うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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君達当初の目的を忘れてない?

「いや真面目にどうなってるのこれぇー!?」

「ん、よくわかってないお兄さんに説明すると、その羽織ってるジャケットがポイント」

「マジでー!?」

 

 

 流れる景色があまりに早いんだけどこれもしかして転けたら死ぬやつですねわかります!

 

 明らかに下手な車とかより早い速度で進んでいることがわかる現状、思わず身が竦むがそんなこちらなどお構いなしにカーチェイス(?)は続く。

 

 

「ええぃ、MODさんミニターボです!今、ここ、そこ、今!」

「はっはっはっあまりにも忙しいねぇ!それでも届かないわけだけど!」

「ん、初手の奇襲は上手かった。まさかゴーストを重ねて私の目を欺くとは」

「俺にもわかるような会話をしてくれませんかねぇ!?」

 

 

 確実にレースゲームめいたことをしてるんだろうなー、ってことはわかるけどさぁ!?

 正直俺には何が何やらさっぱりで、辛うじてさっきから周囲が何もない場所じゃなくなり始めてるなー、ってことくらいしか把握できんのだわ!

 っていうわ時々壁が湧いてる気がするんだけどこれ普通にぶつかったらヤバいやつだよね!!

 

 

「寧ろ積極的にぶつかっていくつもりじゃなければTASさんには勝てませんわ!」

「はぃぃぃぃぃぃっ!?」

「正確には壁が発生するタイミングで同じ座標に重なる、だね。そうするとこの空間では壁の中に埋まらず外に押し出されるから、幾らか加速の足しになるんだよ」

「すげぇ!何言ってるんだかまったくわからねぇ!!」

 

 

 おかしいなぁ!いつもなら俺だけわかってみんなはわからない、みたいなパターンがほとんどなのになぁ!!

 

 いやまぁ、何を言ってるのかはわかる、言ってることの意味もわかるのだ。

 単に今彼女達がそれを言うことがわからん、ってだけで。

 なんで明らかにこっちまでTAS、もといRTAしてんねんってツッコミたいというか。

 

 

「それ同系統だから勝てないやつぅぅぅぅぅぅっ!!!」

「いいえ、勝つんですのよ!これはあくまでも手段の一つなのですから!」

「ふむ」

「何が見えてるんですかぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

 ……やっぱりわからねぇ!

 AUTOさんのパワーを活かしてなんとかするんじゃなかったんかい、という俺の悲鳴は虚しく暗闇へと消えていったのであった……。

 

 

 

;´・A・

 

 

 

「……それで、最終的にはどうなったの?」

「勝負には勝ったけど賭けには負けた。AUTO達も中々やる」

「犠牲は出てしまいましたけどね……」

「お兄さん……尊い犠牲だった」

「生きてますが!?」

「辛うじてって感じデスけどネェ」

 

 

 はい。……はいじゃないが?

 

 高速の世界でのカーチェイスはいつまでも終わらずに続くかに思われたが、その終わりは呆気なく訪れた。

 ゴールらしいとあるアーチに顔面スライディングを決めた結果、TASさんの方が早く着いてたけど目的?は果たされなかった、みたいな感じになったのだけれど……改めて原理を説明されてもよくわからん、というのが率直な気持ちである。

 なんだよ今のお兄さんは鍵になったって……いつから鍵の作成云々の話になったんだよ……。

 さっきまでのカーチェイスは何の意味があったんだよ、と思わず愚痴を溢したところ、何言ってんのこの人みたいな顔を向けられたことを俺は忘れない……。

 

 

「いえその、道中明らかに同じ場所をぐるぐると回っていたのですが……気付かなかったのですか?」

「気付くかぁ!!周囲は相変わらず真っ暗だったしほとんど直進しかしてなかったじゃねぇかぁ!!」

「その辺はあれだよ、壁が出現するタイミングで同じ座標にいると押し出される云々の話を応用したってわけでね?」

「あれカーブにも使ってたの?!」

 

 

 流石にわかるかぁ!!

 ……ってなわけで、よく分からないうちに鍵作成のためのレースに移行していた、ということになるらしい。

 その結果なんで俺が鍵になるのか、ってのはまったくわからんけども。

 

 

「それもタイミングの問題。私が鍵を作るタイミングでお兄さんが顔面紅葉おろしになることで判定が多重発生、いわゆるラグが起きて処理に割り込まれた結果お兄さんが鍵になった」

「判定割り込みに使われたのか俺……」

「そうでもしないと無理がありましたので」

 

 

 寧ろ、最初から最後まで徹頭徹尾それを狙っての行動でしたし、と悪びれる様子もなくさらりと告げるAUTOさんにジト目を一通り向けたあと、はぁとため息を吐く俺。

 

 

「……とりあえず聞きたいんだけど、俺が鍵になったことで何か影響があったりとかは?」

「ん、少なくとも私が勝手に進むのは不可能になった。鍵を再度作ろうとするとお兄さんを亡きものにしないといけないから」

「さらっと怖いこと言うの止めない???」

 

 

 なんで?亡きものになんてしないよ?

 ……と首を傾げるTASさんに、そういうことじゃないですと真顔で返す俺である。

 手段が血生臭いからあれこれ言ってるんであってだね???

 

 ……まぁいいや。

 ともかく、現状いきなり呪術師とやらの居城に飛んで対応をさせる、みたいな後々問題になりそうな暴挙を行うことはできない、ということは間違いない。

 

 となれば、これからやるべきことは一つ。

 当初の予定通り列に並んで正規の手段で相手に会うことだろう。

 時間をみれば、向こうと別れてから大体一時間半ほど経過している。

 このまま元の場所に戻れば、いい感じに呪術師に会うことができるだろう。

 

 ってなわけで、意気揚々……とはいかないけれど、素直にダミ子さん達と合流するために歩きだした俺達なのであった。

 

 

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