「能力使えるようになったのはいいけど、多分これ私の成長には何の寄与もしてないよね!!?」
『ふははは、気にするな見稽古ならぬ型稽古だ!繰り返せばその内体が覚える!!』
「それ後で私が(筋肉痛とかで)痛い目を見るやつぅ!!」
「うわぁ」
思わずドン引きする俺の目の前で、行われているのは究極の破壊()であった。
いやね?普段のCHEATちゃんって、自分の一挙手一投足が世界をバグらせる可能性がある、ってことを重々承知した上で動いているものだから、結果として自重しまくりになってるのよね。
だからこう、やることなすこと微妙にスケールが小さかったりしていたのだが……今は別。
CHEATちゃんのポジションがある意味『能力を吐き出すだけのアイテム』みたいな扱いになってるせいで、常とは比較にならないほどの出力に跳ね上がっているのである。
日頃が携帯のライトなら、今の彼女はバッチバチの工事現場向けライトになってる感じ、というか。
なんというかこう、普段の彼女の自制心の強さを思い知らされる次第である。
……ってなわけで、蒼白な顔をしたCHEATちゃんが(スタンドさんの号令で)腕を振るう度、進行方向状の岩肌はガリッと抉り取られていく。
必然、そこで屯していた低級霊達もまとめて薙ぎ払われていくわけで……なんというかこう、わりと阿鼻叫喚の地獄絵図めいたことになっているというか?
「スタンドさんの憑依によって
『邪魔な木っ端共ごと吹っ飛ばせてハッピーハッピーだのう!ほれほれ逃げ惑え逃げ惑えその無様な姿が
「ねぇこれ本当に大丈夫なやつ!?私ちゃんと解放されるやつぅ!?」
「……ダメかもしんない」
「えーっ!?」
何より、スタンドさんの様子があからさまにおかしいのが()
見ろよあの顔、弱者を甚振ることに快感を覚えているかのような表情。
見る人が見たらぞくぞくしちゃうやつだね、間違いない()
……端的に言うと暴走しているとしか思えない状況。
改めて考えてみると、そりゃそうだってなる理由が一つあったりなかったり。
「それはー!?」
「ほら、冥界の神ってなんかこうイメージで悪い人として語られることあるじゃん?実際には契約とかに厳格なだけの神様であることが多いんだけど、なんというかこう『死』がイメージに関わるからか悪しきものとして語られやすいというか……」
「結論だけ言ってほしいんだけどー!?」
「じゃあ簡潔に。滅茶苦茶魔王要素が暴走してる()」
「バカー!!」
いやー、参った参った。
そういえばDMさんも迂闊に行動すると暴走するかも、って言ってたけど。
その理由って他の面々とは違って、場所との親和性の高さゆえのものだったんだよね。
言い換えると魔王として振る舞うとそれが肯定・補正される環境というか。
現在善性に傾いているとはいえ、無闇に振る舞えばあっという間に悪性に傾きかねない環境というべきか。
そりゃまぁ、そんなところで自分勝手に振る舞ってたら、あっという間に魔王に染まるわというか?
まぁ、わかっててもこれ以外の方法が思い付かなかった以上、試す以外の道はなかったんですけどね。
それにほら、実際に試すまではどうなるかはわからないというか?
なお、操り人形と化しているCHEATちゃんは半泣きで止めてくれと叫んでいた。
……うん、TASさん呼んでくるからそれまで待ってて欲しいなって。
「率直に言うけどお兄さんはバカなの?」
「返す言葉もない」
はてさて、頭にたんこぶを一つ生やした俺とスタンドさん。
無論やったのはTASさんであり、暴走を止められた形となったスタンドさんは平謝りしつつ、『……いやどうやって
……え?俺?疲労感が募ると判断力が鈍るよね、というか()
無論そんなこと言い出せばたんこぶがもう一つ増えるだけなので流石に口には出さないが、それもこれもTASさんの目標設定が高すぎるせいなので俺は謝らない(キリッ
「……まぁ、私がみんなのレベルを高く見積もってたことは確かだけど」
「……」<ピクッ
「そうだよー、TASさんの課題が難しすぎたんだよー。こんなのクリアできる人TASさん本人以外いねーよー」
「……」<ピクピクッ
「そうかもしれない。今度からはちゃんとみんなのレベルに合わせた課題を持ってくることにする。具体的には一分頑張ればできるくらいのやつ」
「キェアアアァァァァジョウトウダヤッテヤンヨコノクソガァァァァァッッッ!!!?」
『……
「はてさてなんのことやら」
なお、CHEATちゃんが普段から必要以上に自重していることも確かであるため、その辺をチクチク言葉で責め立てて見たところ、この通り奮起()してくれたので結果オーライである。
え、性格が悪い?知らんなぁ……。