うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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とにもかくにも行ってみなけりゃ始まらない

「ふぅむ、墓守と同じ気配を持つ呪術師、ですか」

「何やらキナ臭い感じがしてきたな」

 

 

 本人かどうかは別として、ともかくかつて出会った墓守さんと同じ空気を持つという呪術師。

 そんな相手がDMさんに何やら洗脳めいた思考操作を仕掛け、かつダミ子さんまで連れていったというのだから怪しさ満点という他あるまい。

 

 相手が何を目的にしているのか、連れていかれたダミ子さんはどうなっているのか。

 ……あれ?でも確かダミ子さんって弁償のために連れていかれた、みたいな話をしていたような気も?

 

 

「その辺どうなのDM?それも洗脳的なあれで作られた偽の記憶なの?」

「……あーいえ、ダミ子様が狛犬的なものを落として壊したのは事実だったかと」

「あ、そこはマジでやったんだ」

 

 

 おかしいな、さっきまで呪術師悪いやつなんじゃ説が有力だったのに、ここに来てこっちがやらかしたからサボらないように細工した、くらいの話に思えてきたぞー()

 っていうかなんだったらその壊した狛犬が現状の原因、なんて線まで見えてきたし。

 

 

「と、言うと?」

「ん、狛犬に封印されてた者が呪術師を乗っ取ったパターン」

「あー……封印を解いてくれたお礼に生け贄にしてあげましょう、みたいな?」

「滅茶苦茶悪役の考え方!」

 

 

 まぁ、そのパターンもないではないが。

 ……なんなら封印されてたのがマジで墓守さんで、説明のために連れてっただけ……なんてゆるーいパターンもないとは言いきれないわけで、正直現状では『呪術師とダミ子さんが一緒にいる』くらいしか断定できないというか。

 

 

「ん、普通に狛犬破壊の主犯だから捕まった、という可能性もある」

「一番普通で一番情けないパターンだ……」

 

 

 出してくださいぃ~、などと泣いているダミ子さんの姿が目蓋の裏に浮かんでくるようである()

 

 ……ともかく、現状がよくわからないことは事実。

 となれば、もう呪術師のところに直接乗り込むしかない、って話になるんだけど……。

 

 

「……これ、多分並んでたのリセットされてるよね?」

「また並び直しだと?!」

「アいや、モウ人は居ないみたいデスよ?」

「寧ろさっきまでが異常だった、みたいな話だな……」

 

 

 DMさんが交通整備していた関係上、並んで待っていたという事実はリセットされたと見るのが正解だろう。

 ……となると、もしかしてまた並び直す必要があるのか?……なんて思ったのだが、俺達が話している間にいつの間にか列は綺麗さっぱりなくなってしまっていた。

 

 DMさんも列が急に捌け始めたとか言ってたし、もしかして人が並ぶのにタイミング的なものがあるのだろうか?

 ……よくはわからないが、何にせよこれはチャンスである。

 元々様変わりしたこの国の内情を調べる、という目的でのアンダーランド見学だったわけなのだから、その辺も踏まえて全部のタスクをまとめて片付けるつもりで行動しようではないか!

 

 

「ってなわけで、早速入り口まで戻ってきたんだけど……」

「滅茶苦茶封鎖されてる!?」

 

 

 俺達の前に立ち塞がる、入り口へと向かわせないようにするためのバリケードの壁。

 こちとら仲間が一人戻ってきてないんだが、その上でこんなことされるとこっちとしても強行突破せざるを得ないぞ?!

 

 

「ん、お兄さん、ん」

「何さTASさん!俺達は今からこのバリケードを越えて悪しき呪術師の顔面にパンチを叩き込まなきゃいけない、」

「そこ。バリケードの一枚がダミ子」

「なるほどバリケードの一枚がダミ子さん……バリケードの一枚がダミ子さん???

 

 

 思わず何言ってるのかわからなくて聞き流しそうになったぞ???

 ……ってなわけで、俺の右手の裾を引いて主張するTASさんに言われた通り、一枚のバリケードに近付いてみると。

 

 

「わたしはばりけーど!」

「うわぁ」

「本当にバリケードになってる……」

 

 

 それは微妙に虚無を感じさせる笑顔を浮かべたダミ子さんの顔が張り付けられたバリケード、というなんとも珍妙な物体だったのだ!

 ……いや、真面目になんだこれ?

 

 思わず前から後ろから確認してみたものの、どう見ても単なるバリケードにダミ子さんの顔が張り付いた物体、としか解釈できない。

 それでいて明らかにダミ子さんの気配がするというのだから、そりゃまぁ思わず困惑するのも仕方のない話というか……。

 

 

「……普通こういう場合って仲間が無惨な姿に変えられた、とか悲しむところなのでは?」

「いやだって……うちの面々姿くらいなら変えられる・もしくは変えられそうな人しかいないし……」

「いや待てナチュラルに俺を巻き込むんじゃねぇ!?」

「えー?でもROUTEってほぼTASだからその辺やろうと思えばやれなくない?」

「こいつを基準にすんじゃねぇ!?」

 

 

 なお、新聞部君からもっとシリアスになる場面なのでは、みたいなツッコミが飛んできたが……いや、正直この絵面でそれは無理だよ、みたいな話になったのであった。

 

 

「……とりあえず、正気に戻せば姿も戻るかな?」

「その可能性は大。試しにクラッカーでも鳴らしてみる?」<ワクワク

「ダミ子さんが酷い目に合うことが半ば確定しましたわね……」

 

 

 今の状態は酷い目じゃないのか、という成金君のツッコミは空しく宙に消えていったのは言うまでもない……。

 

 

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