うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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数は力だよ姉御

「一応、我の能力で簡易的な無線機を作り、それにより方々に合図を送る……みたいなことはできると思うぞ?」

「その時は私に発言を任せて貰えれば、可能な限り周囲に届く声を出すことが可能かと」

「あーなるほど、まったく無理ってわけじゃあないのか……」

 

 

 今この場に居る面々の力を組み合わせれば、なんとか解決できなくもないくらいの難易度の話ではあるのか……。

 まぁ、そこまでお膳立てする時点で結構な苦行、って話でもあるのだが。

 

 何せ、外縁部を辿るだけでも結構な時間が掛かっているのである。

 一応このまま野宿に移行することもできるとはいえ、必要とされる調査時間は結構なモノとなるだろう。

 ……その間家に戻って休憩、みたいなことも容易にできないとなれば、そりゃまぁ顔も固くなるというものである。

 

 

「え、戻れないの?」

「よくよく考えてみるんだCHEATちゃん。……こっから戻るってことは、必ずあの洞窟を通らなけりゃならんのだぞ?」

「あっ」

 

 

 その発言に、不思議そうに首を傾げながらCHEATちゃんが疑問を溢して来たが……。

 よく考えてみて欲しい。そもそも前回家に戻った時、それをしてくれたのは誰だったのか。

 ……そうだねTASさんだね、一時セーブ的なノリの一時帰宅だったね。

 

 まぁ一応?TASさんの助力なしに戻ることも決して不可能ではないけどさ?

 その場合、あの洞窟を──みんなして能力使用不可になる場所を通らなければならない、ってことになるわけで。

 いやまぁ、俺がちまちまみんなを抱えて跳ぶ、なんて方法も無くはないんだけどね?それはそれとしてTASさんに言わずに戻った時に何を言われるか&何をペナルティにされるか、という話に派生するというか。

 

 ともかく、現状において一旦家に戻る、というのは不可能な選択肢であることは間違いないだろう。

 ここからTASさんに変わって、一時離脱ゲート的なモノを作れる人がいるなら別だが。

 

 

「いやいや無理無理。ただでさえTASの真似事ってなると神経使うのに、こんなろくに能力の出力も上げられないような環境じゃあ失敗するのが関の山だよ」

「ですわよねぇ……」

 

 

 それが出来そうな唯一の人物、CHEATちゃんはこの通り。

 ……となれば、TASさんを生け贄に差し出した以上、こちらは事態解決まで頑張ってサバイバルするしかない、ということになるのであった。

 

 

「……結局は合宿のようなことになってしまうんですのね……」

「そういえばそうか……」

 

 

 ……やっぱりこれTASさんの策略なんじゃないかな?

 思わずそんな世迷い言を呟いてしまう俺達なのであった……。

 

 

 

・A・

 

 

 

 ──はたして、そんな会話から何日経過したのか。

 地下世界にてサバイバルを開始した俺達は、それはもう獅子奮迅の活躍と奇々怪々な冒険活劇を体験してきたわけで。

 

 

「とりあえずあの山を確認してみるか」

 

 

 などと東の山に登ってみれば、

 

 

「ウワーッ!?ブロッククマだー!?」

「嘘だ滅茶苦茶速っ……制御しきれずに谷底に落ちてったー?!」

「欠陥生物かよ!?」

 

 

 大挙してやってきたクマが、残らず谷底に落ちていく様を目撃したり。

 

 

「この湖の底……気になりますわね」

 

 

 などと西の湖に潜ってみれば、

 

 

「……ええと、なんで水底にお城が?」

「竜宮城と書いてありますわね……」

「あまりにも古典的過ぎる……」

 

 

 鯛や平目が舞い踊る城にて入手した箱を迷わずその場開封、出てきた煙に当たらないようにしながら脱出劇を繰り広げたり。

 

 

「うーん、典型的な街……ブロックで作られた世界らしい風景だ……」

 

 

 などと北の街に足を運んでみれば、

 

 

「意外と文化的だ……」

「テレビ的なモノに何やら映像が映っていますわね」

「……まったく読めんし意味もわからん」

 

 

 そこに文明の兆しを見た……。

 ような気がしたが、よくよく検分すると支離滅裂・意味があるとは到底思えないモノであることが判明したため、実のところ何かの模倣なのではないか、という予測を立てることになったり。

 

 などなど、まぁ色んな体験をしてきたわけなのである。

 その結果、わかったことが幾つかあった。

 

 

「あのヤシの木、量的に圧倒的なのかと思ってたけどそうでもなかったな」

「標高の高い山々が天然の防壁となって進行できない……みたいなことが幾つもありましたからね」

 

 

 その内の一つが、意外とヤシの木が侵攻に苦戦している、というもの。

 遅いながらも圧倒的な物量でこの世界を呑み込まんと進軍する彼らだが、その実そこまで圧倒的というわけではなさそうな感じだったのである。

 

 その理由の一つが、彼らの踏破性の低さ。

 あまりにも高低差が激しいと、そのトップヘビーな体型と髭根を足として動いていることが合わさって、普通に転げ落ちるのである。

 無論、それだけならまた立てばいいだけの話なのだが……前も言った通り、彼らは共食いもする性質を持つので……。

 

 

「転がって負傷したヤシの木は、他のヤシの木に群がられて食べられてしまう。そうしている内に先行していた他のヤシの木もまた落ちてくるので──」

「結果として先に進めない、と。……まぁ、山をちまちま食べて崩そうとしているのもいたから、永遠にそれが続くってわけでもないんだろうけど」

 

 

 このように、進んだ先から脱落していく結果に落ち着くと。

 ……一応、全部が全部そのミスを犯しているわけでもないので、その内突破されるのかもしれないが……そうして侵攻が留まっていることで、大半のブロック達が平和ボケみたいなことになっているのは注目すべき部分だと思われる。

 

 

「となると……やっぱりあの作戦か」

「そうなりますね。……明日からその方向で動きましょう」

 

 

 すっかり野宿にも慣れた俺達は、そんな風に情報交換をしながら夕食の時間を過ごしていたのであった──。

 

 

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