「合宿とは言うけど、具体的になにをするんだよ?」
「ふっふっふっ、安心したまえCHEATちゃん。君のこともしっかり考えているのだからねぇ」
「お、おぅ……?」
意外と常識的な部分のあるCHEATちゃんから、早速合宿そのものへの疑問が投げ掛けられる。
……まぁ確かに?合宿というのは本来部活だとかスポーツ仲間だとかが、一つの目標に向かって共同生活をすることをざっくばらんに言ったものである。……色々と違う?いいんだよ細かいことは。
その点を踏まえると、確かにここにいる面々は共通点の多い存在ではあるが、なにか一つを目標として集まっている、という風には言い辛い。
いやまぁ、打倒TASさんで団結する、という手もなくはないだろうが。
「打倒?いやいやいやいや、むりむりむりむりかたつむりですぅ!?」
「私も別に、殊更に彼女に勝ちたいというわけではないかな」
……というように、別に誰もがTASさんを倒すことに心血を注いでいる、というわけではない。
なので合宿と言っても、あくまでこのシチュエーションを言い表すのに丁度良かったから使われているだけで、本当になにかのために励むということを強制するモノではないのである。
「……じゃあ、小旅行とかなんとか、そんな名前でいいじゃん……」
「甘い!甘いぞCHEATちゃん!その考えはショコラテのように甘々だぜ!」
「え?しょこ……なに?」
とはいえ、だからと言って丸々楽しいバカンスになるのか、と言われればそれはノー。
だって考えてごらん?ここにいるメンバーを、夏と孤島というロケーションが合わさって、いつもよりも張り切っているやつがいるということを。
「……貴方様?」
「いや確かに、俺も計画してる内にちょっと楽しくなってきたけどね?でもこれは張り切ってるわけじゃなく、盛り上げようとしているのです」
「……似たようなものでは?」
AUTOさんうるさい。
……ともかく。こんな話を持ってこられて、張り切る人と言えばただ一人。
いやまぁ、みんなわかっているのだろうとは思う。わかっててスルーしてるだけなのだと思う。……だってできれば触れたくないからね!
でも触れなきゃ始まらない、なんてったって俺達は、どこまで行っても
「……?」
「いや首を傾げられても困るというか。……いや、周囲を見渡しても君しか居ねーから。ダミ子さんを盾にしようとするんじゃありません!」
「なななななんなんですかぁ!?今度は身代わりのバイトですかぁ!?」
「残念、私はライフを払ってないのでその技ではない」
「さりげに(操り)人形扱いしてませんかそれぇ!?」
いやまぁ、実際大分操り人形なわけだが。
……ってそうじゃなくて。先程から周囲の視線を避けるように動き続けているのは、無論一番の問題児であるTASさん。
こういうイベントごとにおいて、一番乗り気なのは基本彼女なのである。
なにせ、これから向かおうとしているのは無人島。
ならば彼女のこと、今からフラグをあれこれすることで、無人島に謎の古代遺跡を発生させることも可能なのだから。
「むぅ、そういう無粋なことはしない。仮にやるんなら、MODの選ぶ無人島が
「……それって、結果的には変わらなくないか……?」
「違う、全然違う」
「うおわ顔近っ!?」
なお、こちらのツッコミに憤慨した様子を見せたTASさんは、そのあと迂闊なことを言ったCHEATちゃんに無表情のまま迫り、彼女に古代遺跡に詰まっているロマンとかを語りまくっていたのだった。
……たじたじ状態のCHEATちゃんは気付いていないが、よーく聞くと遺跡そのものの楽しさとか興味深さではなく、その遺跡が持つパズル要素とかについての話の方が多かったり。
正直な話、断崖絶壁を腕の力だけでぴょんぴょん跳ねていく、明らかにおかしなトレジャーハンター達の真似事をさせられるのはごめんなので、MODさんとはそういうのがないことを何度も確認させて貰っている、あしからず。
「むぅ、お兄さんのいじわる」
「盾は使っていいから、それで我慢しなさい」
「!今度のところは壁抜けしてもいいの?」
「ああ、幾らでもやるといい……」
「ちょっとお待ちください、
「?」
代わりに盾サーフィンは解禁すると告げれば、彼女は幼女のように瞳を輝かせ、くるくると回り始めるのだった。
……なお、こちらのやり取りになにかを感じ取ったAUTOさんに、軽率な発言を咎められることとなったわけだが……正直よくわからなかったので、TASさんと二人して顔を見合わせる羽目になったのはここだけの秘密である。
ともあれ、これからの目標は決まった。
決行は明日の午前五時。ここに集合したのち、MODさん所有のクルーザーで無人島へゴー、である。
「なるほどぉー。では私はここで留守番を……」
「貴方は強制参加」
「ですよねー!!やだー!!」
なお、一人だけ乗り気じゃない人が居ましたが、彼女の懇願は却下されました。どんとはれ。