うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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どこまで行っても彼女のノリは変わらない

「さて、そうなるとさほど急ぐ必要はない、ということになるのかもしれませんね」

「え?さっきの話を聞いてると、滅茶苦茶急がなきゃいけないように聞こえるんっすけど?」

 

 

 はてさて、TASさんがやろうとしていること、およびそれによって起きること。

 それらが結構な騒動を引き起こす可能性について触れたわけだけれど。

 ……それを止める、ないしは手伝うことを求められた俺達は、しかしてそこまで急ぐ必要性はなさそうだ……というようなことを、AUTOさんが述べたのだった。

 

 それに首を傾げたのが同人ちゃん。

 このままTASさんを放っておいたら先々進めてしまうのでは、という懸念なのだろうが……それに関してはまったくの杞憂である。

 

 

「先程彼も述べていらっしゃったでしょう?止めるか否かはこちらに委ねられている、と。……止めた結果発生するのはいわば制限クエスト、TASさん的にはどちらでも美味しいのですが、その選択肢をこちらに委ねている以上、勝手に話を進めるつもりはないんですのよ」

「な、なるほど?」

 

 

 それが何故かと言えば──今しがたAUTOさんが触れたように、先々進んでしまうのは極論()()()()()から。

 こちらの反応如何によって動きを変えよう……みたいなノリで待ち構えているのに、勝手に進むのはそれを投げ出す行為でしかないから、ということになる。

 

 真面目に聞いてて『こいつラスボスか何かか?』みたいな思考にしか思えないが、まぁその辺はTASさんだから仕方ないとして。

 ともあれ、こっちが行動してくれることを強く期待している……という風に言い換えると、そりゃまぁこっちが動くのを待つよなぁって解釈になるのが普通というか。

 

 そんなわけなので、逆説的に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という話になるのであった。

 

 

「……あれ?準備っすか?」

「流石にずっと待ってくれる、ってわけではないってこと。()()()()()()()()()って解釈されたらその時点で動き出すだろうね」

「あー……選ばないことも選択のうち、ってことっすか」

 

 

 無論、いつまでも動き出さずにこっちの行動を待ってくれるか、と言われればそれはノーだろう。

 彼女がどういう基準でそれを判断するかは不明だが、少なくとも準備をしている、というフリですらないと判断されたらバッサリ切り捨てられるだろうな、というか。

 具体的には『明日やるー』って感じに後日へと引き延ばし始めた時とか?

 

 貴方達がまともに妨害する気がないのなら私も好きにする……みたいな気分になられるとこっちとしてもどうしようもないので、TASさんがそんな気持ちにならないように立ち回る必要がある、というわけだ。

 なので、少なくともこの場で立ち止まっているのは好ましくないという話になり、じゃあとにかく前には進もうって結論に至るんだけど……。

 

 

「そこで再燃する問題が『この暗闇突然壁とか湧かねぇだろうな』っていう疑念なわけなのです」

「なるホド……制限時間をトニかく長く取りたいケレド、そのタメに前進するノハちょっと躊躇われるってワケデスね!」

「大雑把に言うとね」

 

 

 そこで問題になるのが、さっきからちょくちょく触れている『この暗闇安全なの?』という疑問。

 

 自分達以外何も見えないこの世界は、はたして闇雲に進んで大丈夫なものなのか?

 勿論、こっちにもTASさんと同じく未来が見える(ようなものである)ROUTEさんがいる。

 

 ……いるが、同時に彼女も万能というわけではない。

 未来を選択肢として見る関係上、ここみたいに確認しなければならない選択肢が多すぎる場所では色々と負担が増えてしまうのだ。

 

 

「そうなんですか?」

「……それをなんでコイツが知ってるのか、って疑問はあるが……概ね間違ってねーよ。本当に万全を期すなら、一歩進む度に周りにある全ての選択肢を確認し直す必要があるからな」

 

 

 その理由は単純明快、そもそも彼女の能力上()()()()()()()()()()()()、と出てしまうから。

 大雑把にどうするべきかを問うと選択肢は『引き返す』『このまま進む』という二択になってしまう、とも言えるだろうか?

 

 わかりやすく言うと、普段は『右を選ぶ』『左を選ぶ』といった感じに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のに対し、現状は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()状態、というか。

 それだけでも負担増だが、さらに負担を増やす要素として現状周囲から得られる情報がほとんどない──周囲が真っ暗である、ということが挙げられる。

 

 未明の領域(真っ暗な場所)というのは、古くから人に恐れられるもの。

 それが何故かと言えば、()()()()()()()()()()()()()()()というところが大きい。

 

 

「言い換えると()()()()()()()()()()()()()わけだから、一般的な未来視の場合下手すると視える可能性が多過ぎて脳が爆発する、みたいなことになるかも?」

「流石に爆発は言い過ぎだが……方向性としてはそれで間違いねぇな。そもそもTASのせいで来た場所なんだから、警戒なんてし過ぎてもし足りないくらいだ」

「なるほど……」

 

 

 簡単に言えば、一歩踏み出すだけでも足を何処に下ろすかとか、上半身を捻ったりして()()()()()()()()()()()()とか、あれこれ想定していなければならない状態……というか?

 見えているのならその辺は雑に処理できるが、見えていない以上は想定すべきパターンは無茶苦茶に増えるのだ、とも。

 

 いやまぁ、普通の暗闇ならここまで警戒する必要ないんだけどね?

 でもここTASさんに連れてこられたところなんで、警戒なんてし過ぎるくらいでも足りてないかもしれないんで。

 

 ……ってな感じで、無策に進むには色々とあれ、みたいなことになってしまうのでありましたとさ。

 

 

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