うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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A.離してやった

 はい、んなわけで話を戻しまして、だ。

 

 

「……ダミ子も帰ってきたし、もう別に呪術師のところまで行く必要性なくない?面倒臭いし」

「面倒臭いって……いやまぁ気持ちはわかるけども」

 

 

 結局件の呪術師に会いに行くか否か、というのが話の主題になるわけで。

 ……個人的には何やってるのかくらいは確認すべきだと思うが、CHEATちゃんの主張もわからないでもない。

 

 いやだって、ねぇ?

 既に今の時点でなんかくたびれ儲けさせられてる感じが半端ないのだ、このノリだと相手の元にたどり着いても同じような感じになりそうな気がして仕方ないというか。

 もしくは、そう思ってしまうことを咎められないというか。

 ……精神的に疲れそうなんだよなぁ、なんとなく。

 

 

「まぁ、ここでぐちぐち言ってもどっちにしろ行かなきゃならんのだけどね」

「なんでさ?」

「風の噂で王女様が奥にいる、って話を聞いたから」

「oh……」

 

 

 とはいえ、ここで引き返すのはほぼ不可能だろう。

 あくまでその辺の人が噂してただけだが、この国の王女様──MODさんにとっての遠縁の親戚が件の呪術師の元に向かった、みたいな話が聞こえてきたりしたわけだし。

 そうなると必然的に奥に行かない、なんて選択肢は消えるわけで。

 ……そもそも王女様の様子を見に来た、って面も少なからずあるわけだし。

 

 

「ってなわけで、仕方なく・いや本当に仕方なくアンダーランドに突撃しよう、かと思ったんだけども……」

「なんか見えない壁があるー!?」

 

 

 バリケードを退かして中に入ろうと思った俺達、まさかの通行止めである。

 なんか知らんけど意気揚々と一番乗りを決めようとしたダミ子さんが中空にベチャッ、って感じでぶつかってずり落ちてったもんだからさぁ大変。

 まさかと思って目の前の空間に右手をそろりそろりと突き出してみたところ、あからさまに先へ進めない──壁に手が付く感覚が返ってきたわけなのです。

 ……いや、なんの嫌がらせだこいつ?!

 

 

「……んー、ざっと確認して見たけど、見事に周囲を見えない壁が覆ってるね、こりゃちょっと骨かも」

「継ぎ目もない感じ?」

「うん、隙間とか一切ない感じ」

 

 

 頭の両サイドに付いたゲーム機型ドローンを飛ばして状態の確認をしていたCHEATちゃんから、なんとも言えない調査結果が返ってくる。

 ……雑に言うと、入り口を中心として三百六十度全天に対し、侵入を封じる見えない壁が張り巡らされているとのこと。

 目に見えないこと、及びその場所からして冥界エネルギーを利用したバリアの一種だと思われるが……いや、いつの間にそんなものを?

 

 

「さぁ?ただまぁ、力任せにぶち破るとかは多分難しいと思う。系列としては次元断層とかに近いっぽいから、そもそも破壊しようってのが間違いっぽいし」

「次元断層?」

「次元の歪みってこと。要するに向こうとこっちの次元が違うから結果的に壁になってるって感じで、世界の法則による侵入禁止だから壊そうとすると漏れなく世界破壊の方になる……みたいな?」

「うへぇ」

 

 

 やだ、なんだか聞いてるだけで面倒臭ってなるバリアだわ……。

 つまるところ、現状俺達にこの壁を突破する手段はない、という認識で間違いないらしい。

 

 ということは、だ。

 この先に待つはずの呪術師は、現在俺達に中へと踏み入って欲しくない……と言ってるようなもの、ということになるわけで。

 

 

「うぅむ怪しい。とにかく怪しい。やっぱり件の呪術師は黒なのでは?」

「現状ではそう認識せざるを得ませんわね。……そうなると早急に中に侵入するしかないのですけれど」

「そのための手段がないんだよねぇ」

「ん、それはとても大変」

「いやホント、滅茶苦茶たいへ……ん?」

 

 

 どうしたものか、と腕組みしながら唸る俺達だったのだが。

 ……おかしいな、気のせいじゃないならTASさんバリアの向こう側にいねぇ?

 思わずジッ、とTASさんを見つめる俺。

 

 

「──先行ってるね、にんにん」

ぎゃー!?気のせいでもなんでもなく向こうにいるよこの子?!

盛大にいやな予感しかしないんですけど!?

「やばいよやばいよ……」

 

 

 じゃ、そういうことで。

 ……とでも言うかのように、こちらにサムズアップをしたあと奥へと消えていくTASさん。……やベーぞ蹂躙劇だ!?

 

 このままでは実態がどうとかは無視して、とりあえずボスなんだからボコればいいよねとばかりにまだ見ぬ呪術師さん(?)がボロ雑巾より酷い見た目にされてしまう!

 仮に本当に相手が倒すべきボスだったとして、それをTASさんが倒すとなるとこっちに必要な情報が何も伝わってこないなんてことになりかねない!

 

 

「私が知ってればそれでよくない?……とか言われそうな気がひしひしとしますねぇ」

「それよくないんだよぉ!!TASさんを止める理由が欠片もなくなるんだよぉ!!」

「あー……TASさんの好き勝手が解禁されるって寸法っすねー」(死んだ目)

 

 

 このままでは、彼女にこのアンダーランドが解体されてしまう!

 それだけで済むとも思えないので早急に彼女のあとを追わなければならないのだけれど……。

 

 

次元断層(これ)どうしろと!?」

「ああああああああ」

 

 

 これ時間制限イベントだろ!?

 ……思わず天に向かって叫んでしまったが、俺は悪くない。悪くないったら悪くない。

 

 

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