うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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砂漠の観光資源とはなんだと思うかね?

 そんなこんなで騒ぎつつ、ようやく目的の国に着いたのだけれど、俺達は今唖然とした表情を浮かべていたのだった。

 なんでかって?そりゃ勿論、こっちの予想だにしていなかったことが発生していたからに決まってるじゃあないですかHAHAHA()

 

 

「いや、真面目になんだこれ……」

「まさか知らないうちにこんなことになっているとは……」

 

 

 MODさんと一緒に、変わり果てた小国を見上げる俺。

 その視線の先にあったのは──、

 

 

「……アンダーランドフェスティバル、だぁ?」

「まさか地下遺跡を観光資源に……?」

「滅茶苦茶呪われそう」

 

 

 国のあちこちに立ち上る、テーマパークみたいなカラフルなのぼりの姿なのであった。

 

 いやそもそも、のぼり以外にも変なところはいっぱいある。

 前もとい前回見た時は普通の──質素な砂漠の国、みたいな印象でしかなかったはずの建造物達は、その全てがカラフルなカラーリングで染め直されていた。

 あまりにもポップな見た目になってるもんだから、近付いていくうちに『あれ?目的地間違ったかな俺?』みたいな気分になっていったくらいだし。

 

 それ以外にも、歩いている人達にも差異があった。

 あれだ、完全にテーマパークにいる人達としか思えないような見た目になっていたというか。

 観光に来ている人達っぽいのは砂漠なのにも関わらずかなりの軽装だし、そうでない面々もなんというか店員……もといテーマパークのキャストとしか言い様のない見た目になっているし。

 

 早い話が完全に遊園地とかその辺の見た目になっているわけなのだが、それがあの冥界と呼ばれた地下遺跡を観光資源にしているっぽいというのだから、そりゃまぁ呪われそうなんて発言が出るのも仕方のない話というか……。

 

 

「ん、なんだい兄ちゃん達ここは初めてかい?」

「は、はい?……ええと、初めてというかなんというか……」

「なるほどやっぱり初心者か!じゃあ簡単にこのアンダーランドの解説をしようかと思うんだが構わないか?」

「え、あ、はい」

 

 

 そんな風に困惑していると、こちらに近付いてきた人影が一つ。

 気のいいおじさん風のその人物は、こちらの困惑を初めて見る場所に感動している……という風に受け取ったらしく、こちらに対しての説明を(勝手に)買って出てくれたのだった。

 

 で、そんなおじさんの解説によると、だ。

 

 

「このアンダーランドの売りはまさにその『呪われる』ってやつでね!遠い東にある国にはこういう言葉があるんだろう、『キモガヒエル』ってやつ。それをこの国でも再現しようとした結果がこれでね!」

「……まさかとは思うけど、積極的に呪われに行ってる???」

「まぁ、端的にいうとそういうこったな。勿論、ここから帰った時にあとを引かないよう呪術師によるアフターケアは用意してあるけどな」

 

 

 ……とのこと。

 どうにもこっちでも国家存亡の危機になったのは変わらないみたいだが、それを解消する際に何者かの干渉があったらしく、『冥界に財宝を探しに行く』のではなく『冥界自体を財宝として扱う』方向になったのだそうな。

 

 その結果、日本でいう納涼──肝試しみたいなノリが考案され、地下遺跡探検ツアーが涼を求める人の憩いになったとかなんとか。

 ……何があれって、どうにもこれ実際に呪われているらしく、地下遺跡から出てきた人達はみんな寒さに震えるのだそうだ。

 気温五十度とかに達するような砂漠に囲まれた大地で、である。

 

 

「……いやこれありなん?」

「よっぽどその呪術師とやらが凄腕なんだろうなぁ……」

 

 

 暑さで死ぬレベルなのにも関わらずそれでもなお寒さに震える……となると、出てきた人達に降り掛かっている呪いはかなりの強さだろう。

 にも関わらず、それをモノともせず観光客が押し寄せるとなれば……よっぽど力の強い呪術師が呪いを祓っている、と認識しておいた方がいいのかもしれない。

 

 

「問題は、その呪術師が誰なのかって話だよねぇ」

「ん、世界を滅ぼせるレベルのエネルギーが集まるのがここの冥界。観光客達に呪いを掛けるのに力を分散しているとは思うけど、それでも祓い切れるようなものとは思えない」

「冥界……エネルギー……うっ、頭がですぅ……」

「なんでダミ子さんは頭を抱えてるっすか?」

「聞かないでやってくれ、死ぬほどダメージ受けてる」

「はい?」

 

 

 なんか一部別方向にダメージを受けているのがいるけどそれは置いといて。

 ともかく、明らかに変なことが起きているのは見ればわかる。

 となれば、一度はこの国の存亡に関わった身である以上、その辺を確認せずにはいられないってわけで。

 

 

「よし、とりあえず件の呪術師とやらの顔を拝みに行こう」

「そうだねぇ、もしかしたら何かしらズルとかしててやっぱり存亡の危機、なんてパターンもありえるし」

「とはいえいきなり問題を解決とも、それが問題とも言いきれませんから……終わったら王女様を探す、というのが丸いのでしょうか?」

「……そういえば、居るのかな王女様。今回拐う人は居ないっていうかその元締めこっちにいるけど」

「俺を見るなよ……」

 

 

 なんやかんやとうだうだ言いつつ、一先ずは呪術師とやらの顔を拝むために行動することにした俺達なのであった。

 

 

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