「そういうわけで、まずは作戦一ですわ!」
「「ですわー」」
おー、ってな感じにAUTOさんの言葉に合わせて掛け声を上げる俺とMODさん。
作戦云々については正直聞いても仕方ないというか、声に出した時点でTASさんに察知される可能性大なため、こっちは彼女の指示を全面的に信頼することで会議の代わりとすることに。
というわけで、早速彼女の指示に耳を傾けることになったのだけれど。
「まずは貴方様」
「はい」
「脱いでください」
「は……なんて???」
「はい?……あっ、いえそのいかがわしい意味では無くてですわね?!」
いきなり何を言うとるんじゃこの女は(動揺の余り変な言葉遣いになりながら)。
唐突な脱衣要求に思わず信じがたいものを見たような視線をAUTOさんに対して送ってしまったが、そのあとの反応を見るに別に変なことを言ったわけではなく、至って真面目に解決策を提示した結果そうなった、ということで間違いないらしい。
……いやまぁ、それはそれで俺が脱ぐことに攻略上の意味がある、というそれもそれでおかしな結論に到達してしまうわけなんだけれども。
ともあれさっきの判断(≒彼女を信頼してその指示に従う)を早々に翻すわけにもいくまい。
「ええと、脱ぐっていうのはどこまで?」
「え、あ、はい。上着だけで結構ですわ……」
「最初からそう言えば良かったのにー」
「やかましいですわよMODさん!?」
わー怒ったー、などと揶揄した結果思いっきりげしげし踏まれているMODさん(※スケートボード)を横目に、上に羽織っていたジャケットを脱ぐ俺である。
……砂漠みたいな高温・直射日光の強い場所では安易に肌を晒す半袖姿より長袖の方が寧ろ快適である、って話から着ていたジャケットを脱ぐのは色々不安が無くもないが、とはいえ脱がないと話が進みそうもないのでさっさと脱いでおく。
「それで、こっからどうするの?」
「ええとですね……そのジャケットを私の肩に羽織らせて頂ければ……」
「…………(何言ってるのコイツ、とでも言いたげな顔)」
「別に変なことを言ってるわけではありませんわよ!?これが必要なんです本当ですのよ!?」
その結果、次に飛んできた指示にまたもや怪訝そうな眼差しを向けることになったが……あれかな?こうしてこちらから疑うような眼差しを受けることすら前提になってるパターンの作戦なのかなこれ?()
いやまぁ、それが必要ならやるけどさぁ……ってなわけで、AUTOさんの肩に軽く羽織らせるような形で俺のジャケットを彼女に着せる俺。
……なんかこう、色々と誤解を招きそうな絵面だなと思う俺を他所に、彼女は小さく咳払いをしながら表情を真面目なものに整えながら、こう告げたのだった。
「えーこほんこほん。これで事前準備はすみましたので、もう一度私を背負って頂いても構いませんか?」
「はぁ、これで準備は終わりだと?」
「はい。これのために一時止まりましたが、ここからはノンストップです」
背負い直せと言われれば素直に従いましょう、そう決めたからね()
ってなわけで、何故か俺のジャケットを羽織ったAUTOさんを背負い、
……冷静に見なくても絵面がどんどん変なことになっていくんだけど、これで本当に目的を果たせるんですかね?
あと足元で爆笑してるMODさん、後で覚えてろよお前このヤロー。
「はっはっはっ八つ当たりは止めたまえよ君。ところでAUTO君、私達はこのまま再度高速移動を開始する、ということでいいのかな?」
「ええ、その認識で構いませんの。ですのでエンジンはしっかり暖めておいてくださいませ。──ロケットスタート、期待していますわよ」
「オーケーオーケー任せて貰おうじゃぁないか。ブンブンブーン♪」
(エンジン……?)
いやまぁ、謎の原理で加速してるってよりはエンジンで加速してる、っての方がわかりやすいけど。
でもそれだとどこぞの小学生名探偵もビックリの超性能スケボーってことにならないこれ?
……そもそも人間が変身してるって時点で意味不明?そりゃごもっとも。
ともかくである。
背負ったAUTOさんを気にしつつMODさんの上に飛び乗れば、響き渡るエンジン(を模したMODさんの)音。
さっきもやったことなのに無性に不安になるそれらの要素を聞き流しながら、前方に視界を向ければ。
「──はい?」
「おおスゴい。色々圧縮した感じ?」
先程までの加速など子供騙しだったかのような、異常なほどの加速──それこそ自身が光にでもなったかのような超加速により、遥か前方にいたはずのTASさんの背中数メートルにまで接近していたことを認識したのであった。
……いや幾らなんでも早すぎないこれ!?っていうか反動とかも一切なかったんだけど!?
「ちぃっ、失敗しましたわ!こうなったらここからカーチェイスですの!」
「これで失敗なんです!?」
しかも背中のAUTOさんの言葉からすると、どうやら結果としては失敗に当たるらしいし!
困惑する俺を他所に、高速の中の戦いは更なる境地へと加速して行くのであった……。