うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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神はサイコロを大量に振る、振って『いい結果』だけ選び取る

 はてさて、別れ道で迷い始めてから早数分。

 これ以上考えても仕方ない、と判断した俺達はというと。

 

 

「よーし、ここはいっそブロック君の直感を信じてみよう」<ピギッ?

『それはつまり、こやつが適当に決めた方に進んでみよう、ということか?』

「そういうことになるねー」

 

 

 どうせだし、最初から最後までブロック君に任せてみよう……と決めたのだった。

 

 ……そもそも俺達はこの横穴の存在を知らなかったし、ROUTEさんの位置を把握するための術も持ち合わせていない。

 一応、彼女の持っている(はずの)通信機に反応するお守りみたいなものは新聞部君から持たされているが、それもあくまで大雑把な方向がわかる、という程度のもの。

 すぐ近くにいるのならまだしも、今の段階では指標にできるほどの効果はなく、精々正面方向の何処かにいる、というのがわかるくらいのものであった。

 

 じゃあどっちの道を選んでも──それこそ俺達自身で多数決して決めてもいいんじゃないか、と思われそうだが。

 

 

「仮にどっちか行き止まりだったとして、その場合決め方が多数決でもなんとなーく不和が残ったりしかねないでしょ?じゃあブロック君の野生の勘に任せた方がそういう文句は減ると思わない?」

『その場合、()()()はそいつに向くだけだと思うのだが……まぁ、本人まったく気にしてなさそうだし、構わんのかもしれんの』<ピギッ?

 

 

 地図も目安もないということは、この二つの道が何処に繋がっているのかも不明だということ。

 確かに空気の流れはあるが、場合によっては上方向──明らかに到達できないような天井に空いた穴から吹いている、なんてこともあるかもしれない。

 

 ということは、だ。

 なんならこの二つの道、どっちも行き止まりの可能性がある、ということ。

 そして可能性しかわからない現状では、どっちを選ぼうが基本的に大差はない、ということでもある。

 

 それならブロック君に任せた方が、仮に正解だったら褒めてあげるだけだし、違っても所詮は勘だから、と諦めも付く。

 ……え?責任をブロック君に押し付けてるだけ?まぁそういう見方もあるね()

 

 

「まぁ、この横穴を見つけた時点で褒められてるわけだから、仮に失敗してもプラマイゼロになるだけ、ってことで……」

「そこはカトナク大人の欺瞞を感じマスが……この子も気にしてナイみたいデスし、多めに見まショウ」<ピギッ!

(よくわかんないけど真似てる、って感じですぅ)

 

 

 そんなわけで、私寛大に許しますポーズをする日本被れさんと、その姿を真似したようにちょっと縦に伸びてるブロック君を見て苦笑いしつつ、俺はブロック君にどちらを選ぶか改めて聞いたのだった──。

 

 

 

・A・

 

 

 

「そうしてブロック君が選んだのは左の道でした」

「下りの方がよかったですぅ~……」

「幾らなんデモバテるの早すぎマセンか……?」

「肉体労働は向いてないんですぅ~……」

 

 

 はてさて、ご覧の通りブロック君が選んだのは左の道。

 緩やかに上に向かって登っていき、すぐさま右に曲がることになる道であった。

 反対側の道が何処に繋がっているのか、というのは今回わからなくなったわけだが……はたしてこの選択が吉と出るか凶と出るか。

 ……今のところまだわからないが、可能であれば困難の少ない道であることを望みたい。

 

 いやまぁ、そんなこと願ってるってTASさんに知られたら、まず間違いなく困難な道を投げ付けられる可能性大なんだけどね!! 

 

 

『傍迷惑かアヤツ……』

「完璧に善意で提案しますからね、『困難な道を越えてこそ力は磨かれる、優しい道で得られるものは少ない』とかなんとか言って」

『傍迷惑かアヤツ……!』

 

 

 こちらの言葉に苦い顔をするスタンドさんである()

 まぁ、TASさんが修行マニアみたいなものなのはいつものことなので……。

 

 

「……?」

『ぬ、どうしたいきなり立ち止まって。やけに難しい顔をしておるが……』

「いや、こうしてTASさんを話題に出したら、今なにやってるんだろあの子……みたいな気持ちが湧き出てきたというか」

『なにって……相も変わらずブロック達の本拠地で暴れまわっておるのではないか?確かこっちから注目を外すため、みたいな話であったろう?』

 

 

 と、そうしてTASさんを話題に出したことで、随分長く顔を見てない気がするその当人についての話題に。

 元々はダミ子さんへの注意を逸らすため、という名目で出ていったはずなのだが……。

 

 

「こう、それにしては何も聞こえてこないなー、というか。ブロック達の騒ぎ立てる声とか、ヤシの木が吹っ飛ばされて酷いことになってる音とか」

『この辺りからでは聞こえんだろう……という意味ではないな?お主なにを気にしておる?』

「いや……なんかこうこっちの目がないことをいいことに、どこか他の場所で好き勝手してるような気が……?」

『はぁ?』

 

 

 それにしては、街にいても彼女の噂が聞こえたりはしなかったし、遠い空にヤシの木が舞う姿も見えなかった。

 ……いやまぁ、あくまで人の真似事をしてるだけのブロック達がニュースなんか作るのか、みたいな気持ちもなくはないのだが、それにしては新聞的なものはしっかりあったりするので、連絡手段をまったく使ってないというわけでもなさそうというか……。

 

 まぁ、それを置いてもなんだか胸騒ぎがする、という部分の方が大きいのだが。

 どこか知らない場所で、見知らぬ誰かに迷惑をかけてる気がぷんぷんするというか……。

 

 失礼な、寧ろ有り難がられている──。

 そんなことを宣うTASさんを幻視しながら、遠い彼女を想う()俺なのであった──。

 

 

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