うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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変身!ブロック君最後の日(?)

「まさかブロック君にこんな形態があるとは……」

「ち、ちょっと怖いけど自分で掴むよりは遥かにマシですぅ……」

 

 

 はてさて、突如として騒ぎ始めたブロック君。

 日本被れさんの手から離れた彼が向かったのは、天井に続く雲梯の元。

 一体何をするのか、と成り行きを見守る俺達の前で彼は周囲の壁を取り込みながら変化し……。

 

 

「ご覧のように、みんなを乗せられるゴンドラみたいな感じに変化したわけなのです」<ピギーッ!!

「偉い偉い、偉いデスよーブロちゃーん」

 

 

 よしよし、と手摺部分を日本被れさんが撫でてやれば、擽ったそうなブロック君の声が聞こえてくる。

 

 そう、彼は構築に必要な材料を周囲から徴収したのち、自身の身体を何倍にも大きく変化させたのである。

 そうして現れたのが、雲梯部分を掴みながら進むゴンドラのような形態だった、と。

 まぁ、流石に雲梯だけ持ってるとバランスやら重量制限やらが心配だからか、天井を掴むためのスパイクのようなものも合わせて設置されていたわけだが。

 

 なおこの形態、コアとなるブロック君部分以外は自由に切り離し可能なようで、雲梯を跳んで次の雲梯を掴む必要があるような場合には、腕の部分を切り離して跳んでいく……という姿を見せたりもしていた。

 

 

『……冷静に考えると人にやらせるモノではないのぅ、これは』

「まぁ確かに……どこぞの難攻不落のアスレチックじゃないんだから、というか」

 

 

 ……しれっと雲梯と雲梯の間を跳んでいたが、これ人間がやるようなもんじゃないよねというか。

 反動を付けて跳んでいくにしたって、天井に備え付けられた雲梯を跳びながら再度掴むのは至難の技どころの話ではないような?

 なんなら元の雲梯と先の雲梯の高低差、先の方がちょっと高いくらいだし。……いや、低けりゃ楽かと言われればそれもノーだが。

 

 

「とりあえずぅ、私は途中で絶対墜落してましたですぅ」

「私も無理だと思いマース。これは人間が踏破スルことをまっったく想定していマセーン!」

『TASなら余裕、それ以外は能力ありきと言ったところかのぅ』<ピギー…

 

 

 マジかよ、みたいな声を漏らすブロック君の様子に、思わず苦笑してしまう俺である。

 ……そういえば、タイミング的に彼はTASさん見たことないんだっけか。

 

 自身が張り切って進んでいる道を、自身よりも悠々と進んで行くだろうと目されているTASなる謎の人物……。

 一体どんな化け物なのか、と言った風に震えるブロック君の姿に、再度苦笑が漏れたのは言うまでもない。

 

 

 

・A・

 

 

 

 はてさて、案の定天井に空いた穴から上に移動する形になったのだけれど。

 

 

「こりゃまた奇っ怪な風景だこと」

「なんですかこれはぁ……」<ピギーッ?

 

 

 ゴンドラ形態から戻ったブロック君を頭上に乗っけたまま、呆けたようにダミ子さんが声をあげる。

 声に出てこそいないが、他の面々も似たような様子であった。

 

 それもそのはず、天井に登った俺達を待ち受けていたのは、予想よりも遥かに広い空間と、その天井部分から逆さまに建設?されている複数の建物の大群だったのだから。

 ……逆さ都市、と言えばわかりやすいだろうか?

 

 

『逆さ都市か……言い得て妙だのう。都市でありながら人の気配もない、という辺りが特にだ』

「誰も居ないんですかぁ……?ブロック達もぉ……?」

『うむ。ヤシの木共も居なければ、ブロック達やあの魚の気配もないのぅ』

 

 

 ふわりと地面から飛び立ち、逆さに生える家らしきものを繁々と眺めながらスタンドさんがそう述べる。

 どうにもこの建物達、その構築材の中にブロック達が紛れているだとか、はたまた天井から川が落ちてきてその中に魚がいるだとか、そういう生命を感じさせるものは何もないらしい。

 あくまで、死んだように静かな都市が、重力に逆らうように生えているだけなのだと。

 

 

「ってことは遺跡、ってことか。……CHEATちゃんが喜びそうだな」

「あの子遺跡スキーなんデス?」

「そうなんデス」

 

 

 とまぁ、少々驚きはしたものの、何も居ないのであれば特に用はない。

 見れば先の方に壁に空いた穴があり、その先が次へと進む道っぽいので、ここを探索する必要は(今のところ)ないだろう。

 上に行かなきゃいけないとかならまだしも、基本的には先に進む方が重要なのだし。

 

 ……ってなわけで、逆さまの都市から瓦礫とか落ちてこないかだけ気にしつつ、先へと歩を進める俺達。

 

 

『───』

「スタンドさーん?先に進みますよー?」

『む、今行く』

 

 

 途中、神妙な顔で都市を見上げながら立ち止まるスタンドさんの姿があったものの──呼んだらすぐに近寄ってきたので、恐らく何があったというわけでもないのだろう。

 

 

『……なるほど、遺跡とはよく言ったもの。嘗ての栄華はそこに残るとでも言うつもりか、大ド阿呆め』

「スタンドさーん?」

『何度も呼ばずともわかっておるわ……ってなんじゃそれは』

「多分鏡?じゃないかと思うですぅ。綺麗ですよねぇ」

『不用意に拾うでないわそんなもん!捨て置け捨て置けっ!!』

「ああ勿体ないですぅ……」

 

 

 そんなわけで、途中謎の鏡を拾ったダミ子さんが怒られたりしつつ、俺達はその広間を後にしたのであった。

 

 

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