うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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ある種の免疫のようなものらしい

「首を絞める、デスか?」

「現状ここを渡ろうとするのに一番早いのは、恐らくこの魚を全滅させることだろうけど……もし仮に彼らがヤシの木という邪神の端末に対してのカウンターなんだとすれば、多分見える範囲を排除しても他所からここに集まってくる──敵対者を殲滅するか自身達が全滅するまで戦う、みたいな反応を返される可能性が高いんじゃないかな?」

「なんですぅそのあからさまなバーサーカーはぁ~……?」

 

 

 ある種の白血球・防衛機構のようなものというか?

 その存在が外敵・侵入者の排除を目的としたものであるならば、そう簡単には通してくれないだろうというか。

 そしてそれは裏を返すと、俺達以外の侵入者に対しての影響を考えなければいけない、ということにもなるわけで。

 

 

「例えばここで俺達がこの魚を排除しに掛かったとして、それがもし順調に・ないし拮抗する形で進んだとすると、必然彼らが無限に湧いてくるのでなければ分布の偏りができる、ってことになるわけでね?」

「……ああなるホド、仮に倒しきレルような戦力でなくトモ、ここに張り付けにシテおけるだけで他所からヤシの木が侵入する切っ掛けを作ってシマウ、というわけデスね?」

「そういうこと」

 

 

 どれだけの数の若い魚達がいるのかはわからないが、とはいえ文字通りに無数、ということはないだろう。

 また、拠点防衛を彼らが行っているのであれば、その人員……魚員?配置は恐らく均等に行われているはず。

 

 となれば、だ。

 一ヶ所にそれらが固まってしまうようなことが起きれば、必然別の箇所の防御が手薄、ということになってしまう。

 

 従来通りヤシの木相手であれば、それを食い尽くすことで戦闘が即座に終わり、防衛網も即座に通常通りに戻るのだろうが。

 数頼みのヤシの木達と違い、俺達は仮に食べられでもしたらその時点で終わり。

 ……いやまぁ、日本被れさんは大丈夫かもしれんが、それも最終的に(場所の性質的に)暴走すること前提みたいなところがあるので、積極的に取りたい手かと言われればノーである。

 

 となると、だ。

 俺達対魚達の戦いは、必然的に長引くものということになる。

 結果、そうして長引く戦いの合間にヤシの木達が防衛網を素通りし、やがて邪神の封印にたどり着いてゲームオーバー、と。

 

 

「いやまぁ、なんとなくだけど妨害?防衛?設備はまだまだある気はするけどね!これ越えたから即封印場所、って可能性は低い気がするけどね!」

『ROUTEめがこの先に転がり込んでおるのであれば余計のこと、だのぅ』

 

 

 まぁ、この魚達だけが防衛網かと言われるとノーだろうとしか言えない俺なのだが。

 それだったらとっととROUTEさん戻ってきてるだろうからね!!

 多分、何かしらの理由で後退できず、封印の場所まで逃げるように前進してるんじゃないかなーって思うんだよねー。

 

 仮にその予想が正解なら、俺達もこんなところで立ち止まっているわけにも行くまい。

 いやまぁ、このまま放置してROUTEさんが三人目の邪神をなんとかしてくれるのを待つ、って手もなくはないが……。

 

 

「気付いているかどうかが不明なのがねぇ……」

「あぁ~……今のあの人、未来予知の精度下がってますもんねぇ~……」

 

 

 それを待つには不安材料にしかならないのが、彼女がこんな場所で迷ってしまった理由──能力の制限。

 いつもの彼女ならこんな話は早々に終わらせているはず、にもかかわらず連絡すら寄越せなかったのは、偏に想定外のことが起きすぎたとかそういうあれだろう。

 

 本来の彼女の能力は、これから起きることを選択肢という形で知りえるというもの。

 予め最善手か悪手かで振り分けて取るべき行動を教えてくれるそれは、しかしてこの世界の制限下では様々な制約を負うこととなっている。

 

 

『確か……本来は時間無制限かつ()()()()()()()()()()もしくは()()()()()()という二つの選択肢にまで絞られておるが、ここでは時間制限が付いたり隠し選択肢があったりするんだったかのぅ?』

「なんなら二択どころか五択とか八択とか、はたまた単語で検索して答えを選ぶタイプのモノになっていることもあるとか?」

「何処のクイズ番組なんデスそれ?」

 

 

 いやまぁ、彼女の目にそれらがどう写っているのか、というのは基本ROUTEさん本人(およびTASさん)にしかわからんのでなんとも。

 とりあえずちょくちょくTASさんが羨ましそうというか私もやりたいというか、そんな感じの熱い眼差しを送っていたことは確かである。

 それ絶対番組荒らししたいだけだよね?

 

 話を戻して。

 そんな感じで能力の利便性が下がった結果、いつもなら見破れることを見逃すことも多くなったのがここでの彼女。

 ……となればだ、基本何もさせずに初見でわからん殺しするのが最適解である邪神戦、それがあると気付かぬままボス部屋に近付くROUTEさんの危なさは言うまでもない、ということになるわけで。

 

 

「……よし、なんとかしてここを越える手段を探そう。最終的にはTASさんがどうにかするとはいえ、そのあと酷いスパルタ教育でもされた日には目も当てられん」

「うぐぅっ、スパルタは嫌ですぅ……」

 

 

 まぁ、なんやかんやで邪神は倒されるのだろうけど。

 でもその未来にたどり着くまでの道筋が宜しくないのは勘弁、ってことで対策を練るのに本腰を入れることにした俺達なのでありましたとさ。……不純な動機?知らんな。

 

 

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