はてさて、情報共有を行った次の日。
俺達は二手に別れ、必要な工作を始めようとしていた。
その工作というのは、以前言っていた通信機的なモノの設置である。
具体的に言うと、空襲警報的なノリで平和ボケブロック達に恐慌を引き起こそうとしてる、って感じになるのだろうか?
「見てる感じ、避難訓練みたいなものをしている時があるんだよね。だからまぁ、内陸部の奴らもヤシの木の恐怖を完全に忘れてる、ってわけでもなさげというか」
「なので適当に一本市街地に投げ込むだけでも十分パニックを引き起こせる、というわけだな」
まぁ、上手く行くだろうなという確信とと共に、やってること完全にテロリストだよな……みたいな気分もなくはないのだが。
しかして相手は異世界厄介者、生半可な情けはこちらに不利益をもたらすばかりの存在。
となれば、情け容赦なく殲滅することこそ今求められていることなのである。
「にしても……何度見ても慣れぬな、この景色は」
「どうみても現代日本だからねぇ」
そんなことを言いながら、俺と成金君は路地を駆けていく。
──そう、路地。
ブロックで形作られているとはいえ、そこは紛れもなく路地裏なのである。
薄暗く、太陽の光もさほど入ってこない場所。
そういう場所であれば、俺達みたいに目立つ存在も姿を隠すことは容易、というか。
「それでもまぁ、このマントがなかったら路地裏に屯しているブロック達に不審な目で見られていただろうがな」
「いやホント、CHEATちゃん様々だわ」
「縫い方を見付けてきたAUTO殿にも、だな」
とはいえ、そこが路地裏であるのならば、必然日陰者達が生息しているということでもある。
表のブロック社会に馴染めず弾かれた半端者……。
そんな陰の者達は必然、余所者には厳しい。
その視線を回避させているのが、現在俺達が羽織っている特殊なマント。
フード付きのこれは、頭まですっぽり被ることで認識阻害効果を発揮し、路地に屯する半端者達と同じような──脛に傷のあるような姿に見せ掛けるのである。
結果、好意的でこそないものの、わざわざ突っ掛かってくるものもそう現れない……暗躍するには丁度いい塩梅になってくれているのであった。
まさに、必要な材料を指示してくれたCHEATちゃん、ならびにそれの作り方を閃いたAUTOさん様様、といった感じだ。
「……ところで、いい加減ツッコんでいいかな?」
「どうぞ?」
「俺達ブロック達の街にいるんだよね?なんかこう背徳の街とかそんな感じのハード&ボイルドな世界観に迷い込んだわけじゃないよね???」
「案ずるな、別に
「ですよねー!!?」
……と、ここまで話して流石に緊張が解けた。
いや、確かに潜入任務みたいなもんだけど、こんな仰々しい顔でやることじゃねーよ絶対これ?
確かに族滅上等みたいな話だけど、それにしたってそこまで悲観的になるようなもんでもないよ!
だってヤシの木の方はともかく、ブロックの中身の方は一纏めにして元の世界にポイっ、の予定だし!
「まぁ、ヤシの木の方は不明でも、ブロックの中身についてはほぼ判明したからなぁ……この数週間の調査で」
「逆にあのヤシの木はなんなんだよ……一体何処出身なんだよこえーよ……」
そう、潜入任務を続け、彼らの生態を調べ尽くした結果。
どうにも、ブロックの中身である霊達は明確に知っている場所からやってきたモノであることが判明したのである。
その場所というのが、何を隠そうサンタ達の世界。
……霊だ霊だと言っていたがどうやらこいつら、生物霊ではなく
「サンタの贈るプレゼントの雛型、子供達の望みに合わせて形を変えられるようにと作られた人工霊の類い……という見立てなのだったか?まぁ正直我としては唐突なサンタに困惑しきりだったわけだが」
「うちとサンタとの因縁は結構長いもんで……」
「それもよくわからんのだがなぁ……」
他の世界との繋がりは可能な限り排除したにも関わらず、それでも漏れ出る影響……となると、そもそも択がほとんどなかった、とも言える。
……わかりやすく言うならサンタ世界以外にこっちに影響を与える世界なんて早々ないというか?
そしてその事に気付いた時点で、このブロック達の中身がサンタに由来するものだろうと言うことには気付いて然るべきというか?
……まぁともかく、遠慮の必要がないとわかればこっちのもの。
入れ物を壊しても問題ないのは、そもそも贈り物としての属性を発揮できてないから。
こうして群れているのは、そもそも人に贈られるモノであることから人の世に詳しい必要があったから。
なんならダミ子さんを狙っていたのも、サンタの残り香に釣られてのことかもしれない。
……もし仮にそうだとすると、TASさんはその辺も考慮して動いていたのかもって話になったりもするが、そこに関しては流石TASさん、みたいな感じでいいと思う。
まぁ、そのせいで余計のことこのヤシの木なんなんだよ!感が強まってしまったのだが。
……あれか?実は夢を食べる存在の擬人化もとい擬
謎は深まるばかりだが、ともあれやるべきことは一つ。
贈り物の素材ならば丁寧に送り返す、それだけの話だ……と頷き合い、俺達は工作のために街を走り回るのであった……。