うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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平和の象徴になるか、はたまた不和の証となるか

「参考元はそこの邪神ブロック。というか彼?を仲間にしないと作戦立案フラグからして立たない」

「……やけに長い話になってたと思ったら、省略不可能な類いのフラグだったのかあれ……」

 

 

 TASさんの言葉に、思わずとばかりに声を漏らすROUTEさんである。

 

 どうにもこれから俺達が決行しようとしている作戦、ブロックさんを仲間にしてないと選択肢として選べないモノに当たるらしい。

 正確にはフラグが立たないのでそもそも選択肢があるとすらわからない、という話になるらしいが……それはともかく。

 

 

「やることはとても単純。私達は敵じゃないと伝えるだけ」

「はぁ、敵じゃないと……?」

「何その顔」

「いや、別に味方でも安全とは言い辛いんじゃないかなーと、早くクリアするんなら特に(スピードラン的に)

「なるほど一理ある。一理あるから今からお兄さんを前線に叩き込むけどオーケー?」

「ノー!!絶対にノー!!」

 

 

 謝るから止めて!

 ……とちょっとした茶番を挟みつつ、改めて気を取り直すと。

 今回の作戦、ある意味では彼女の大好きな隠しルートに当たるものであるとのこと。

 

 

「フラグが立ってないと基本的にどっちかに味方するしかない」

「なるほど、その場合はどうなるんだ?」

「ん、分かりやすく選ばなかった方を協力して殲滅したあと、残った方の寝首を掻く」

「あらやだジェノサイドルート……」

「フラグが立ってないうちは、単に異世界厄介者であるとしかわからないから」

 

 

 なるほど、当初の目的──地下世界の平定を優先する形になるから、彼らを生かしておく理由がないと。

 そのため、どっちかを叩いて安心している残りを一気に攻め落とす……という、凄まじく鬼畜な作戦を取るより他ないと。

 

 

「そこまで言われる謂れはない……とは言えないのが悲しいところ」

「本当に悲しいと思ってる?」

「思ってる。今回のルートだと経験値一つも貰えないから余計に悲しいと思ってる」

「うーんある意味予想通りの反応ありがとう」

 

 

 なんだいつも通りのTASさんか()

 ……それはともかく、今の言い方からするとフラグの立っているルートは戦闘自体が発生しない、ということになりそうだが?

 と訪ねたところ、彼女からはあっさりと肯定の言葉が返ってきたのだった。

 

 

「戦闘を前提とすると、ここからさらに時間が掛かる」

「あーうん、殲滅前提なら確かにそりゃまぁ、ねぇ?」

「具体的には夏が終わっても終わらない」

「それは流石に掛かりすぎじゃねぇかな?」

 

 

 あれだ、そこまで掛かると流石に同人ちゃんの追試も終わってるはずだぞ???

 

 ……どうやら俺達が協力してしまうと、残された側が本気になってしまうらしい。

 その結果、本来ならあっという間に終わる戦闘も長引くことになり、ずるずると時間だけが過ぎていくことになると……。

 

 

「いえでも、私達はともかくTASさんは常に本調子、あの程度の群れならばなんとでもなるのでは?」

「そうは行かない。あんまりにも早いとペナルティがある」

「ペ、ペナルティ?」

 

 

 ただそれは、あくまでもTASさんを除いた面々についての話なのではなかろうか?

 TASさん単体ならあっという間に相手を殲滅できるのではなかろうか?

 ……という、至極まっとうな疑問がAUTOさんから飛び出したものの、それに対してもTASさんは答えを持っていた。

 どうやら、明らかに殲滅速度が早すぎると、相手側についてはよくても味方した側に問題が起きてしまうらしい。

 具体的には、『味方としては心強いけどもし敵になったら?』という警戒を促してしまうのだそうだ。

 

 

「一時期よく語られた『魔王を倒した勇者もまた脅威になる』みたいなもの。味方として行動してくれているうちはいいけど、もし仮にこの戦力が敵に回ったら自分達は何もできずに終わるのでは?……という形のない危機感が残った側を支配し、結果として不意打ちができなくなる。あとは泥沼の殲滅戦の開始」

「あー……」

 

 

 さらに言えば、TASさんが殲滅するということは、必然的に他の面々は後ろに下がるということ。

 言い換えると他のみんなが陣の後ろに──味方した側の群れの中に留まることになるため、反転して味方が敵になった場合あっという間に包囲されることになるのだそうな。

 無論、そうなってもすぐに倒されるようなことはないだろうが……本来のそれより戦い辛くなることは必死。

 それゆえ、あんまりにも殲滅速度が早いと泥沼の──ぐだぐだとした戦いにならざるをえない、なんてことになるのだとか。

 

 うん、そりゃまぁ可能なら選びたくないわ。

 早くもないしスゴくもないとなれば、TASさん的には完全に失敗の選択肢だろうし。

 

 

「ん、一応みんなに私のスゴさを見せる、ということはできる」

「そんなのいつも知ってるから大したことじゃなくない?」

「……ん」

 

 

 一応、久しぶりにTASさん無双が見られる、というのは利点かも知れないが……それに関しては正直やりたかっただけ、としかなりそうもないので遠慮しておく俺である。

 ……遠慮したのにちょっと嬉しそうな感じがするのはなんなんだろうね?

 

 

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