『本来ならば落ちることのない
「その場合、ダミ子さんの憑依を解くのと同義なのがね……」
「……よ、寄ってきますかねぇ?」
「ほぼ確実に。だってアイツら実体ねーし。普通に壁とかすり抜けるし。なんなら結果としてだけどヤシの木達まで引き連れて来かねないし」
「ひぇぇぇ……」<ピギィ……
泣いちゃった……。
冗談はともかく、折角先に進んだというのにここで憑依を解くのは悪手以外の何物でもないだろう。
ブロック達がこぞって集まってくるだけならまだマシで、場合によってはそのブロック達に引き寄せられるような形でヤシの木達もここまでやってくる、なんて本末転倒な事態に陥る可能性もある。
……
ブロック達の方は捕食とかはしないものの、ダミ子さんにだけは過剰に反応するという性質を持ち、それを利用して誘導・まんまと囮として活用したわけだが。
それは裏を返すと、彼らを上手く騙したというのが正解になるわけで。
となれば、騙すために利用したダミ子さんの存在が露見すれば、彼らは再びここへとやってくるだろう。
現状は食べられなくないので川の中に引き込もっているが、あの様子だと目的とするダミ子さんが再び現れれば、脇目も振らず寄ってくることは間違いあるまい。
「ソウなれば、彼らを食べヨウとシテいるヤシの木達はまず間違いナクついてくるデショー。あの魚達が頑張ってクレればいいデスけど……」
『まぁ、あまり期待はできぬのぅ。先も懸念した通り、あやつらも無数にいるというわけでもない。詰まるところきゃぱおーばー?とやらになってしまえばそれで終いという話でしかないからのぅ』
「つ、つまりぃ?」
「スタンドさんを向かわせるのは無理だから、俺が行くしかないってことだね(白目)」
「oh……」
……まぁうん、わかってたよ?
現状空を自由に跳べるのは俺だけだから、万が一底無しの穴だったとしても普通に帰ってこれるわけだし。
無論、それを見越して邪神が罠を仕掛けてる可能性も高いから、できるならばやりたくはなかったけれども。
「とはいえここで立ち往生するよりは遥かにマシ……ってことで、諸君」
「ハイ、なんデショー?」
「……無事を祈ってくれ。グッドラック!とぉーっ!!」
「躊躇いもナク、」
「飛び込んだ!?」
ってなわけで、颯爽と穴へと向かって飛び出す俺である。後は野となれ山となれー!!
言いながら、まずは斜面に着地。
速度を殺さないようにそのまま走りながら、周囲に空いた穴を大雑把に観察する。
まずは空気の流れだが……うん、わからん。
正確には、どれもこれも空気の流れがあるように思えて、それだけだと正解がわからんという感じだろうか?
ついでに何かしらの明かりが漏れてたりしないかも確認したが、原則底無しっぽく見えることしかわからないのでこれもまた無意味。
となれば最終手段、風を爪に集める技の応用、固めた風の玉を穴に投げる!
どこかにぶつかればその衝撃で集められた風がほどけ、一瞬ながら強い風が吹く。
それによって戻ってくる風があるかどうかを確認して、底無し穴が本当に底無し穴か確認しようというわけである。
……え?実際に穴に落ちてみたりはしないのかって?
それは最終手段、落ちた途端に頭上に蓋とかされても叶わんので、先に一通り穴を試して見てからの話である。
『……縦横無尽に走り回っておるのぅ、あやつ』
「空を跳ぶ技術の応用、とイウことデショウか?斜面に足を取られることナク走る様はある意味不気味デモありマスが……」
「おいこらー!?聞こえてんぞまるでGだとか不気味とか好き勝手言ってんじゃねー!?」
「誰もそこマデは言ってマセンが!?」
なお、上の方で何やらひそひそ言っているのが聞こえたため、TASさんに習った読唇術で解読を試みる俺である。
……微妙に失敗してる?なんのことかな?
まぁともかく、そんな感じに漏斗内をあちこち駆け回り穴の様子を一通り確認した俺は、そのままの勢いで斜面を駆け上がり元の位置まで帰還。
驚いたようにこちらを見ている他の面々に向けて、それまでの調査結果を報告したのであった。
『その結果が全部ハズレ、と?』
「正確には、外から判別できるのは『ハズレっぽいの』と『絶対にハズレ』くらいで、ぽい方はもっと詳しく調べたいならそれこそ後の事全部投げる必要がある──戻ってくるのを諦める必要がありそう、って感じかな」
「それってほぼデストラップなのではぁ?!」
「そうですね……」
……はい、殺意の高さが証明されただけですね、これだと。
外から確認してはい終わり、なんてことには絶対させないと言わんばかりの気概を感じたというか。
あれ、予想通り迂闊に入ると空を跳べようが戻れないようになってると思うよ、と告げればみんなの顔が思わずとばかりに強ばったのであった。
……そういう顔をしたいのは俺の方なんだが???