「……はい、では話すべきことが纏まりましたので、お聞き頂いても構いませんか?」
「はいはい」
待ち続けること数分、ようやく恥ずかしさの海から浮上してきたDMさんが、何故あんなことになったのかを解説してくれる気になった様子。
元はと言えば単にダミ子さんの行方を聞いただけだったのに、何故彼女が爆発四散しなければならなかったのか。
その答えがなんなのか、姿勢を正してその言葉を待つ俺達である。
「ええとですね、恐らくはですが……件の呪術師、私達がよく知る方です」
「……はい?」
その結果出てきた言葉に、一同思わず間抜け面をさらすことになったけど……まぁ、その辺は仕方ない。
「……見た目は完璧に墓守さんだった、ねぇ」
「エエと、その墓守さん?とヤラをよく知らナイのデスけど、どういう方なんデス?」
DMさんが語った、件の呪術師の姿。
それはどうやら俺達がかつて出会った幽体の人物、通称墓守さんと同じ姿をしていたらしい。
……とはいえ、当の墓守さんに会ったことがあるのは、現在のメンバーの中だと約半数。
参加タイミングとしてはスタンドさん以降の人全員当てはまる形になり、三周目勢は知る余地など欠片もないということになるわけで。
「なるほど、冥界の番人のような存在である、と?」
「色々詳しいけれど肝心のところは黙ってるタイプ……なるほど、胡散臭いの化身だと言うわけですね」
「それ君が言う?」
……はい、簡易的な情報伝達の場となりましたとさ。
その中でも伝えるべき事は主に一つ、人物像も喋り方も態度も何もかも胡散臭かった墓守さんだが、基本的には
「つまり?」
「DMさんは一つも警戒しなかった、ってこと」
「それはそうなんですけど……もう少し手心を……」
そしてそれゆえに、同じ姿をした相手にDMさんはコロッと騙されてしまった、ということである。
仮にも邪神が騙されるとはこれ如何に。
「じ、邪神と言ってもかれこれ二年間、まともにそっち方面の活動をしていないのですからしょうがないと思いませんか!?」
「はいはい。その辺スタンドさんはどう思う?」
『そうさな……実際に会うまではわからぬが、恐らく
「おっと?」
憤慨するDMさんをからかうために声を掛けただけだったのだけれど……返ってきたのは意外と(DMさんにとって)好感触?な言葉であった。
DMさん弄りに乗ってくれると思ってた俺としては寝耳に水である()
ただまぁ、スタンドさんの様子を見るに、ふざける様子は無さげ。
……言い換えると真面目な話っぽいので、改めて話を聞く態度に戻る俺達なのであった。
『件の存在は冥界の番人であったのだろう?』
「まぁ、はい。本人も自称してましたし?それに見合うっぽい力も時々見せてましたし?」
『ということは、だ。件の存在は属性として闇・混沌・悪……と呼ばれるような、いわゆる
「ふむふむ」
『その上で考えると、だ。件の存在と
「……あーなるほど、それほどの陰の気の持ち主なら、寧ろ邪神とか操りたい放題ってわけか」
先程アンダーランドに入るのを拒否ったスタンドさん自身が示すように、邪神と冥界と言うのはいわゆるベストマッチ・相性が良すぎる類いに当たる。
そりゃまぁ、その冥界で番人をしていた相手となれば、普通に洗脳とかうまく誘導とか、幾らでもやられてしまいそうなのは理解できるというか。
……で、そこまで理解した上で、今しがたスタンドさんが述べた言葉における違和感についても触れておくべきだろう。
「はい?違和感?」
「DMさんは墓守さんって確信して話してたけど、スタンドさんはその発言を受けたうえで敢えて確定してない、みたいな話し方をしてたってこと。何か引っ掛かるところがあったんじゃないかなーって」
『当たり前の話であろう。そもそもさっきお主達自身が話しておったではないか、件の墓守は
「あ」
そう、その違和感と言うのは、DMさんの言葉を疑っているような物言いであったこと。
具体的には、彼女が会ったのが墓守さん本人である、という部分を疑っていたわけである。
とはいえそれも当たり前のこと。
だって俺達が出会った墓守さんは、顔やら何やらが判別できるような状態ではない、いわゆる真っ白な人影……みたいな姿だったのだから。
つまり、DMさんが出会った墓守さんというのは単なるそっくりさん……という話ではなく、何らかの方法で俺達が出会った墓守さんと同じ気配を持っている人物、ということになるのであった。