「もういっそヤシの木もブロック達もまとめて呼んで、全部試しに蹴落としてみるか……?」
『止めんか、仮に正解があったら酷いことになるぞ』
「ぬぐぅ……」
なんという嫌がらせ……。
思わず唸る俺達の目の前で、漏斗部屋の床には変わらず穴が空いている。
それらのどれが正解なのか、はたまた正解などないのか。
それを確認するには一つきりのこの身を投げ出す他なく、さらにはハズレを引こうものなら保証も何もない。
確かに人生とは一度きりの勝負ではあるが、かといって
「……くっ!こうなったら使うしかないのか!」
『ほう、もはや打つ手なしかと思ったが、まだ何か策があると?』
「正直使いたくなかったけど、こんな嫌がらせみたいなことをされるのなら解禁せざるをえまい……って感じで一つ、試せるものがあるのです」
『……何故かは知らぬが無性に嫌な予感がするのだが?』
こうまで追い込まれると、こっちとしても取れる手段は限りなく少なくなってくる。
……手詰まりにならない辺りはTASさんの薫陶様々と言ったところだが、同時に
なお、TASさんの名前を出す前からスタンドさんが冷や汗掻いてたけど、多分生前(?)のトラウマ以外の何物でもないと思う。
「ってなわけで、使いたくなかった奥の手・TAS式戦術第一項、『下手な鉄砲数打ちゃ当たる』!ってなわけでー分身の術!!」
『お主どの口で自分の事一般人とか抜かしておったのだ?』
無論この口ですが?
……そんなわけで奥の手かつ禁じ手である分身の術、解禁である。
どう見てもオカルト以外の何物でもないが、その実やり方さえ覚えれば一般人にも使える
「嘘ですぅ!?空を跳ぶのも大概ですけどぉ、流石にそれは嘘千万ですぅ!?」
「それが本当なんだなぁ……分身と言っておきつつ、実のところこれ高次元移動による三次元空間の無視と高速移動による存在の擬似的な分裂を原理としたものだから」
「無茶苦茶力技デース!?」
ぶっちゃけると、必要なのは『高次元移動による三次元空間の無視』の部分だったり。
次元が一つ違うと移動方向が一つ増えるわけだが、基本的にそうして増えた経路と言うのは低次元の相手には認知できない・言い換えるとそこを通るのを邪魔できない道、ということになる。
今現在俺達が立ち止まる羽目になっているのは、結局のところ三次元的な制約に縛られているから、というところがとても大きい。
「なので、これを使って全ての穴を実際に通って確認し、その後蓋されたとしてもそれを
『何言ってるのこいつ、みたいな動きをしておるのぅ……。それと、三次元的妨害に留まらぬ場合はどうするのだ?相手は邪神、そもそもが三次元に縛られぬ高次の存在ということになるが』
「相手の干渉できる範囲よりさらに高い次元を経由して行きますが何か?」
『これ想像以上にエグいレベルのゴリ押しだの???』
なお、見えてる範囲ゆえに三次元的制約と言ったが、相手がそれ以上の制限を強いてくるのならさらに上の段階に進むまでのこと。
そこら辺はTASさん由来の戦術なので、基本的に穴などないと言うことになるのであった。
「まぁ一つ問題点があるとするなら、基本的に三次元の存在である俺が通るのは無謀を通り越して死にに行くようなモノに近い、ってことかなー?」
「ヤッパリ単なるゴリ押しデハこれ?」
ここまで語った範囲だと、単に便利な技能にしか聞こえてこないが……勿論、それならなんで早く使わなかったのかって話になるのでデメリット部分も合わせて語っておくと。
現状、あくまでやり方だけが開示されているようなものであり、
TASさんみたいに自分に対して発生するダメージをタイミングを見て受け流し&ブーストに使う、みたいなことができないのであれば、必然無理矢理使うしかないというか。
……AUTOさんが上手い使い方を探していたが、現状届く範囲に安全な使い方が見当たらなかったようで、結果としてTASさんもしくは
え?AUTOが探して見付かったのがそれしかないのであれば、その使い方が正規のやつなんじゃないかって?はははノーコメント。
「……あれ、もしかしてデスが」
「そうだね、機会があれば日本被れさんに使ってみて貰おう、なんて計画も(TASさんが)してたね!」
「無茶苦茶デース?!」
なお、TASさん以外だと一番上手く使えそうなのが(超回復でダメージを無視できる)日本被れさんっぽいことから、いつか彼女にその辺の試験をして貰おう……なんて計画があったりもしたみたいだが、まぁ余談である。