うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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なんだかややこしそうな予感

 さて、件の呪術師とやらを拝むため、アンダーランドとやらの入り口に向かって進み始めた俺達一行。

 観光客達の流れに沿うように進めば、やがて見えてきたのは派手な見た目のアーチであった。

 

 

「……もはや完全にテーマパークだな」

「入場券を買いに行く流れですわね、明らかに」

 

 

 ようこそ(welcome)、とかでかでかと掲示されてる辺り、なんというか場違い感がすごい、とてもすごい。

 こんなん仮に中を見ずともこれを見た時点で呪われそう()なんて感想すら出てくる始末だが……これで終わりじゃないというのだから末恐ろしい。

 

 今しがたAUTOさんが述べた通り、この巨大な入場門の下には入場券を購入するための売場があり、人々は皆その前に並び長蛇の列を作り上げている。

 ……その最高尾には看板を持った人間が一人立っており、そちらにはこう書かれていた、『ただいま二時間待ち』と。

 

 

「普通に人気なアトラクションの待ち時間だこれー!?」

「と言っても、ここではまだ早い方みたいですよ?あちらのボーン観覧車は残り三時間待ちですし、あちらの冥界下りジェットコースターに至っては驚異の五時間待ちです」

「えぐっ」

 

 

 なお、周囲に立ち並ぶ他のアトラクションは、その大半がここより長めの待ち時間となっていた。

 流石にメリーゴーランド(とは言うものの、ファンシーなのにホラーな感じの見た目)とかは人気がそこまでというわけでもないのか、待ち時間を必要とせずに乗れているみたいだけど。

 

 いやそれにしたって長いよ流石に。

 ってか本当にテーマパークじゃん、夢とか売ってそうなノリじゃん。

 冥界とは噛み合わんだろうによくもまぁ呪いの被害を抑えているもんだよ、まったく。

 

 

「で、その呪術師様とやらはこの入場門の先──冥界の奥深くで引きこもってるってわけか」

「まぁ、この地に眠る者達の怒りを抑える、というのであれば地下深くである方が望ましいのは確かでしょうね」

「お、出たぞ新聞部君の巫覡トーク」

「茶化さず真面目に聞いてくださいねー?」

「あっはい」

 

 

 なお、専門家的な新聞部君の見解はそんな感じである。

 ……自分に声を掛けてくる人ならざるものの影が見えない辺り、件の呪術師とやらは相当上手く彼らの不満を解消しているのだろう、と。

 無論、不満を感じてもそれを漏らす隙すら与えず徹底的に管理する、という形でも彼らを抑えることは可能ですが、と付け加えることも忘れずに。

 

 ……何にせよ、件の呪術師に会わないことには話が進まない、というのは確かだろう。確かなのだけれど……。

 

 

「……TASさん、待てる?」

「え?」<ブブブブ

「なんか姿が掠れてる!?ストップ!グリッチ使用によるコースの大幅なショートカットをやろうとするのはストップ!!」

「えー」

 

 

 はい、こんな待ち時間だらけの状況、待てる人間がうちの面々に何人いるのやら、という話になるわけでですね?

 

 わかりやすく無理なTASさんを筆頭に、近隣に立ち並ぶ料理屋に目が奪われていてそれどころじゃないダミ子さんだとか、こんなに掛かるんなら先に王女の方を探した方がいいだろうとそわそわし始めたMODさんとか。

 それから、場所が場所だけに負の念でも溢れているのか微笑みがほんのり邪悪になりつつあるDMさんと、それを見て抑えろ抑えろと横で言ってるスタンドさんだとか。

 

 まぁそんな感じで、何人か待つどころじゃない、って空気を最大限に醸し出しているのである。

 ……え?ブロックさん?なんかほへー、みたいな感じで肉食べてるよ、すっごい音出しながら。

 

 

「その姿、俗に言う『アウト』なのではありませんか……?」

「一向に干し肉食べてるだけですからセーフですよ?いやまぁダミ子さんと取り合いになってるのはアウトだろうけども」

 

「ぬぉっ!?何故我輩の干し肉を奪おうとする!?さっきまで周囲の店を見てただろうお主?!」

「今この国のお金の持ち合わせがなかったんですぅ!!どうせTASさんが増やして渡してくれるだろうと高を括ってたんですぅ!!」

「余りにも自然な流れでヒモ宣言しなかったか今!?」

「そんなの最早今さらですぅ!!私は飼われてる猛獣に過ぎないんですよぅ!!」

「いや、猛獣は盛り過ぎ」

「そこ引っかけるとこじゃないですぅ!!」

 

「……ね?」

「何が『……ね?』なのかまったく理解できないのですが?」

 

 

 いやほら、そんなものより見苦しいものがあるでしょ、的な意味というか。

 ……飛んできた石ころを避けながらAUTOさんにそう返せば、彼女は『避けるくらいならそもそも石を投げられないように注意すべきなのでは?』……と、至極もっともな指摘をこちらに投げてきたのだった。

 常識で殴るのは反則だと思うんですよ私()

 

 ……冗談はともかく、である。

 早く遺跡内部を見て回りたいがためにTASさんの援護をしようとしているCHEATちゃんとか、色々抑えの利かない面々がいることは事実。

 

 

「その上で、この炎天下の中待ち続けるのはちょっと、って感じだろう?」

「まぁ確かに。平気な顔して待っているのは目立ちますわね」

「そこで、メンバーを分けようと思う」

「場所取りに残る者とそれ以外、ということですわね?」

「そういうことー」

 

 

 ってなわけで、抑えられない面々のケアのため、メンバーを分けることにしたのであった。

 

 

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