うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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それからも冒険は続き

 はてさて、そこからも苦難の道のりは続いた。

 トゲまみれの地面を刺さらないように歩いたり、はたまた何故か流れている溶岩の上を通る羽目になったり。

 その度にダミ子さんが死にそうになったり、はたまた日本被れさんが怪我をしそう(≒巨人化しそう)になったり……。

 

 また、こうしてやれやれ風に語る俺の方だって、中々に酷い目に遭い続けたと思う。

 現状一人だけ覚えゲー系のアクションゲーやらされてるようなものなので、寧ろいつもみたいに死んでないだけ遥かにマシな気がしてくるんだから酷い話である。

 

 

「そんなわけで、語るも涙聞くも涙な冒険を繰り広げてきたわけなんですよ」

「そ、そうか……」

 

 

 そんな感じにこれまでの経緯を赤裸々に語った相手は、ようやく追い付いたROUTEさんである。

 ……いや本当にようやくって感じでさ、貴女一体どういう速度で降りてきたのよ、みたいな感じで全然捕まらなくってさ?

 

 結局追い付いたのがこの洞窟の一番底──邪神の封印場所の一歩手前、ゲームとかだとセーブポイントとか置いてある類いの空間だったってんだから、なんというかこう彼女のスペックの高さを改めて実感せざるを得ないというか……。

 

 

「大変だったんだな、俺はずっとこの部屋でどうにもできずに燻ってただけなんだが」

「ちょっと待って?」ピギーッ!?

「お、おう?」

 

 

 なんてことを言っていたら、ROUTEさんから聞き捨てならない台詞が飛び出したため思わず聞き返す羽目になった俺である。

 ……なになに?丁度連絡が取れなくなった辺りで、運悪く変なトラップに引っ掛かり最下層まで叩き落とされた?

 

 

「ルト子……それトラップやない、ショートカットや」

「誰がルト子だ誰が。……にしても、ショートカット?」

 

 

 やだ、この人単なる運で道中突破してる……。

 

 そりゃ邪神さんもキレ散らかすわけだわ、折角用意した数々のトラップが一瞬にして無価値になったんだろ?

 それも恐らく、自身がたまたま設置してた抜け道を、これまた自分が撤去するのを忘れてたために利用された……みたいな感じで。

 

 

「……ソリャ殺意も高くナルわけデース!やり場のナイ憤りから来るあからさまな八つ当たりデース!」

「はた迷惑にも程があるですぅ……」

 

 

 まるで隠しルートを自身のミスで最初から選べるようにしてしまったかのようなもの。

 ……そりゃまぁ、もう逆ギレしてごまかすしかないだろう。

 その結果、後からやって来た俺達にその怒りが全部降り掛かって来たわけだ。

 あまりに理不尽な答えに思わず脱力する俺達である。……結局初回攻略かい、俺達……。

 

 ……ドッと押し寄せてきた疲れゆえに、しばらく俺達が行動不能になるのも仕方のない話なのであった。

 

 

 

・A・

 

 

 

「それで、そこからどうしたんですか?」

「どうしたもこうしたも、ボス部屋の手前まで行くとそこから引き返せない……正確にはボスの居る最下層フロアから出られないってんで、準備を整えてからボスに挑みに行きましたがなにか?」

 

 

 それからのことについて、語ることはそう多くはない。

 しばらくこのフロアにいたというROUTEさんの語るところによれば、最下層には上へと繋がる階段も、はたまた天井にぽっかりと空いた穴なんかもなかったのだという。

 ……言い換えると外に出る手段がない、ということになるだろうか?

 

 じゃあ俺達が来るまでの間、彼女はここで何をしていたのかと言うと……。

 流石に単独でボスに挑むのは無謀以外の何物でもなかったため、出口が本当にないのかあちこちを探索して回っていたのだそうな。

 

 その結果、ボス前に装備品を整えることを想定してか、街にあるのと同じタイプの──望めばなんでも出てくるタイプの店や寝床なんかを発見したのだとか。

 

 

「望むもんなんでも出す、って触れ込みだから試しに願ってみたんだが……結局出口は出てこなかったな」

 

 

 なんでも、という言葉から試しに地上への出口を頼んでみたが無反応。

 そこから、あくまでこの店は物品しか取り扱ってないことを確認し、連絡が途絶えたのだから誰か迎えに来るだろう……と仮定して、とにかく生き延びることに舵を切った……らしい。

 まぁ、その店が半ばチートもチートだったため、食事も寝床も簡単に用意できてしまい、張り切って生き延びるぞー、みたいなノリにはならなかったようだが。

 

 

「で、そんな感じに半ば悠々自適の生活を送ってたところに、上から俺達が落ちてきたから合流。周囲に出口が無い以上、あるとすればこの中だろう……ってことで、脱出のためにボスもとい邪神に挑むことになった、と」

「なるほどなるほど。……で、その結果がその隅っこで震えてるブロック人間、ってことになるのかな?」

 

 

 で、最終的には脱出のためにボス部屋に突入したのだけれど……うん。

 部屋の隅で「こわいこわいにんげんこわ」とか言いながら頭を抱え踞っている、妙にカクカクした人間……。

 これこそが今回の戦利品にして元邪神、名前改めてブロックさんになるのであった。……結局君も加入すんのね、三人目の邪神……。

 

 

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