うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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大海原の前では宿題なんてちっぽけなもんさ……

 はてさて、地下世界のあれこれが片付き、最終的に干支アニマルズの遊び場になってからしばらくのこと。

 今日も今日とて追試に苦しむ同人ちゃんを眺めつつ、俺は唐突に呟いたのだった。

 

 

「そうだ、海行こう」

「は?」

 

 

 そういうことになった。

 ってなわけで、机に向かっていた同人ちゃんを引っ張り出し、近くの海へとやってきた俺である。

 

 

「いやまったく意味がわからないんっすけど?!課題途中だったんっすけど!?」

「わからぬか下郎、今のままではお前はダメだと言ったのだ」

「なんかいきなり下郎扱いされたんっすけど!?」

 

 

 やだ、打てば響くような軽快な反応である。

 正直面白……じゃなかった、今後の彼女の行く末を暗示するかのような反応であったため、思わずさめざめと涙を流してしまう俺なのであった。

 

 

「ええ……今度は唐突に泣き始めたんっすけど怖ぁ……」

「そんなことを言っていられるのも今のうちだ!これから起こることを聞けば貴様も俺に感謝することだろう!」

「情緒不安定なんっすか?……まぁそれはともかく、感謝って?」

「うむ、よくぞ聞いてくれました。過程は省いて結論から申し上げますと、このままだと貴方は死にます」

「はいっ!?」

 

 

 ようやく本題に入れたので、改めて説明をすると。

 ここのTASさんの持つ技能に『未来視』がある、というのは皆さん知っての通り。

 そんな彼女が突然こう言ったのだ、このままだと同人ちゃんは破滅する、と。

 

 

「どどどどどういうことっすか!?」

「どうもこうも、想定してたより君(の頭)がヤバイ、ってことだよ?」

「なんとー!?」

 

 

 それもそのはず、現在の同人ちゃんの追試回数、優に百を越える。

 本来優れていることを示す『優に』という表現を使ってしまうくらいに通常のそれとはかけ離れているのだから、そりゃまぁ危機感だって覚えてしかるべきというか。

 

 

「またまたーそんな大袈裟なー。私だってちゃんと前進してるんっすよ?次の追試は合格間違いなしっすもん」

「ほう、ところでそれは全体の割合としてどれくらいの位置だ?」

「…………」

 

 

 得意げな笑顔のまま固まる、という微妙に器用なことをする彼女に、思わず深々とため息を吐いてしまう俺である。

 ……因みに残りどれくらいなのかと言うと、大体半分を切ってないくらい。

 このままのペースだと、夏休み全部を使ってようやく終わるかなー、と言った感じになるだろうか?

 

 

「そん なに」

「そんなになんですよー。ってことはだ、今年の君は夏を楽しむことができないってわけ、オーケー?」

「お、オーケーっす」

「その結果君はあれこれと思い詰めた結果邪神様に全てを滅ばして貰おうと考え付きます

「!?」

 

 

 はい、ここで本題に入る……もとい戻ると。

 正直な話、例え柔らかく言って『少々学力が足りていない』としても、別に生きていくのに問題はない。

 分相応の生き方を心掛ければ、別に大きな問題が発生することもないだろう。

 

 ……はい、こういう言い方をしたのでわかると思うのだが、彼女ってば分不相応の生き方を願ってしまうタイプの人なのである。

 具体的に言うと、邪神の信奉者なので都合の悪いことは邪神になんとかして貰おう、とか考えちゃうタイプであるというか。

 

 

「そして現在この世には三人の邪神の化身が揃っている。そこから導き出される答えは!」

「こ、答えは?」

「彼らにそのつもりがなくても、特定の条件を踏めば邪神のパワーだけ使うことは可能、と言うことだ!」

「ギャー!?っす!!」

 

 

 そしてなんとも厄介なことに、同人ちゃんは真におバカなのではなく、興味の無いことに対しておバカなタイプ。

 ……言い換えると、興味のあることに対しては他人より機敏・かつ発想力に富んだ行動ができるということ。

 

 その結果、彼女にとっての興味の対象──邪神関連の話に限って、普段からは考えられないほどの嗅覚を発揮するのである。

 そんなわけで、どこぞの青狸にすがり付く勉強不得意ボーイの如く、彼女は現状の解消手段を考察し──結果この世界は滅ぶしかない、という結論にたどり着くのであった。

 

 

「いや色々とおかしいっす!流石の私もそんな考えには早々至らないっす!?」

「それはまだ余裕のある今だから言えることだよワトスン君。君はこれから徐々に徐々に追い詰められて行くんだ、そうして余裕がまったく無くなった時に再度同じ質問をした時、君は本当にそんなことしない、と胸張って言えるのかね?」

「そ、それは……」

「まぁぶっちゃけるとTASさん直々に『やらかす』ってお墨付きを貰ってるんだけどね!」

「ギャーっす!?」

 

 

 ええまぁ、青狸の話を再度引用するなら、青狸が各時間帯から集められた時みたいなモノというか。

 徐々に徐々に追い詰められていって、普段ならやらないようなことをやり始めてしまうというか?

 

 ……そうなってしまう理由が、夏休みをちっとも満喫できなかった、という彼女の思い。

 それを解消するのが彼女の死を回避する唯一の手段である、と俺は告げたのだった。

 

 

「……もしかしてなんっすけど、その私が死ぬってのは……」

「ええはい、世界の敵になった君に嬉々として挑んでいったTASさんによる犯行です」

「やっぱりー!?っす!!」

 

 

 ……ええはい、説得するのに大分掛かったと言っておきますね()

 

 

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