うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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相殺しきれないのなら残りは他の人で

上から下に!四方を果てに!この円環は循環する!

「なんの!天地を正す!限りあるもの、破綻は誰しにも訪れん!

 

 

 あらやだ、ちょっとしたおしゃれポエム対決みたいになってやんの。

 ……とまぁ、最早魔術師同士の戦いみたいになっている新聞部君同士の対決の余波の中を、吹っ飛ばされないようにしながら進んでいる俺達である。

 

 いやー、一応話に聞いて知ってはいたけど……こうして実際に体験してみると、なるほどあれだな彼も大概チート側だな?……となる俺である。

 まぁ、やってることは極論チートコードの打ち込みみたいなものなので、最悪CHEATちゃんも似たようなことをできなくもないんだけども。

 ……そういう意味では下位互換というか、新聞部君が謙遜する気持ちもわからなくはない。

 

 

「冗談キツいんですけどー!?あんなのコード打ってたら間に合わないよ!」

「そうなん?」

「体を動かすより口を動かす方が早い、というのはわからないでもありませんわね……」

 

 

 なお、CHEATちゃんからは下位互換などとんでもない、との声。

 原則彼女のそれは手打ちの必要があるため、周囲にお願いするだけで事が済む新聞部君のそれと比べると出の早さの面で厳しい……みたいな言葉が返ってきたのだった。

 まぁ、代わりにあれこれ準備してからなら負ける余地はない、とも返ってきたのだけれど。やっぱチートやんけ()

 

 ともあれ、である。

 ああして闇と光がぶつかっている以上、部外者である俺達への意識は確実に飛んでいることだろう。

 この隙に、後ろから闇の方をバッサリしてしまうのが今回の俺達の目的、ってことになるんだけど……。

 

 

「気のせいかな、近付ける気がしないんだけど」

「奇遇だな、俺も同じ事を考えてたぜ。……この辺はCHEAT(こいつ)との明確な差別点、ってところか」

 

 

 先に進むにつれ、なんとなーく嫌な空気が漂ってきているような気がしたのは、どうやら勘違いではなかったらしい。

 ROUTEさんの極小選択肢でも警戒を推奨させられるこの状況、恐らくは相手の闇新聞部君の周囲にこちらには見えない何か──敢えて明言するなら『神様』が控えていると思わしい。

 それにより、自身が目の前の戦闘に集中していても周囲から危険を教えて貰える……という、ある種の危機察知能力を獲得しているというわけだ。

 

 そしてこれは、CHEATちゃんには真似し辛い類いの技能である。

 マルチタスクもある程度こなす彼女だが、新聞部君のそれによって得られる処理範囲と比較してしまうと流石に見劣りしてしまうわけだ。

 その辺を踏まえての差別点、というROUTEさんの言葉なのだろうが……はてさて困ったぞ?

 

 

「今はまだこっちを気にせず好き勝手してるけど、仮にこっちが近付いたら察知されるなこれ……」

「かといって近付かないわけにもいきませんし……」

「うーん……」

 

 

 いやー困った困った。

 ただでさえ戦闘の余波が凄いのに、このまま倒そうとすると返り討ちにあう可能性が高いだなんて、いやー本当に困ったことになったなー。

 

 困りすぎて、()()()()無理だって認めたくなるなぁー。

 

 

短針を早回し、長針を逆回し、狂った世界はここに結実っ……!?」

「よっしゃあビンゴ!流石だぜ読書家ちゃん!」

「いえーい、ぴーすぴーす」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()のか、闇側の新聞部君が大きく様相を崩す。

 その隙にすかさず光(?)側の新聞部君が押し込んで行ったけど……いや、怖いくらいにうまく行ったな?

 

 というのも、相手の言霊に洗脳される……みたいな話のついでに、ある話が新聞部君から明かされていたのである。

 それが、声を聞くのは何も()()()()()()()()()()というもの。

 要するに、相対した相手の心の声も聞こうと思えば聞こえる、というものなのであった。

 

 

「読心術付きなのかよ……」

「先程の()()()()()()()()というのとはまた別口ですの?」

「ええまぁ、はい。……というか、正直僕の技能って耳の方が重要なので……」

「……なるほど?」

 

 

 曰く、思考に介入するのはそれなりに難儀するが、単に相手の思考を読む──()()()()だけなら、他の何よりも簡単なのだそうな。

 基本的にこっちの彼はそれを使うのを自重しているけど、闇の方はそんなこと気にしていないので──寧ろ周囲の神々に()()()()、なんてこともできるかもと。

 

 

「耳を……貸す?」

「文字通りです。耳が特別製なのだから、他の神に貸せばその神もまた()()()()()()()()()()()()()()んですよ」

「……クソチートじゃね!?」

「無論、耳の身体機能を貸す形になりますので、その間耳が聞こえなくなるというデメリットはありますが……念話とか使えれば問題ないですよね?」

「うへぇ」

 

 

 とまぁ、そんな感じ。

 さっきの『周囲の偵察を神に受け持って貰う』って部分と組み合わせればあら不思議、周囲一帯丸裸にする超高性能レーダーの完成である。

 ……隙とか欠片も見当たらんが?

 

 

「つまり、戦闘狂に見せ掛けてその実かなりの策謀家だと?」

「まぁ、そうなりますね……」

 

 

 狂った演技をしながら周囲を油断なく観察し続ける……まさに『ふざけんなこのバカ』って言いたくなる類いの相手だと言えるだろう。

 

 

「だからこそここで容赦なくカードを切る!読書家ちゃんはTASさんの似姿、ゆえにレーダーの回避するなど造作もない!」

「え」(とても頑張ったのに、という顔)

「……造作もないから、闇新聞部君の索敵から外れることに成功!さらにそっちがこちらの晒した隙だと思ったタイミングで予想外の打撃を加えることにより、こうして華麗に逆転したというわけさ!」

「えっ」(わりと必死ですよ、という顔)

「……逆転したのだ!!」

「ええい、繕うなら最後まで繕わぬかお主ら!!」

 

 

 まぁ、敵対しているはずの闇の方からツッコミが飛んできたけど、些細なことである。

 ……些細なことなんだってば!

 

 

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