はてさて、TASさんに憑依云々の話は横道にもほどがあるので打ち切って、いい加減通路を通り始める俺達である。
……前回並び順はちゃんと考えて決めなければならない、みたいな話をしたわけだが。
その場合、こう思う人もいたと思う。『襲われることを想定するなら、一番後ろが一番危ないんじゃないか』、と。
実際それはその通りで、列の一番最後尾というのは必然他者からの注意が向き辛く、一番相手側が切り崩し易い位置でもある。
漫画やアニメ・ドラマなんかでもよく列が最後尾から一人ずつ消えていき、最後には先頭の一人だけが残ってその人も……なんてパターンになることから、その辺はよく知ってるって人も多いだろう。
そういう意味でもダミ子さんは最後尾じゃない方がいい、という話になるわけだが……そうなると『お前はいいのか?』という疑問が飛んでくるのもある意味当たり前の話、ということになるのだろう。
その辺については、こう返させて貰う。
「……ナンでソコで私の名前が?」
「いやだって、このメンバーの中で一番(色んな意味で)危ないのって君じゃん?」
「どういう意味デスか?返答にヨッテはこちらとシテも相応の対応を迫られマスけど」
「別に悪口言ったわけじゃないよ!?純然たる事実として日本被れさんが攻撃を受けたら不味い、ってだけの話で」
「……アアなるホド。暴走した時の話デシタか」
そうなる理由は、日本被れさんがこの三人の中で唯一能力の暴走の可能性があり、かつ暴走した際に被害が甚大なモノになる可能性が高いから……ということになるだろう。
彼女の能力は不死身──圧倒的な回復能力による傷病等の無効化だが、その原理が原理ゆえに暴走した時がヤバすぎるのである。
細胞が暴走した際に発生するもの、と言えばわかりやすいものが一つ。
……細胞の分裂が際限なく行えてしまうと、やがてコピーが正常に働かなくなり異常な細胞ばかりが増えてしまう……。
なんてことになりかねないため、それを抑制する目的で細胞には限界というものが定められている。
それ以上分裂できないというそれは、それゆえに生き物の寿命を定めているとも言えるわけだが……それを意図的に無視するもの、異常な形になろうがお構いなしに増え続けるものがいる。
──そう、ガン細胞である。
「まぁ流石に?仮に暴走してもガン細胞そのものに変異したりはしないだろうけど……でも日本被れさんの細胞が分裂の限界を越えて分裂してる、ってのは恐らく日常茶飯事。言い換えると本人に害のないガン細胞が日本被れさんの能力、ってことになるわけじゃん?」
「……ツマリ?」
「最悪日本被れさんが巨人になる」
「イェーガー!?」
いやなんだその叫び声?
……まぁともかく、日本被れさんの暴走の果てに行き着くのが巨人の形、というのは荒唐無稽な話でもない。
確かに、暴走の初めは見るも無惨な肉塊になり果てる可能性が大いに高いだろう。
だがしかし、永遠にその姿のまま、ということはあり得ない。
そもこの世界における暴走とは、本来問題ない行為・過程が意図せず増幅させられることによるブレーキの喪失のこと。
となれば、だ。能力者本人に不利益しかもたらさない肉塊という形態は、早々に是正されることを望まれるもの。
「そうなれば、暴走した細胞達は増えることを止めず・かつその状態で安定する姿になるように暴走の方向性を整えるはず。……結果、最終的に巨大化した日本被れさんがこの大地を蹂躙することになると」
「チョット待ってくだサイそれどこマデ大きくナルこと想定して言ってマスか!?」
「え、そりゃ勿論○ジラとかあの辺りの怪獣と殴りあえるくらいというか」
「○ル○ラ○ンんんんんんんっ!!!?」
今日は伏せ字がよく仕事してるな……。
冗談はともかく、特撮番組みたいな絵面になることはほぼ間違いない。
そしてその場合、地下に眠る邪神も
流石にそんな解決は望んでいないため、現状日本被れさんは万が一にも怪我をしないように厳重に警護?されているという形になっているのであった。
で、そうなると彼女は必然的に一番安全な真ん中に配置せざるを得ず、そうなるとダミ子さんは先頭の方が良くて……。
「って感じに配置すると、最終的に余る俺が一番後ろに行くしかない、ってことになるんだよね」
『なんだか世知辛いものを感じるのぅ』
「まぁ、仮に襲って来られたとしても、ある程度は対応できるアンドそもそも他の人は対応するのすら止めておいた方がいい……って感じで、結局俺を一番後ろに配置した方がいいって結論が最初から出てたんで問題はないんですけどね。手前二人を助けられるのも俺だけだし」
『……なんだか世知辛いものを感じるのぅ……』
まぁ、それを抜いても色んな面からして俺以外を後ろに配置するのは非推奨、ってなるんですけどねはははは。