はてさて、俺達としては単にダミ子さんの所在について確かめただけなのだが、それに対してのDMさんの反応は些か奇妙なものであった。
あれ、と一言呟いた彼女はというと、何かを思い出すように上を見たかと思えば、小首を傾げて下に視線を移し、そのまま塞ぎ込んでしまったのである。
これには尋ねた側のこちらも困惑、思わずみんなと顔を見合わせる始末。
そんな俺達の様子に気付いた彼女は、愛想笑いのような微妙な表情のまま、その答えを吐き出したのだった。
「……ええと、何処に行ったのでしょう、彼女」
「はい?」
いや何処に行ったのかって、それは寧ろこっちが聞きたいやつなのですがそれは。
……思わずそんな言葉が脳裏を過るものの、それを放った当人は半端な笑みのまま首を傾げている。
いや、よくよく見ると冷や汗みたいなものを掻いている?
「……いやロボは冷や汗掻かねーよ!?何これ!?」
「不味い、DMが爆発する!」
「ええ!?」
「ああああああああああああああああああああ」
「あっやべぇこれマジで爆発するや
~画面が明滅しております。暫くお待ち下さい~
「……死ぬかと思ったんだが!?」
「でも生きてた。神に感謝」
「おおよそTASの口から出ないだろう言葉がでてきたな……」
冷や汗……もとい冷却液を漏らしながらガタガタ震え始めたDMさんが、大方の予想通り閃光を放ちながら大爆発を引き起こしたわけなのだが。
……いや、真面目に他の面々があれこれ頑張ってくれなきゃ大惨事だったでしょ、これ。
見るからにヤベー爆発だったもん、俺とか日本被れさんの肉壁がなかったら、確実に周囲の建物ごと辺り一面焼け野原だったぞこれ……。
「おおっと、私の活躍も忘れないでくれたまえ!咄嗟に爆発に変身することで勢いを大きく削いだのだからね!」
「ん、それを言うなら私も頑張った。咄嗟に爆発呪文を唱えることで勢いを相殺した」<フンス
「これで面接で『爆発呪文が使えることが本社にどのような利益をもたらすのですか?』とか聞かれても大丈夫だな!」
「そのネタ今の人わかるんかね?」
いやまぁ、言い出したのがCHEATちゃんもとい若い人な辺り、何処かでネットミームとして見掛けたか、はたまた配信してる時にコメントとがで見たとかそういう話なのだろうけど。
……いや配信で面接云々の話するか???
まぁともかく、周囲への被害を最低限にすることは成功したと言っても問題あるまい。
となると、気にすべきことはただ一つ。
『──すっきりしました!』
『その一言で片付けられるような話ではないと思うわけだが?あ?』
『いひゃいいひゃい、ほほほひっはははひへふははい』*1
この、スタンドさんみたいに半透明(?)になってるDMさんについての話、だろう。
……一瞬あの大爆発で帰らぬ人になったのかと心配したのだが、結果はご覧の通り。
心なしか普段よりテンション高めに見えるんだけど、なんなんこの人?いや正確には人じゃないけども。
『ああいえですね?そもそも私ってこっちの姿の方が本来の姿みたいなものでしょう?メイドの姿は世を忍ぶ仮の姿……みたいな?』
「忍んでいるから不明ですけど……まぁ、元を辿ればいわゆる封印用の依り代みたいなもんではありますね」
『でしょうでしょう?そんなわけですので、そこから半ば偶発的にとはいえ解放されたことで、思わずその解放感にテンション最高潮ってわけなのですよ!』
「……絶妙にノリが鬱陶しいんだけど、DMさんってこんな感じだっけ?」
「ん、本人が言ってる通り今はちょっと正気じゃない。多分後々頭を抱えるか顔を覆い隠すかして地面を転がり回る羽目になる」
「何その若気の至りレベルマックスみたいな最後」
幾らなんでも可哀想過ぎやしねーかそれ?
……とは思いつつ、暫く待つこと数分(その間に新しい
「…………」<プルプル
「早速増設された機能をフル活用してるな」
「赤面状態は今回増えた機能。今までのDMよりさらに表情豊かになった」
「今までも大概表情豊かだったけどねー。でも今回のはそれまでよりもさらにパワーアップだ!」
「余計なことをするのは止めてください!?」
ほんの数分前のことが、颯爽と黒歴史になるんだ。刺激的だろう?()
……ってなわけで、色んな意味でやらかしたと悟ったDMさん、それこそ今度こそ塵になりたい……とばかりに大爆発しかねないほどの焦りっぷりだが。
今度それをやったら本当に洒落にならないことも理解しているようで、辛うじて踏み留まっている感じになったのであった。
……言い換えると、ようやく話を聞ける状態になった、ということになるわけで。
「……そこは理解されていたのですね」
「まぁ、うん。自身の様子がおかしいことに気付いて、一旦それをリセットするためには今の姿を捨てるしかねぇ、ってなったんだろうなーってのはそれとなく」
「そこまでわかっていらっしゃるのから多少手加減してくださっても……」
「面白そうだったからね、仕方ないね」
「右に同じー」
「……ああはい、そういう方でしたね貴方達は……」
はぁ、と肩を落とすDMさんである。
何にせよ、ようやく落ち着いたわけなのだから、いい加減何がどうなったのかを聞くことにしよう。
そう考えながら、俺達はDMさんが口を開くのを待つのであった──。