うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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見ただけでわかるほど世の中甘くない

「うおー!乱舞じゃ乱舞ー!!」

「それって単なる乱れ引っ掻きでは?」

「そういうつれないこと言うなよ……」

 

 

 これでも結構頑張ってるんやで俺……。

 もうちょっと労ってくれてもええんとちゃうか?

 

 とまぁ、ちょっとした小話を挟みつつ、変わらず壁を削っている俺である。

 隣のCHEATちゃんは変わらず俺の行動を観察しているものの、あまり身になっている様子はなさげであった()

 相変わらず取っ掛かりも見付かってないみたいだからね、仕方ないね。

 

 

「見稽古って言っても限度があるでしょ、っていうか?」

「寧ろ、見ただけである程度物事を習熟できるってことの方が凄いというか……」

「それもそうかー」

 

 

 幾ら見ればわかると言っても、限度があるというか。

 それが一般的な勉強ではなく、まったく未知の技術であるならばなおのこと。

 寧ろそれだけのことでも取っ掛かりがある、という方が流石なんじゃないかと言うべきじゃなかろうか?

 

 ……とまぁ、改めて不思議ガールズの能力の高さに感嘆しつつ、現在それがまったく発揮できないことに嘆息する次第である()

 

 ともあれ、だ。

 こうして穴を掘り始めて早数十分。

 作業そのものはこなれてきたものの、それゆえに寧ろ集中力が切れ始めているような気がする、という感じなわけで。

 

 できることなら一度誰かに作業を変わってほしい・息を整えて集中力を再度高めたい……みたいな状態なんだけど、生憎それを行うには現状TASさんに頼み込むしかない。

 無論、その主張が通るかというのは……ここまでのやり取りを見ていれば理解できるはず。

 

 結果、段々と効率が悪くなってきたなぁ、ということをひしひしと実感する次第である()

 

 

「……道具を使ってやってるんだったら、それを貸してあげれば終わる話なんだけどなぁ」

「それはそれで道具を使えるか、って話になるんだけどねー」

「ううん八方塞がり……」

 

 

 そういえばピッケルでのやり方も無理、って話だったね!

 というかそもそもピッケルだと変なの湧くから止めよう、って話だったしね!!

 

 ……何があれって、あれから何度かそれっぽいものを微塵切りにしてる感じがひしひしとしているのがね……(白目)

 いや、洞窟に擬態してる生き物ってなんやねん、普通に怖いわ。

 

 

「というかそもそもの話、粉微塵になっても血が出たりしないのも大概意味不明だわ。いやお前ら生き物ちゃうんかい、みたいな」

「それはそれで、穴を掘る度血塗れになるってことだから寧ろ違ってよかった、って話じゃないの?」

「……うーん」

 

 

 TASさんの言うところによれば、あの不思議生物は土そのものが生きているというよりは、土の塊に何か形のないモノがとり憑いている、というのが正解であるとのこと。

 

 ……まさかの幽霊かよって感じだが、ともあれ立方体を好んで入り込むらしい、というのは間違いないのだそうな。

 だったら穴を掘る度削り飛ばしてるのはなんなんだ、って感じだが……それはそれで、再び立方体を切り出してくれないかなーと岩の中で待っている奴等である、とかなんとか。

 もうやだこの洞窟()

 

 なお、この辺りの情報はTASさんではなく、岩肌に頭を突っ込んで中身を確認したスタンドさんからの情報である。

 

 

(わし)の姿を見れば大抵の低級霊は逃げ出すものなのだが……ううむ、意外と格が高いのかはたまたそういう感覚からは遠い存在なのか……』

 

 

 とはスタンドさんの言。

 ……うん、逃げてくれるんなら寧ろピッケル復活、作業効率回復って話になるんだけどね……。

 

 まぁ、言っても仕方のない話である。

 寧ろスタンドさんが特に問題無さげに動けていることの方を驚くべき、というか?

 

 そう、驚き。

 DMさんにすら制限が掛かるこの世界において、どうやら彼女だけは特に縛りがないように思われるのだ。

 本人は『基本現世に影響を与えられない身だからやも』とか言っていたので、あくまで驚きをもたらすだけの話にしかならないのだが……。

 

 しかし、何やら引っかかるモノがあるのも事実。

 そんなわけで、彼女には俺とCHEATちゃんに同行して貰っている次第である。

 

 

『気になるとは言うが、具体的にはどう気になるのだ?』

「こう、単に体がないだけで本当に縛りから離れられるのかなぁというか?」

『……うむ?』

 

 

 時折壁に頭を突っ込み、中の様子を確認しているスタンドさん。

 彼女は奴らが変わらずそこらにいる、ということをその都度伝えてくれているわけなんだけども……。

 それはそれとして、彼女の存在自体に疑問を抱かずにはいられない俺である。

 ……いや、彼女が居ることがおかしいってんではなく、彼女だけ許されてるのがおかしい、って方向でね?

 

 言葉の綾っぽく聞こえる部分を訂正しつつ、一つ思ったことを提案してみる俺。

 もしそれが正しいのであれば、現状を解消する手段となりうるかもしれない……と伝えると、二人は興味深そうに俺の方に近付いてきて、続きを促してくる。

 

 それを見た俺は、彼女達にやってほしいことを伝え──マジかよ、みたいな眼差しを返されることになったのだった。

 ……よせやい、照れるだろ?()

 

 

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