「た、TASさんその姿は……?」
「ん。今回の切り札」
「単なるブロックフォームでは……???」
突然現れた我らがTASさん、しかしてその姿は妙に角張っていた。
……ぶっちゃけるとブロックさんのそれと同じ、クラフトしてそうな見た目なわけだけど、いやそれが切り札?
「えーと、緑色だったり黒色だったりもしないけど……」
「別に突然匠のリフォームを見せたりもしないし襲い掛かったりもしないよ?」
「なん……だと……?!」
えっ、ちげーの?
TASさんのことだから『何事も暴力で言うことを聞かせるのが簡単』(超意訳)みたいなこと言いながら双方蹂躙しに掛かるのかと思ってたんだけど。
そんな感じのことを述べたところ、彼女から返ってきたのは呆れたような眼差しなのであった。……やだ、数か月ぶりな気がする反応。
冗談はともかくとして、彼女が実力行使を選択肢に入れてないっぽいのは中々に珍しい。
変に話すより殴った方が早い、みたいな感じで常に暴力を振るう機会を窺っていることは知っていたつもりなのだが。
「お兄さんその言い方だと誤解を招く。時間短縮目的だと相手の話を聞くより殴った方が早いことが多いから、単に早さ目的だと暴力に訴えた方がいいってだけの話」
「そうだよその辺わかって言ってるよ?話を聞いた方が後々有利になるならちゃんと聞くってことも含めてるよ?」
「……はははこいつめははは」
「あでででででででで」
「久方ぶりだからとイチャイチャするのは止めてくださいまし」
してないが?一向にイチャイチャなどしてないが?
単に久方ぶりのルーチンワークに勤しんでいるだけだが?……あっごめんなさい無言で俺に蹴りを入れるのに加わらないでくださいAUTOさん。
いつもより(能力落ちてるので)痛くないと言っても、流石にみんなにやられると流石に堪える……いや待ったなんでいつの間にかみんなして俺蹴ってるのさ?!
「貴方様へのツッコミはこのくらいが丁度良いからですが何か?」
「右に同じくー」
「兄ちゃんが調子に乗ってる時はこうするべきって習ったよー」
「みんなやってるなら続くしかないよね、このビッグウェーブに」
「右に同じですぅー」
「踏んで欲しそうにしていらしたので……嫌でしたか?」
『なんかとんでもないこと言っておらぬかお主???』
「今回俺に蹴る権利は無い気もするけど……まぁ、流れで?」
「私としては右に倣うのが礼儀かと」
「我は大概貴殿にそういうことしても許される立場な気がするのだが如何に」
「私は完全にノリデース!」
「ん。TASがやるなら私もやるのが道理。あとここで参加しないのはそれはそれで空気になるから良くない」
「ゥチがぃぅのもなんだけど、それもぅ大分手遅れじゃなぃ?」
「ここぞとばかりに主張してくんじゃねーよお前ら!?新人のブロックさん怖がってるじゃねーか!?」
「こわいこわいこのしゅうだんこわいっていうかTASがいるこわいこわい」
ええい、ここぞとばかりに『ここにいるぞ!』アピールしてきやがってこいつら!
確かに人数増えたからスポットが均一に当たり辛くなってるなーとは思うけど!
……メタい話はともかく、その一致団結っぷりは中々のもの。
これなら戦力が落ちていると言ってもなんとかなりそうだな!!……何が?
「ん、みんなが団結したところでいい加減話を進める」
「混乱させたのはTASさんなのに……」
「纏めたのも私、だから会話の主導権は私」(キリッ
「威張って言うことじゃねぇ!?」
ああでも、こうして傍若無人な彼女を見ているといつもの、って感じがするのも事実。
そんな感じである意味での当たり前……幸せ?を感じつつ、改めて彼女の作戦とやらを聞く体勢に戻る俺である。なんかAUTOさんからジトッとした目を向けられてる気がするけどスルーだスルー。
「じゃあとりあえず、これからの作戦を言うけど──無闇な争いよくない」
「それを君が言うのか……」
ある意味闘争の化身みたいなものなのに?
ジャンルによっては確かに荒事一切なし、なんてこともあるけれど、基本的には圧倒的な暴を振り回す側の人間がこういうこと言うのは普通に脅しの類いなんじゃなかろうか?
……みたいな眼差しを送ってたら目潰しが飛んできたでござる。はははこやつめすっごい痛い()
「お兄さんにこうしてツッコミを入れるのとは話が違う。彼等の戦いは迂闊に介入すると泥沼と化す」
「ほう、泥沼とな?」
「そう。具体的にはブロック側にダミ子が、ヤシの木側にAUTOが担ぎ上げられて骨肉の争いになる」
「ちょっと待ってくださいまし???」
「いきなり巻き込まれたですぅ!?」
おおっといきなり話が飛び火したぞ?
巻き込まれたとか抜かしたダミ子さんは寧ろその理由がある(ヒント:サンタ)が、そういうの無さそうなAUTOさんが巻き込まれるのは中々に不可思議だぞ?
「ん、本来ならDMとかスタンドとかを担ぎ上げるのが筋。とはいえそれだと単なる焼き直し」
「……ああなるほど、同じ邪神であるブロックさんの指示?で動いてこうなったんだから、同じ系統の指導者は避けるわな」
『こっちを見るでないわっ!』
……あ、なるほど勝利の女神として仰ぐのは誰がいいか、的な話なのね。
ジッとTASさんの見つめる先──先代みたいなものであるスタンドさんやDMさんの反応を見て、思わず納得してしまう俺なのであった。