はてさて、話が途中で遮られてしまったので、前回の続きから。
確か日本被れさんに課せられるだろう制限についての話だったはずだけど……。
「ええと、ピクニック行った時にゾンビに噛まれないように、みたいな制限受けてたんだっけ?今回も同じような感じで、日本被れさんはこの洞窟内での怪我禁止ね」
「縛りがヨリ凶悪にナッテいるんデスけど!?」
「しゃーない。日本被れさんのそれは超回復の類いだけど、ここで怪我なんかした日には大暴走すること間違いなしだし」
「一体どうなるんデスか私!?」
とりあえず、彼女に関しては能力の起動しかねない行動厳禁、ということになる。
いわゆるノーダメージクリア強要、ということになるわけだが……確かに、単にゾンビに気を付けていればよかった()前回と比べると、遥かに難易度が上がっているのは間違いないだろう。
とはいえそれも仕方のない話。
これまでの話を聞いていればなんとなく予想は付くかと思うが、この世界──。
「能力の加減が難しいぃ?」
「まったく使えないってわけじゃなさそうだから、こっちが正解だよねというか?」
彼女達の能力に強く作用する何かがある世界、ということになるのだから。
着目すべきはROUTEさんの症状。
見える
「おかしいって、何がさ?」
「選択肢って形になってる時点で、本来選り分けられてるはずなんだから、それが闇雲に増えるってのが変なんだよ」
「……なるほど?」
彼女のそれは、これから起こりうる未来を選択肢という形で可視化するもの。
そしてそれは、TASさんが若干羨ましそうにしていることからわかる通り、特に意識せずして未来を取捨選択しているのである。
……いまいちわかりにくいと思うのでもう少し説明すると、本来物事における最小の択というのは『二択』、選ぶか選ばないかの二つに一つ。
とはいえこれだと選択肢とは呼べないため、もう少し複雑な条件付けがされることとなる。
この際、TASさんの場合ならあらゆる択を全て並べた上で一つを選ぶ、という形になるのだけれど。
ROUTEさんの場合、本人が選ぶ前からある程度条件付けされた状態で択の束が配られる……みたいな仕様になっているのである。
「例えば特定のルートを選ぶと戦う羽目になるボスがいるとして、TASさんの場合そいつと戦いたくないならそれに会わないルートを、逆に戦いたいのならそれに会うルートを自分で選ぶ必要があるけど。ROUTEさんの場合、端から戦わない方がいい相手ならそれと出会う選択肢が出てこないし、逆に戦った方がいいなら出会う選択肢しか出てこないってわけ。本人がそれを望もうが望むまいがね」
「……自分以外の誰かが判断してくれてるってこと?」
「まぁ、端的に言うとそんな感じ。能力そのものが取捨選択してるって形になるから、ちょっと違和感あるけどね」
「ふぅん?」
まぁともかく、能力側が本人に負担を掛けないように気を遣ってくれている、とでも思っておくのが丁度いいだろう。
だからこそ、
「あ、なるほど。取捨選択してくれてない、ってことになるもんねそれ」
「そういうこと。……まぁ、正確には多分もうちょっとややこしいんじゃないかとは思うけど、ともかくいつもは本人に気を遣ってくれてる能力が今回は無茶苦茶してる、ってなったら疑うべき二つ。内的要因か外的要因かってこと」
「なるほどー」
本人の調子が悪いか、周囲に調子を狂わせる何かがあるか。
……能力の暴走要因なんて大抵そのどちらかで、直前までなんともなかったことを思えば場所由来──外的要因だと判断するのが普通だろう。
結果、この地下世界では彼女達の能力は暴走を引き起こす可能性が高く、ゆえにまともに運用することは不可能に近いということになる、と。
……え?TASさんはどうなのかって?
「さっきも言ったけど、状況的には『
「いつもの一億倍くらい慎重に動けばいい。簡単簡単」
「ええ……?」
ご覧の通り、寧ろ特訓としては慣れ親しんでいるものに近いので特に問題はないみたいです()
……精密操作性を求められるわけだから、寧ろ彼女にはお茶の子さいさいというか?
あと、その関係上AUTOさんも
……まぁ、彼女の場合精密操作は最初からこなせていたこともあり、TASさんに比べてもなお上回るような超繊細な動きが要求される可能性大となって、そもそものラーニング先を見付けることが困難になっている……っていう、別方向の問題があるわけなのだが。
ともあれ、一朝一夕でなんとかなるような制限でないことは事実。
ゆえに、能力者なのに実質能力抜きでこの世界を戦い抜かねばならない、なんて事態に陥った不思議ガールズ達なのでありました。
……まぁ、こういう時のために生身での訓練を受けさせられてた、っていう面もあるわけなんだが。