はてさて、あれこれとトラブルはあったものの、ようやくROUTEさんが消息を絶った洞窟へと向けて移動を開始した俺達。
向かうのはここから南に三十キロほどの位置にある、スタート地点のそれと同規模くらいの洞窟である。
「同規模、ってイウのはどうやって調べたんデス?」
「新聞部君の勘」
「勘!?」
なお、この同規模というのはソナーとかで確認したわけではなく、あくまで新聞部君の勘であることを予め付け加えておく。
じゃないと後で文句言われちゃうからね、仕方ないね()
……いやまぁ、誰が文句を言うんだって話だが。
ともあれ、そんな感じで出発したわけなのだけれど。
「早速問題発生なんだなこれが」
「あれは……ヤシの木の大群ですぅ?」<ピギーッ?
「ナンデあんなに集まってるんでショウね?」
道中、早速の問題発生である。
というのも、洞窟に向かう途中の道で異様なほど集まったヤシの木の集団に出会したのだ。
まぁ、幸いダミ子さんに憑依中のスタンドさんのパワーにより、こっちの存在が彼らに露見したりはしてないんだけども。
「とはいえ一本道を塞がれてるのは間違いないからなぁ」
「遠回りはできないんデス?」
「その場合拠点に戻って反対方向に行かないといけないからなぁ」
「それ最早遠回りどころの話ではないのではぁ~?」
ただ、彼らの集まっている場所が問題だった。
これから俺達が向かおうとしているのは洞窟だが、その大きさに合わせてか周囲は巨大な山となっている。
で、その山は木々が生い茂っており、只中を突っ切るのは向いていない。
なので、件の洞窟の入り口に向かう際には、山と山の間──いわゆる谷間の部分を通っていかなければならないのだけれど、その谷間部分もさほど広くはない。
……で、その広くない谷間の大部分を現在占拠しているのが、今目の前にいる大量のヤシの木軍団ということになるわけで。
一応、彼らの隙間を縫って向こう側に向かう、という手段を取ることも可能ではあるだろう。
ただその場合、必然的に彼らのすぐそばを通り抜ける必要が出てくる。……離れてやり過ごすならともかく、間近を通っても問題ないとはどうにも思えない俺であった。
「っていうか、アイツらの足に当たる根っこの部分を踏んづけずに進める気がしないというか」
「……多重の意味で無理な気がシマスね……」
「な、なんで私の方を見ながら言うんですかぁ~!?」
「はっはっはっ、安心しろダミ子さん、なんなら俺も踏んづける可能性大だ」
「それ絶対笑い事じゃないですよねぇ~!?」
──主に俺とダミ子さんの二人が。
物理的接触不可避となれば、流石に相手に気付かれる可能性大だろう。
まぁ、仮にそうなった場合でも一本二本程度なら倒すこともわけないだろうが……見りゃわかる話だが、目の前を埋め尽くすほどのヤシの木達は一本二本で済むような数ではない。
なので、仮に撃退できても焼け石に水、そのうち押し切られる可能性大である。
……え?ここに来た最初の方に覚えた風の爪(仮称)で薙ぎ倒していけばいいんじゃないのかって?
やだなぁ、あれ普通に体力使うからそんな乱発できませんよ?
「というか、今ここにいる面々で俺以外にあれ使えるの、日本被れさんだけだしね……」
「それも先生よりチョット強め、ってだけデスからね。ナンナラ風の爪で自分を傷付けタリデモしたらその時点であれデスし」
「難儀ですねぇ~」
あれから暫く経ったので、他の面々も続々使えるようになったけれど……十全に能力が使えない以上、威力やら何やらも俺のよりちょっと上程度に収まってしまってるわけで。
それでいて負担は変わらずと言うのだから、無闇に使うだけ負担増。
そりゃまぁ、下手に使うより別の手段を探した方がいいって話にもなるというか。
なお、日本被れさんの場合は負担が云々より何より、間違って自分を怪我させた時に止めるのが大変、という問題があったりする。
いやまぁ、その場合はスタンドさんを彼女に憑依させればいいんだけどね?
ただその場合、必然的にダミ子さんからスタンドさんが離れることになるわけで……。
……うん、彼女の隠蔽状態解除は可能な限り避けたいのでそうなった時点でおしまい感溢れるというか。
そんなわけなので、一・二本ならともかくこの量だと回避して別ルートを通った方がいい、という結論になるのでしたとさ。
ただまぁ、その場合はその場合で問題が出てくる。
それが、ここから洞窟までの道を別ルートで進行する場合、かなりの遠回りになるということ。
拠点に戻って反対側に行き、かつ山の外縁部を大回りして行くことになるといえば、その面倒臭さはなんとなく理解できるはずだ。
だからといって山を突っ切るのは無理がある。
山に生えてる草木自体ブロックの仲間だから、その近くを通るのならさっきのヤシの木と同じ自体になる可能性大。
……要するに、ヤシの木がどこかに行かない限りはROUTEさんのところに行くのが遅れに遅れる、ということになるわけで。
「……ん?ブロック君どうしたし」<ピギッピギーッ!
と、そうして唸っているとブロック君の鳴き声が。
ぴょんぴょん飛び跳ねながら騒ぐ彼は、何やら俺達に伝えたいことがある様子。
そんな彼の様子を見た俺達は、思わず顔を見合せ何事かと首を捻ることになったのであった……。