はてさて、重症から復帰したのでいい加減先に進もうかなーと思っている最中の俺なのだが。
それをするにはこう、なんというか微妙に躊躇われる状況に陥っているのであった。なんでかって?それはねー、
「…………(あと一歩前に進めば確変です、的なことが書かれた看板を持ってこっちを見つめるTASさん)」
「…………(絶対に動くなよ、とばかりにこちらを見つめるROUTEさん)」
「…………(一体俺にどうしろと、みたいな困惑顔で静止する俺)」
はい。……いやなんだこれ???
いやまぁ、状況説明としてはそう難しくはないのだ。
怪我直ったしいい加減進むかー、的なノリで一歩踏み出そうとしたら背後から羽交い締めにされ。
誰がそんなことを?……とばかりに後ろを窺ってみれば、割りと必死な表情のMODさんの姿が確認され。
そのまま視線を前方に戻してみれば、今しがたこうして写っている光景が目の前に広がっていた……っていうだけの話なのだし。
うん、やっぱり説明としてはサクッと終わってしまう。
問題があるとすれば、なんでこんな状態でみんな固まってんだ、ってことの方だろう。
「…………(喋ると動かざるを得なくなるとのことです、と書いた紙を見せてくるAUTOさん)」
「…………(とりあえず私は黙ってマース、とばかりに口を押さえている日本被れさん)」
「「…………(同じ様に固まってる新聞部君と成金君)」」
「…………(つまりは諸行無常、とばかりに本を読んでる読書家ちゃん)」
見てみろよこのラインナップ。
真後ろにいるから確認できない面々も数人存在するけど、それを除いても変としか言いようがねぇよこの状況。
いやまぁAUTOさんの解説?のお陰で、そんなことになってる理由の方はうっすらとではあるが察せられたけどもね?
あれだろ、ここで迂闊に喋るとそれに応じて何かしらイベントが発生して、その弾みでここから一歩以上前に進んでしまうとかなんとか。
んでもってエンカウントもといガチャの発生タイミングが『俺が一歩移動した』時点で確定するため、そっから先は止める暇も止まる暇もなくなって最終的に酷いことになる……みたいな。
……正直何言ってるんだ感酷いが、このノリだと『そうなる』んだろうなーとしか認識できないのも事実。
なので、大人しく固まっているんだけども……。
「…………(いや、いつまで固まってりゃいいんだよ、という顔)」
「…………っ(そんなんわかるかとばかりに顔をクワッとさせるROUTEさん)」
「…………(それを今ここで考えるしかないんですのよ、少なくともなんの準備もなしに享受するのは宜しくないですわ、と紙に書いて見せてくるAUTOさん)」
「…………(それを見て『あっ、歩くのがダメなダケで動くノニ不自由はないんデスね』みたいな拍子抜けした顔をしている日本被れさん)」
「…………(なお念話はダメです、と書き出すAUTOさん)」
「
やっべぇ思わず喋りそうになったわ。
……いや念話も禁止とかどういう状況だこれ?
紙に書いて相手に意思を伝えることだけが許されていて、それ以外は全部禁止って何があればそんなことになるんだよ感しかしないんだが???
……判定の関係上?今回は『紙に書く』ことだけ乱数や変数が変化しない?どういうこっちゃ(真顔)
ま、まぁともかく。
意志疎通の手段としては、いつの間にかスケッチブックを用意していたAUTOさん以外、基本的には表情で伝えるしかないってことになるらしい。
……俺はまぁ、TASさんの様子を見極めるために顔を読むことをそれなりに鍛えているけど、周囲のみんなはその辺どうなのだろう?
もし仮に読めないんなら結構キツいと思うんだが……。
というかだ、仮にそれを越えたとしても、いつまでもここで立ち止まってはいられない以上、いつかは前へと踏み出さなければならないってことになるわけで。
……いや、もうこのまま一歩踏み出した方が早くない?
確変がなんだというけど、それに関してはさっきも起きてたことで今さら怖がる理由とかなくない?
「…………(さっきまでと一緒にしてはいけません、今回のはそれとは比にならないほどの……)」
「(とAUTOさんが書いているのを途中で遮るように)いいや限界だ!進むねっ!!」
「あっちょ、そんないきなり何もかもカウンターを回す真似は……あっ」
膠着状態に陥る方が面倒だよ!
……ってなわけで黙るのも止まるのもぜーんぶ投げ出した俺。
その結果、引き起こされたのは。
「妾を呼び出すとは笑わせる!この言の葉の巫女を前にしていると知っての狼藉か!」
「よかろう!我が財の前に溺れて死ぬがいい!」
「貴方も私と一緒にィ、永遠の絶望に沈みマセンかぁ?」
「ん、貴方にはこの言葉を贈る。──すり抜け大量、これが絶望だ」
「ぎゃー!?四天王闇堕ち版みたいなのが湧いてきたー!?」
唐突に湧いてきたアナザーカラーな四天王の姿に、思わず困惑することになったのでありました。
いや真面目になんだこれ?!