「えーと、話を纏めると。ブロック君はそもそも邪神から分かたれたものだった、と?」
「邪神としての我輩の一部が他のブロック共と結び付いたもの、ということになる……のか?多分恐らく」
「なんかはっきりしないね?」
「仕方があるまい……今の我輩記憶がぐっちゃぐちゃなのだ」
なんかわりと衝撃的な話をされてる気がするな?
……ってなわけで、実は邪神の端末だったらしいと明かされたブロック君である。
あれだ、たまーにゲームやアニメとかで出てくる『悪人の中に仄かに残された善性が分かたれたもの』に相当するのがブロック君だった、みたいな?
それが弱った本体に統合することで仲間になる……みたいなパターンもよくあることであり、実際にそのパターンに当てはまるのが今のブロックさんであると。
「……はっ!というコトはもしかシテ、この方男の子……?!」
『いやそれ気にするところかのぅ?!』
「むー、我輩多分
『いやお主も真面目に答えるでないわ!?』
あらやだ素直。……どことなく子供っぽい気がしていたけど、これはブロック君が混じった結果ということなのだろうか?
ともかく、である。
恐らく今のブロックさんは、性格の主体がブロック君になったことで生まれたもの。
それゆえ、他の邪神──DMさんやスタンドさんとも違う個性を獲得した、という話になるのだと思われる。
「そうなのかぁ」
「そうなのだぁ」
「……完全に子供に対する扱いですね」
『それでよいのか、という気もしないでもないが……ともかく、話を戻すがよいか?』
「あ、どうぞどうぞ」
おっとそうだった。
現状が
……冗談はともかく。
この世界が邪神の封印場所の上に作られた世界である以上、当の邪神が居なくなったのなら必然その眷属であるヤシの木達にも影響があるはず。
その辺どうなってるかなー、と思いながら洞窟の外に出た俺達は、しかしてその考えが甘かったことを思い知ることになったのであった。
「いやまさか、残されたヤシの木達が全部暴走し始めるとは……」
『邪神に紐付いた存在ではあるが、それ以前にキチンと実体を持つものであったということだのぅ』
「実体を保たせる繋がりではなく、あくまで司令塔としての繋がりでしかなかった……ということですね」
「お陰さまで酷い目に遭いましたわ……」
「おっとAUTOさん」
なんか久々に会った気がするな?
……などと、TASさん以外全てのメンバーが揃った秘密基地内を見回す俺である。
そう、全員。
各々別の任務を帯びて散らばっていた面々が、TASさんを除き全て揃っているこの状況。
それはつまり、各々の目的が
邪神という要を失ったヤシの木達は無力化されるのではなく、各々が暴走する形となった。
その暴走の方向性は凄まじく、なんとまぁ大型の悪魔みたいな異形の姿に変貌したモノまで現れる始末である。
……ブロック側の姿も大概なので、さながら天魔大戦みたいなことになっているというか。
「どうシテあんなコトにナッタのかわかりマス?」
「え?えーと……我輩の使令が途絶えたから、とりあえず目の前の驚異に対抗するのを優先した、とか?」
「なる……ほど?」
それまでのヤシの木達は、例え自身の身に危険が迫ろうとも自己の保護を目的にすることはなく、愚直にブロック達に襲い掛かる作業機械のような存在であった。
それがどうだろう、今の彼らは同族の危機を嫌い、強敵に無謀にも挑むことを忌避するようになった。
その結果、変わらなかった姿を変化させるようにまで変化したのである。
ヤシの木達が依り集まり、出来上がった歪な木々の悪魔……。
それだけではない、竜や獅子・不死鳥のような架空の存在にまで波及したその変化は、されど彼等の目下の敵であるブロック達の無茶苦茶さを写す鏡のようですらあり……。
「ともかく、わりと程度の低いぶつかり合いだったはずのそれは、いつの間にか並大抵の戦力では介入するのも不可能な戦争にまで規模が膨れ上がってしまったと」
「うーん、どうしてこうなってしまったんでしょうねー」
あのまま行ってれば多少時間は掛かるにせよ、もう少し安全に解決できてたはずなんですけどねー。
なんて風にぼやく新聞部君を横目に、うーんと唸る俺達。
……うん、邪神をこうして仲間にした、もとい扱い的には倒したのだから、能力の制限も解除されてるんじゃないかなーって思ったんだけどね?
どうやらそうして邪神の抜けた穴をヤシの木達が(結果的に)埋めてしまったようで、能力妨害は解除されてないんでやんの。
ということは、だ。
この状況で彼等の戦いに介入しようとしても、普通に戦力外通告されるに決まってるわけで。
とはいえこのまま放置しておくと、地下世界が崩壊する……で済めばいい方で、最悪地下から出てきたブロックとヤシの木達の最終戦争で地上に深刻なダメージが発生する、なんて意味不明なことに発展しかねないわけで。
いやだよ俺、ブロックの方も大概だけどヤシの木に蹂躙される世界とか。完全にB級映画の流れじゃん。
とはいえ今のところ有効な手段もないし……と、思わず頭を抱える俺達だったのだけれど。
「──ん、ついに決戦の時は来た」
「その声は……TASさん!」
ついに帰って来た主役の声に、俺達は顔を上げ──そのまま困惑することになったのだった。