

 下手すりゃ村八分である。

 ……まさに針の筵状態、仮に私が同じ状況に放り込まれたのならまず間違いなく自決するだろう。

 

 しかし、こうなってくると気になるのが、向こうの不思議さんの言動。

 あれ、彼女の認知では二人の関係は上手く行ってる、みたいな感じに聞こえたんだけど……?

 

 

「その辺は多方面に複雑骨折してる」

「はい?複雑骨折?」

「そう。実は向こうのMODは近々例の国の女王に就任することが決まっていた」

なんかいきなりぶっ込まれたんだけど!?

 

 

 その疑問に対してTASさんが提示した回答は、上手く行ってたんだけど外的要因でダメになった、という微妙に良く聞くような理由なのであった。

 あれだ、実際には心は離れてないけど、様々な事情から離れるより他ない……みたいな、恋愛ものでよくあるやつ。

 

 具体的に言うと、こっちの世界のMODさんと同じく、向こうのMODさんもとある小国の王族の血を継いでいるらしく。

 そこから色々あった結果、向こうではMODさんに王位継承権が回ってくる自体に陥ってしまったらしい。

 

 こっちでは当の小国は王政が終わり、継承権云々の話は何処かへ行ってしまったみたいだけど……向こうだとわりと煮詰まってしまったというか?

 結果、彼女と付き合う=その小国の王になる、という因果が発生し流石に向こうの俺にそれは荷が重い、とMODさんが離れる決心を抱くきっかけになったとか。

 

 向こうの不思議さんがその辺の話を知らなかったのは、小国からの連絡などを全てMODさんのみが受け取っていたため。

 彼女には何も告げず、一人で小国に向かうことを決めていたとかなんとか。

 ……うん、こっちでも向こうでも一人で抱え込むの変わんないのね、MODさんってば。

 

 

「あとはまぁ、向こうのお兄さんが『王になる』みたいな話に尻込みしそう、みたいなところもあるとかなんとか」

「あれおかしいな?ちょっと前まで悲恋の空気だったのに単に向こうの俺が情けないだけ、みたいな話に変わってきたぞー???」

 

 

 短い間に話が反転しすぎでは?

 ……まぁ、TASさんが言うにはそれも仕方のない話らしいが。

 こっちに来た俺は滅茶苦茶やってたけど、それもみんなにフられてやけくそになり限界を越えたためにできたことで、それより以前はスペック的に今の私よりも下、みたいな感じだったらしいし。

 

 

「今の私より下ってそれ最早歩けば死が見えるレベルでは?」

「そう。だからこそ荷が重いと思われてた」

「説得力が違いすぎる……」

 

 

 自分の命も満足に守れないのに、どうして国というさらに大きな物の命を守れようか、ということか。

 ……まぁともかく、向こうのMODさんに頼りないって思われてしまったことは間違いないらしい。

 

 

「……ん?いや待った、今のあっちの俺ってその辺パワーアップしてるんだよね?例えきっかけがやけくそ自暴自棄だとしても、実際にあの動きができるんなら少なくとも今の私より遥かに頑丈だろうし」

「そう。さらにはこれから起こることによってメンタル的にも鍛え上げられる予定」

「へ?」

 

 

 そこで再度脳裏を過る、私達を追い掛けてきた時の向こうの俺の挙動。

 流石にあれを真似しろと言われたら困るというか、なんなら並みの追撃者なら一人で撃退できそうな域に達していたというか……?

 

 そんな疑問を私が抱くことは折り込み済みだったようで、小さく頷いたTASさんはこの事件の本当の目的を──向こうのTASさんがやろうとしていることの詳細を説明してくれたのだった。

 

 

「これから向こうのお兄さんは貴方に告白をしにくる。そしてこっぴどく振られて一つ大人になる」

なにその地獄みたいな展開!?

「その準備段階として、貴方の妹の欲望を少々暴走させていた。あれを体験することにより、貴方に『女って怖い』と思わせるのが目的……と、向こうの私は向こうの貴方に説明しているはず。けどだからといって貴方が向こうの貴方を好きになるとは限らない、ゆえにそこでごにょごにょ(乱数調整)すると向こうのお兄さんは真実の愛と、それを貫くための強さに目覚める」<ドヤッ

「やべぇ、何一つ言ってることが理解できない()」

 

 

 いやマジで、何が何で何なんですそれ?

 困惑した私はAUTOさんに助けを求めるも、彼女はそれ以上説明のしようがない、とばかりに肩を竦めていたのだった。

 

 ……私にどういう反応を求めてるんだ今回の一件は???

 

 

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