「まぁうん、そりゃ消えんよね……だって邪神はこっちの存在、端からあるものなんだもの……」
「土地を由来として発生したヤシの木もまた、というやつだな」
発生要因がこっちの世界由来なんだから、そりゃまぁセーブデータ消去じゃ消えないよな……というか。
そもその考え方に倣うのなら、彼らの存在はゲームデータそのものの方……ってことになるのだから、そりゃまぁ所詮は表面上のものだけ消す形になる方法じゃあ、解決できないのも当たり前の話ってなわけで。
……いやまぁ、そこをツッコむのなら『邪神が実在している』ってことにも触れるべきのような気もしないでもないけど。
ともかく、TASさんにまとめてドーンとして貰った場合、結局のところこの世界自体は消えないのでヤシの木達の発生要因だけが残り、最悪の場合こっちの世界に侵食してくる……なんてパターンもありうるわけで。
そうならないためにも、ここで大量発生している両者には共倒れして貰う必要がある……なんて話になるのでありましたとさ。
「しかしあれだな……」
「ん、何?」
「今回の話は異世界厄介者……もとい異世界出身の侵略的外来種の駆除、みたいな話だったのだろう?……結局全部身内みたいなモノだったのでは、という気分になってきてな」
「成金君、それ以上いけない」
そこまで話したところで、いい加減息も整え終えた成金君が神妙な顔で呟いたのだった。
……まぁ確かにね?
ブロックの中身がサンタ世界出身なら、ある意味ずーっと続いている因縁(?)によるものだからある種の自業自得感があるし。
ヤシの木に至っては、そもそもこちら出身の
……うん、外来種にしろ異世界云々にしろ、どっちの呼び方も欺瞞に過ぎるのは事実。
とはいえそこを指摘したところで何か益があるわけでもない。
いや寧ろ、変に責任を追及されそうなので良いことがないというか?
そんなわけなので、お偉い様方に倣って真実の隠蔽に走る俺なのでありましたとさ。
はてさて、あれこれ語ってるうちに休憩も終わり、再び設置作業に戻った俺達。
その甲斐もあって、街以外の場所にも必要数の装置を設置し終え、早々に拠点に戻ってきたのだけれど……。
「お帰りなさいませ。お食事にしますか?お風呂にしますか?それとも……」
「お風呂でー」
「もう、もう少しノリに付き合って欲しいのですけど」
「生憎それに付き合ってるといつまでも付き合わされそうなので……」
「……私のことをよくご存じのようですね!」
そこで俺達を待ち受けていたのは、暇すぎて新妻ごっこをし始めたDMさんの姿なのであった。
……いや、なんで新妻?
いやまぁ、一応思考の変遷を理解しようと思えばできなくもないのだ。
今回DMさんは外に出ることができない、すなわち拠点で待ってることしかできないわけで。
その状況を『家で主人を待つ妻』に見立てた結果が新妻ごっこだ、ということになるのだろう。
……うん、思考の変遷は理解できたけど、なんでそんなことしようと思ったの?……って部分はまったく理解できないわけで。
その辺諭した奴がいるんじゃなかろうな、と視線を横に向けてみると。
「はっはっはっ。流石に私がなんでもかんでも扇動すると思われるのは侵害ですねぇ」
「なるほど、ってことは自分は無関係だと?」
「滅茶苦茶関係してますが?」
「やっぱお前のせいじゃねぇか!!」
はい、そこでニコニコしてる新聞部君が諸悪の根源でした。やっぱりな()
そうして彼に詰め寄った俺に対して、新聞部君ははっはっはっ、と再び胡散臭い笑みを浮かべ。
「まぁ確かに私のせいですが、同時に必要なことだからこそやったというだけの話ですよ?」
「必要な話ぃー?何を以てこれが必要だと……」
「早急にストレス発散させないと身の危険を感じたもので」(真顔)
「あっ、その……ごめん」
わかって貰えればいいんです、と笑みを浮かべたままの新聞部君。
……先ほどと比べ、その笑みが何処と無く疲れて見えるのは俺の気のせいなのだろうか?
まぁうん、思い出して貰えればありがたいのだけれど。
新聞部君って巫覡とか言う『神の言葉を聞く役目を持つ人』にんだよね。
んで、現代では神の声が聞こえる人って貴重だから、その役目を持ってるだけで神に好かれやすくなるんだ、みたいな話もしたと思う。
……つまり、だ。
現状何もできず・させて貰えず閉じ込められているようなものであるDMさん。
そんな彼女が、巫覡である彼と──それも、現在最終調整のために忙しそうにしている彼と同じ空間にいるとして。
果たして、彼女を仕事に関わらせないように事を運ぶのは簡単なことだろうか?
まるで母のように『何か手伝うことはないですか?』と周囲をうろちょろする相手を無視し続けられるだろうか?
結果がこれ、矛先を逸らすことだったわけだ。
……現状DMさんと一緒にいる時間が長いのは彼とMODさんの二人。
MODさんは体よく逃れているのだろうが……やっていることの内容上隠れることもできない新聞部君はまぁ、DMさんからずっとターゲットされててもおかしくはあるまい。
そりゃまぁ、色々な面からDMさんに他のことを勧めるよなぁ、と思わず頷いてしまう俺達であった。
……まぁ、度を越えてなきゃいいかな、うん。