うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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改めて、フラットな妹との対峙

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

「……頭を抱えながらごろごろ転がってるっすね。どうしたんっすかこの人」

「洗脳されてるようなものとはいえ、その間の記憶が無いわけでもないから……」

「ああなるほど、その時の自身の言動を振り返って悶絶しているってわけっすね……」

 

 

 ある意味黒歴史、ってやつっすねー……と遠い目をする同人ちゃんを横目に、改めて地面を転がっている少女に視線を向ける俺。

 ……うん、特に捻りもなくうちの妹なんだけど。その発する言葉全てに濁音符が付いてそうな叫びに、思わず苦笑せざるを得ない俺である。

 いや、こっちとしてはその痴態に関しては忘れる、って決めてたんだけどね?

 こっちが忘れようと、向こうがそれを受け入れないのなら問題外なんですわ()

 

 それも単なる黒歴史じゃなくて、隠してた性癖の大暴露とかいう誰が受けても即死級のやつ。

 ……転がり回るだけで済んでるなら寧ろマシな方というか。

 いやまぁ、まだ中学生なんだしそこまで酷いことになってるわけじゃあないのかもだけれど。

 

 

どこがですか!?あんな、あんなものが私の、私の隠していた……!?」

「この話の面倒臭いところは、あれは増幅されたものだってこと。──火種がないわけじゃないけど、気付かなければ鎮火していたかもしれない。成長の過程で忘れていたかもしれない。そんな小さな灯火が、こうして自身の目の前に現れてしまったということ自体が火を育てる糧になってしまうところ」

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛

「なんで追い討ちかけてるのTASさん……」

「それもまた青春の痛みだから」<フンス

「なんか良いこと言ってごまかそうとしてない???」

 

 

 いやまぁ、ここで失敗しておけば寧ろ後々同じような展開を余所でせずに済む……みたいな気遣いをTASさん風に言い直しただけなんだろうけども。

 でもなんというか、仮にも友達相手に向ける言葉じゃなくない?……って疑問も湧いてくるというか……。

 

 ……ともかく。

 あの時の妹の発言は丸っきり嘘というわけではない。

 ないのだが、それを本心と言い張るには彼女の中を締める割合が低すぎた。

 それだけで終わればよかったのだけれど、割合が低くても本心である以上はそれに気付いたことによる補正が生まれるのも仕方のない話。

 

 結果、こうして妹はごろごろ転がる羽目になっている、と。

 ……一応、そうして転がっているうちに気が済むというか、立ち直るきっかけになるみたいなことをAUTOさん以下数名が述べていたため、一先ず放置しておくのがよいのだろうけど……。

 

 

「……うん、目の前で転がられてるとなんというか、ねぇ」

「ふむ。じゃあお兄さんがなんとかする?」

「はい?」

 

 

 自分の家でやってるならともかく、今妹が居るのって俺の部屋なんだよなぁ……。

 なんでわざわざここで転がってるんだ、多分ここに来た理由自体は俺とか他の迷惑かけた相手に謝りに来た、とかそういう話なんだろうけども。

 でもほら、その結果自分の傷を開く羽目になってるんなら、別に謝罪とかその辺は全部後回しにして回復に努めた方が良かったんじゃないかなーと思うわけでして……。

 

 そんな感じのことを思っていたところ、TASさんがぽんっと肩に手を置いてきたのだが……いや、何その笑み、ってアーッ!?

 

 

「(」゚ロ゚)」

「……なんでこんなことに」

 

 

 ……はい、なんでか再び女にさせられた挙げ句、妹を膝枕で寝させることになった私です。

 TASさんは一体私達をどうしたいんです???

 

 

「お兄さんがお姉さんになることはこれからもある。すなわち彼女が貴方と顔を合わせる機会もきっとある。それなのに変な遠慮とかされても困る。つまり、彼女も一回フられた方がいい」

「鬼か貴様……」

 

 

 ええとつまり?

 癖と言っても思春期特有の一時の気の迷いであることも多く、それを引き摺り続けた方が後々とんでもないことになりかねないので、ここでそれは単なる気の迷いなんだと切り捨てた方がいい、みたいな話だと?

 ……そのために再び私になる必要があるというのはわかるが、それが何故こうして妹を膝枕する結果に繋がるというのか……。

 

 え?一般的な愛じゃなく家族愛であることを自覚するため?

 これ本当にその辺り自覚できる?変に拗らせない???

 

 いやまぁ、TASさんが言ってるんだからその辺はきっと考慮した上での話なんだとは思うけども。

 そんなわけで、暫くフリーズした妹を膝枕しつつ、日頃の感謝も含めその頭を撫でるなどしていた私なのですが。

 

 

「……その、御姉様。また泊まりに来ても宜しいでしょうか?」

「──んん?」

「兄と貴方は別物……ええ、そういうことなのですね?私は御姉様を敬愛すればいいのですね?」

「────んんんん????」

「ごめん、ちょっと調整失敗した、てへ」

「てへじゃないが??????」

 

 

 話が終わった結果、そこに鎮座していたのは女子校で歳上の相手に恋慕混じりの敬愛を抱く後輩……みたいなことになった妹の姿なのであった。

 ……いやこれ、なんか変な方に拗れてない?

 解決してるとは言えなくない???

 

 

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