「き、気力がごりごり削られる……ですぅ」
『なんとか落ちる前にたどり着けたのぅ』
はてさて、壁に空いていた横穴(表面はホログラムみたいな実体のない壁で覆い隠されていた)になんとか飛び込んだ俺達。
なお入って暫くしたらさっきまで偽物だった壁が実体化したため、当初の予測は正解だったと言うことになるようである。……んなとこ当たらなくてもいいんだがなぁ。
「飛び込メタのはいいんデスけど、これ本当に正解なんデスかね?実は地獄の入り口、みたいなパターンはないデスよね?」
『……勘ではあるが、恐らく底に空いた穴とは別物だろうよ。まぁ、地獄の入り口云々は否定せぬが』
「え、なんでですかぁ?」<ピギィー?
『そもそも地獄の底を目指しておるようなものだからのう。邪神の封印場所なんて如何にもそれっぽいじゃろ?』
「……言われてみれば確かに、ですぅ……」ピギィー……
なお、そうして入り込んだ横道。
基本的には薄暗く、そのままでは奥がどうなっているのかはわからない。
落ちないように気を尖らせるためしまっていたライトをダミ子さんが取りだし、奥を照らすが……生憎、これまでと同じ様に先がどうなっているのかは判別できないのであった。
「途中で穴が空いてる、とかあるかもしれんな……」
「止めてくださいよぅそんなの反応できないじゃないですかぁ……」ピギー!
『……ああ、さっきの壁みたいになってる可能性もあるか』
とはいえここで立ち止まっていても仕方がない。
ここはちょっくら勇気を出して、再び狭い通路を歩いて行くしかないだろう。
……てなわけで、ダミ子さんを先頭にして進み始めた俺達である。
え?なんでお前じゃなくてダミ子さんが先頭なのかって?
そりゃ勿論、後ろは警戒し辛いからですが何か?
……人間の目が前に向いて付いている以上、必然的に背後というのは確認が疎かになる。
一応、ライトを持っているのがダミ子さんなので、光源の異常から何かあったのだと判断することもできるが……。
その場合、必然的に俺は振り返らないといけない、ということになる。
言い換えると、彼女に起きた『何か』に対処しようとすると余計な手間を一つ挟む必要が出てくるわけだ。
仮に落とし穴に落ちたみたいなパターンの場合、手間が一つ増える時点で致命的なことになってしまうだろう。
落ちる寸前でひっ捕まえる以外自由落下に任せるしかなくなるわけだから、実質的にゲームオーバーである。
てなわけで、前に進みながら自然と他二人の状況を確認できる一番後ろが俺の定位置として向いている、ということになるのであった。
……それは理解できたけど、今度はダミ子さんが一番前である理由がわからない?
「そいつは簡単、ダミ子さんにはスタンドバリアーがあるからさ」
『効果・致命ダメージ一回無効ー』
「わーげーむみたいですぅー」
それに関してはもっと単純、実のところ現在の状態だと日本被れさんよりダミ子さんの方が耐久力が高いのである。
その理由となるのが、彼女に憑依しているスタンドさんの存在。
彼女のそれはダミ子さん特有の気配を隠すのにも役立っているが、それ以外にも致命的なダメージを一度肩代わりしてくれる、というTASさんが聞いたらとても喜びそうな効果が付随しているのだ。
まぁ、肩代わりと言っても代わりに食らったスタンドさんがダメージを受ける、とかではないのだが。
『強い衝撃を受けると憑依が解ける、というある種のデメリットでしかないのだが……その際、
「ウーン、TASがますます喜びそうな類いの能力デスね?」
「知らせちゃいけない類いのやつですぅ……」
いやはははそんなことはははは。
……そもそもの話、これってスタンドさんが憑依できること前提のもの。
TASさん相手だと不可能だと思われるので、気にする必要もないということになるのであった。
「え、ナンデ?」
「なんでも何も、これが
『なんだ?』
「もし仮にTASさんに憑依するとして、その後
『普通に嫌だが?……ああいやなるほど、あのレベルで
「「?」」
その理由となる部分を告げたところ、思わず唸り始めるスタンドさんである。
……他二人はいまいちどういうことなのかわかってないようなので、可能な限り簡潔に説明すると。
「今は憑依したスタンドさんがダミ子さんに影響を与えてるわけじゃん?気配消しとかダメージバリアとか」
「はいぃー、そうですねぇー」
「TASさん相手だと逆になる。スタンドさんがTASさんの影響を受ける……逆流する?みたいな感じで」
「え」
腐食性の液体をガラス以外の容器に入れようとするようなもの、というか。
まず間違いなく容器がダメになるので、保存のためには専用のモノを別個に用意すべきというか。
……まぁともかく、スタンドさんが酷いことになるのがわかりきっているため、仮にTASさんが興味を示してもやらせないしやっちゃいけないこと、という話になるのでありましたとさ。