うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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蜘蛛の子を散らすが如く

「ええい潰せ潰せぃ!この大きさなら踏めば潰せる!」

「きゅ、急にそんなこと言われましても!す、すばしっこい!()()()()を思い出す動きで嫌悪感が酷いですわ!?」

「飛ばないだけマシって感じだぁ……」

 

 

 はてさて、地面に転がした素材のうち、大体四分の一くらいが周囲に逃げ出したわけなのだけれど。

 ……うん、今しがたAUTOさんも言ったように、異様に素早いでやんのこいつら。

 具体的には、家で見かけると大抵の人が叫ぶ羽目になる黒いアイツみたいな速度、というか。ぶっちゃけキモい()

 

 そのため、踏めば壊せるものの微妙に踏みたくなくなる、という何とも言えない忌避感が発生していたのであった。

 ……絶対こいつ異世界厄介だわ。

 

 

「ていていていてい」

「あとTASさんが欠片も容赦ない件について」

「足が早すぎてこっちはこっちでキモい……」

 

 

 なお、TASさんはTASさんで相変わらずであった。

 TASさんだから仕方ないね()

 

 

 

 

 

 

「結局大半に逃げられてしまった……」

「そしてまったく動かない素材だけが残った、と」

 

 

 はい。……はいじゃないよ!

 ともあれ、逃げ出した素材達の大半はそのまま方々に散ってしまい、何処に行ったのかはまるで不明。

 そうして、物言わぬ素材達は変わらず地面に転がっている状態、ということになるのであった。

 

 

「……まぁ、こいつらが本当にただの素材なのか、ってのを今から検証しないといけないわけだけど」

「ああ、擬態してる可能性……ってわけか……」

 

 

 無論、それで話は終わり……というわけでもない。

 今現在特に動きもせずに転がっている素材達だが、本当に彼らが単なる素材なのか、というのは単純に見ただけでは判別しきれないからだ。

 

 例えばダンゴ虫のように、外敵から身を守るために守りを固める……みたいな方向で自己の保護を行っている可能性もあるわけだし。

 ってなわけで、である。

 

 

「そぉい!」

「なんだか勿体ない気がして来ますね……えいっ」

 

 

 少々思うところがなくもないが、涙を呑んで()素材の検分再開である。

 やり方は至って単純、さっき逃げ出した素材達に対処した時と同じように、普通に踏んで砕く……である。

 

 単純な素材相手なら、さっきの逃げ出したのと同じように砕けるだけだが。

 もし仮に、相手が守りを固めてやり過ごそうとしている類いのものならば……最悪、壊れることなく俺達が上に乗れる、みたいな感じになってもおかしくはない。

 

 そんなわけで、みんなで手分けして素材を踏む作業が開始された、というわけである。

 ……微妙に勿体ない気がしてくるものの、さっきの素材みたいに異世界厄介が混じっているのであれば、結局単なる素材として向こうに持って帰ることはできないので、その辺は妥協というか?

 

 

「彼らを生きたまま移動させることはできない。そして素材の死というのは一般的には定義ができない。これはとても難しい問題」

「まるで特定外来生物のような扱い……」

 

 

 いやまぁ、ある意味それで間違ってはないんだけども。

 ……ともあれ、彼らを持っていくには一度粉々にするしかない、というのは本当のこと。

 最悪粉にしたあと再度四角に固めればいい、というTASさんの鶴の一声により、この無茶苦茶な作戦は決行されたわけである。

 

 

「なので遠慮はいらねぇ!皆の者踊れー!」

「タップダンス、ってか?……いやそれだとTASのがマシンガンになるか」

 

 

 そんなわけで、足でやる音ゲーなりタップダンスなり地団駄なり、各々の好みのテンションでやってくれ……的なノリになったのだが。

 これが中々、やってるうちにちょっと楽しくなってきたというか?

 

 仮にも素材として定義されたものを、一度そうとは思えない状態にまで砕くこの作業。

 単純ゆえに奥深く、単純ゆえに意外と熱中する……というか。

 見てみろよTASさんを、すっかり気分はアクションゲー、かつ連続撃破スコア獲得のテンションである。

 

 マシンガン扱いも宜なるかな、砕かれた素材達は砂塵となって舞い上がり、なんなら周囲を咳き込ませるレベルである。

 ……流石にそれは迷惑かつやり過ぎなので、ほどほどに抑えるよう注意する俺である。

 

 

「むぅ、お兄さんは気合いが足りない。他の人達もだけど、砂煙くらいこうして吸い込まないように束ねるくらいはして欲しい」

「なるほど束ねるのかー。……束ねるって何!?

「ん」

まるで何処ぞ忍者漫画みたいなことになってる!?

 

 

 自分の道は曲げないタイプの忍者が得意そうな見た目になってる!?

 ……空気の流れを制御し、渦を巻くように一所に固まっている砂煙達。

 野球ボール大にまで圧縮されたそれは、恐らく投げ付ければ結構な破壊をもたらすに違いあるまい。

 

 なお、見た目の奇っ怪さも大概ではあるが、何より恐ろしいのはこれが()()()()()()()()()、ということ。

 ……え、これ頑張れば普通の人にもできるんです……?本当に……?

 

 そんな困惑が胸裏を締める中、TASさんはフッとこちらに微笑みかけながらこう告げたのであった。

 

 

「掘削作業の効率化のためにも覚えてね」

「……マジかー」

 

 

 ドリル代わりと仰る???

 思わず俺が白目を剥いたのは言うまでもあるまい──()

 

 

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