うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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こんな大人数でこんな場所に来たくなかった、という愚痴

「なるほど、そうやって足を止めると彼女の基準に引っかかる可能性があり、だからといって時間を気にして行動するにはこの場所は何が起きるかわからなさすぎる、と。……私としても、ここを何も準備せずに通り抜けるのは避けたいところですね」

「その心は?」

「名目上でも冥界なので、私の能力も役に立たないから……ということになりますかね」

 

 

 やれやれ、と肩を竦める新聞部君である。

 ……彼の技能というと『周囲の八百万の神にお願いを聞いて貰える』みたいなものになるわけだが、場所が冥界だと願いを聞いてくれる神様もそれに準拠したものになるのだろう。

 雑に言うと、あんまりお世話になりたくない相手しか周囲に居ない、みたいな感じ?

 

 最悪、願いを聞いた見返りに冥界で暮らして♡

 ……とかやられかねないので、可能なら能力は使いたくないとかそういう感じだろう、多分。

 そりゃまぁ、彼視点でも厄介だなぁ、という感想が浮かんでくるのは仕方のない話というか。

 

 

「何が出るかわからないのが問題なのだろう?だったら我が周囲を金で染める、という方法もあるが。少なくとも障害物が目に見えるようにはなるぞ?」

「滅茶苦茶有用そうな案だけど、とりあえず今は止めといて」

「何故だ?有用そうなら試せばいいと思うが……」

「そもそもこの国にある冥界って()()()()()()()のイメージでもあるから……」

「あーなるほど、金とか使ったらそのイメージにもろに引っかかるっすね……」

「結果、成金も冥界の一部になるコース……ってことデスね?」

「むぅ」

 

 

 ついでに言うと、成金君もここで能力を使うのは避けた方がいい。

 その理由は、冥界がそもそも地下世界であること──地下資源に纏わるものである、という点。

 下手すると冥界の構成材料として取り込まれる可能性大というか、優先的に成金君を取り込もうと動き出す可能性のが高いというか……。

 まぁともかく、単なる想定の時点で問題山積みなので、迂闊に触るべきではないというか。

 

 特に、ほぼ無尽蔵に金が出せてしまうという部分は、一番相手側に知られてはいけない要素になるだろう。

 単に金が出せる、というだけならそこまで目を付けられないかも知れないが、その出せる量にほぼ限界がないというのなら話は別。

 何においても確保すべき人員、ということで冥界が蠢動(しゅんどう)し、それを察知したTASさんが有無を言わさず冥界を破壊。

 

 ……結果、蓄えられていたエネルギーが暴発、ここら一帯の国々が全て滅亡……なんて展開になったら目も当てられないからだ。

 

 

「そ、そこまでする必要はないのではないか?!」

「いやー、仮に冥界の意志が前周と同じなら寧ろこれがベストというか……普通に世界滅びるし、その場合」

「ええー!?」

 

 

 思わずドン引いてる成金君に、認識が甘いと釘を刺す俺である。

 

 この冥界は質量をエネルギーに変換する機能を持つのだから、そこに無尽蔵の材料を放り込むと普通に世界……もとい宇宙を破壊するに十分なリソースになってしまうのは子供でもわかる話というか?

 そんなわけなので、成金君には悪いが可能な限り自前の身体スペックだけで頑張ってくれ、って感じの話になるのでありましたとさ。

 

 

「で、結局この暗闇をどう進むのか、って話に戻ってくるわけだが……実際どうすんだ?」

「一番簡単なのはAUTOさんにこの状況に適応して貰う、って感じなんだけど……」

「なんだけど?」

「見てる感じちょっと時間が掛かりそう」

「……なんかぶつぶつ言ってるけど、大丈夫?」

「儂にはわからん()」

 

 

 話は戻ってこの暗闇をどう進むか、なのだが。

 普通に考えると、あらゆる物事に対応できるAUTOさんにルートを見付けて貰う、というのが一番安全なのは確かである。

 

 彼女のそれはTASさんと同じく、荒唐無稽ではあるものの正規ルート、相手から咎められることのない安全な道の一つ。

 ゆえに、冥界みたいなルールに厳格な場所でも安心して使っていける手段の一つ、ということになる。

 ……言い換えるとCHEATちゃん辺りは半ば出禁、ということになるわけだが。

 下手なことするととんでもないペナルティを受けかねないというか?

 

 そういうわけなので、AUTOさんには期待してるのだが……それでも問題がないわけではない。

 その問題と言うのが、答えを見付けるまで彼女は動けない、という点。

 わかりやすく言うと、答えを探すのに時間が掛かってしまう、ということになる。

 

 

「答えがあればそれをなぞることができる、ってのが彼女の技能の本質なわけだけど、その答えが()()と探すのに時間が掛かるんだよね……」

「今は……あれか?冥界を安全に歩く方法とか探してるのか?」

「いんや、五感が頼りにならない状況で暗闇を歩く方法、とか探してるんだと思う」

「なんか難易度上がってね???」

 

 

 そして、現在彼女が目標と定めているものは、恐らくその答えに至るまで本来なら数千年単位で掛かってしまうようなものなのだろう。もしくは()に遠いか。

 どちらにせよ容易に届く位置にはなく、AUTOさんはぶつぶつと呟きながら答えを探している最中なのでありました。

 

 ……え?想定してるやり方が慎重すぎる?それくらいの方がちょうどいいからね、仕方ないね。

 

 

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