「綺麗に凍り付いてやがる……」
「どういう原理なんですのあれ……」
「ん、熱を宇宙に捨てることで空気の温度を下げてる」
「原理はわかるけど、それを手元でやれる理由には何一つ繋がらねぇ!」
そんな特撮とかじゃあないんだから、生身で冷凍光線発射するのはやめて欲しいんだが……。
というわけで(?)、綺麗に凍り付いたブロックスライムに近付く俺達である。
危なくないのかと一瞬心配したものの、完全に凍り付いたスライムは微動だにすらしない。
……細かいブロックに分裂し直す気配すらない辺り、完全に静止してしまっている様子である。
「……瞬間凍結にもほどがないか?」
「頑張った」<フンス
「そっかーがんばったのかー」
……うん、もはや何も言うまい。
実際襲われてたのはこっちだし、いわゆる正当防衛で通るだろう、うん。
そんなわけで、改めて凍り付いたスライムの全身を眺めてみたわけなのだけれど……ブロックなのに柔らかい動きをしていたのが、再び硬い塊になっているのはなんというか酷い生命への冒涜を感じないでもない()
「わけのわからんこと言ってんなよ……しかし、これどうなってるんだ?死んでんのか?」
「いやー、もし洞窟で見掛けたのと同じなら、あくまでこの塊から中身が抜けたってだけで、その抜けた中身の方は周囲に居るんじゃないかなぁ?」
「ということは、これが溶けて柔らかくなったら普通に動き出す可能性もあるのか……」
とはいえこれ、さっきのやつと原理が同じなら動かなくなっただけで別に死んでるわけじゃあない、ってことになるんだよなぁ……。
だとするとこの固まったスライム部分、情け容赦なく粉々に砕いておいた方がいい、ってことになるんだよなぁ……。
そんなわけで、みんなで一方を──ギャル子さんの方に視線を向ける。
周囲からの期待するような眼差しを受けた彼女は、一つため息を吐いたあと仕方がないねとでも言うように頷いて、
「砕け散れぃ!!」
「やったー!ギャル子さんの一撃粉砕だー!」
その期待に答えるよう、一撃を以てスライムを粉々に打ち壊したのであった。
流石はギャル子さんのパンチだ!()
「それからも、色々な姿のブロック達が襲い掛かってきたわけなのですが……」
「でっかい鳥に始まり、でっかい猫・でっかい犬・でっかい恐竜……とかくバリエーションが豊かでしたな」
「組み替え式ブロックの面目躍如って感じだったねー」
はてさて、それからしばらくして。
絶えず襲ってきた合体ブロック達を(主にギャル子さんが)返り討ちにしてきたわけなのだけれど。
なんというかこう、組み換えればどんなものでも作れる……的なブロックの無限の可能性を見せ付けられた感がすごい。
鳥から始まって犬や猫、蛇や虫や恐竜などなど……できないものはなんにもないとばかりに様々な姿で襲い掛かってくるその根気には感服せざるを得ないだろう。
……まぁ、どんな姿になっても襲ってくるのは変わらなかった辺り、感服はするけどそれはそれって感じでもあったわけだが。
「狙われるのも基本ダミ子さんばっかりだったしねー」
「なんで私ばっかり狙われるんですぅ?」
「ダミーだから?」
「……あり得なくはなさそうなのがイヤですぅ」
なお、毎回毎回真っ先に狙われるのはダミ子さんであった。
それはもう、実は囚われのお姫様になることを世界に強いられているかの如く、彼女ばっかり狙われていたくらいである。
まぁ、どっちかというと彼女が目立ってたというだけの話のような気もするのだが。
「ん、そうじゃない。あれは明確にダミ子を狙ってた」
「……まさかとは思うけど、本当にダミーだからとか言わないよな?」
「ん、モザイクだからってのが正解」
「……お仲間だって思われてたってこと!?」
「ん」
「ええー……?」
なお、TASさんの言うところによれば、モザイク状態の彼女の顔が
より正確に言えば(魅力的な)異性に見えてた、みたいな?
……あれモテてたのか、と奇妙な納得を得た俺達である。
「まっったく嬉しくないですぅ!?」
「でしょうねー」
真実を知ったダミ子さんは、ご覧のように滅茶苦茶嫌がっていたわけだけども。
まぁうん、同族でもない相手から懸想されてたとか言われても、基本は嬉しくないよね……。
そんなわけなので、これからやってくるブロック組み換え生物達も、丁寧にお断りしていく方向で話は纏まったのでありましたとさ。
「ところで、この諸国行脚っていつまで続くんです?」
「いつまでと言われても……まだ回るとこあるよ?」
「マジかー」
で、話を戻して。
現状倒すべき相手を把握するため、こうして地下世界を回ってる俺達なわけだけど。
かれこれ数十分ほど歩いていることもあり、そろそろ何か進展があってもいいんじゃないかなー、なんて思っていたりしたのだけれども、TASさんから返ってきたのはまだまだ長いよ、との言葉。
……正直面倒臭さが増してきたんだけど、どうにかならんのやろうか?
そんな風な視線を向けるも、TASさんから返ってきたのはさぁ?とでも言いたげな反応なのであった。
……これ、結構な長丁場だな?