「ただいまデース!……あれ、辛気臭い顔シテどうしたんデス三人とも?」
「辛気臭い言うな。……とりあえずお帰り日本被れさん」
「ヘーイ!ただいまデース!」
そんな感じで三人固まって唸っていると、底抜けに明るい声が隠れ家内に響いた。
見れば、入り口から右手を挙げつつこっちに歩いてくる日本被れさんの姿が見える。
ついでに、疲れたとばかりに息を吐いているダミ子さんの姿も見えた。
……結果的にスタンドさんを憑依させ続ける羽目になったダミ子さんだが、その環境が長く続いたことによる変化は中々に目を見張るものであった。
そう、ダミ子さんの特技である変化()に、新しい形態が追加されたのである。その名も、邪神モード!
「止めてくださいですぅ!!その名前をTASさんに知られた日にはぁ、まず間違いなく血祭りにあげられる羽目になるですぅ!!」
『まぁまぁ、それはそれで邪神としては誉れかもしれんぞ?』
「絶対そんなことないですぅ!!っていうか邪神じゃないですぅぅっ!!」
この邪神モード、別に彼女が邪悪に染まるとかそういう話ではない。
じゃあどういう話なのかというと、スタンドさんによる憑依によって発生する効果を部分的なフィールドエフェクトに変換できるのである。
……わかりやすく言うと、霊的保護を個人ではなく周囲に対してのバリアーにまで拡大できる、みたいな感じになるだろうか?
まぁ要するに、ブロック達から無用に狙われる可能性が極端に減る、とだけ思って貰えればいいだろうか?
これを利用して、個人の能力で潜伏するのが難しいメンバーの補助をしている……というのが今のダミ子さんの状況なのであった。
……基本的にはサボり魔なダミ子さんだが、今回は引っ張りだこでそんな暇欠片もない、ってわけだ。
「休ませてくださいぃ~具体的には一月ほど何もしない状態でほっといてくださいぃ~」
「なるほど、それではその間本当に何もしないでも問題ないように私がお世話を……」
「あ、すみません冗談ですぅ。適度な労働は健康のためにも必要ですよねぇ」
(……わかりやすく逃げたのぅ)
まぁ、今回はDMさんが飢えに飢えているため、迂闊に休もうとすると酷いことになるのだが。
……でろっでろに溶けるまで甘やかされるのは流石に嫌なのか、手のひらを返したようにキリッとするダミ子さんなのであった。
話を戻して。
今回ダミ子さんは日本被れさんと一緒に行動していたのだが、じゃあ具体的に何をしていたのかというと……。
「とりあえずぅー、買い出しの成果デース!というかナンデこわなにレパートリー豊富なんでショーね?」
「さぁ?敢えて答えるなら、元がプレゼントになる前の要素の塊だから、求められたモノを用意するのは得意……みたいな感じ?」
「ナルホド?」
その答えは日本被れさんの左手、そこにぶら下げられたビニール袋の中身にあった。
彼女達が向かっていたのは俺達と同じ街……なのだが、目的はまったく別。
ダミ子さんの概念迷彩(?)によってブロック達に違和感を抱かれなくなった彼女達は、ブロック達の街にあるホームセンターなどの売店を回って必要なモノを買い集めていたのだった。
……まぁ、買い集めると言いつつ別に買ってはないのだが。
「カウンターで注文するとナンデも出てくる、って言うノハなんというか、随分ハイテクだなぁと思わなくもナイデスねー」
「実際にはプレゼントの無駄遣いなんだけどね」
「あとでサンタさんに請求されないか心配だな……」
根本的に彼らは生き物と言うには微妙であり、それゆえに生命活動の維持を気にすることがない。
その癖人間の生活を真似た施設やら行事やらを設定しているため、結果としてモノを
……まぁ、普通のブロック達は利用しないのでほぼ無用の長物と化しているのだが、ならば俺達が使っても問題ないよね、ってな感じで使わせて貰ってると。
この売店(?)、何が凄いって材料がブロック達の原料である『プレゼントの要素』であるため、頼めば何でも出てくるのである。
例えば鶏肉を頼めば鶏肉が出てくるし、野菜を頼めば名前が分からずとも脳裏に浮かんでいるモノを出してくれるのだ。
それだけでも大概凄いが、何より凄いのが『詳細に頼むとそれに合致したモノが出てくる』という点。
さっきの鶏肉で例えるなら、『食中毒にならない鶏肉』みたいに条件を付け加えるとそれに合致した素材が出てくるのである。
それを利用して、足りなくなってきた食材や必要な材料(金属以外)など、さまざまな物品を頼んでは貰って持って帰ってきているわけなのだった。
「……まぁ、相手を滅ぼす?のに相手のリソースを使うのは許されるのか、みたいなところはありますけどね」
「TASさんなら嬉々として使うからいいと思いまーす」
「彼女を持ち出すと何でもありになるんで止めましょうね???」
「アッハイ」
なお、やり方が汚いのでは?……みたいな意見も無くはなかったが、結局勝てばいいんだよ論法で押しきったことをついでに付け加えておきます。
……押しきれてるように見えない?さてねぇ。