「燦々と照り付ける太陽……空を泳ぐように飛ぶ鳥達……おお、なんとのどかな時間だろう。こんな陽気なのだから、仏陀も午睡を楽しんでも仕方ないと思わないかね?」
「
「へーい……」
ご覧の通り空は真っ青、雲一つない快晴の今日この頃。
皆からお兄さんと呼ばれたり呼ばれなかったりしている私めは、なんの因果か見知らぬ人と共に日差しを避けるための屋根を作っている最中なのでございました。
え、なんでそんなことになってるのかって?それはねー……?
はてさて、合宿決行の朝。
仲間達はみんな俺の家に集まり、それぞれ朝御飯を食べている真っ最中である。
一日の元気は朝食から、ということもあって腕によりを掛けて準備した食事達だが、少女達からの評判は中々に上々であった。
「鮭の皮うまうま」
「TASさんは皮まで食べる人、なのですね?」
「そういうAUTOは食べない人?」
「そうですわね、余り好きではないといいますか……」
「じゃあ貰う。わーい」
「早っ!?」
左を見れば、TASさんとAUTOさんが鮭を巡って色々と会話していたり。
「負けられねー戦いがあるんだー!!」
「ふははは、こういうこともあろうかと、納豆混ぜ名人の技については学習済みさ!」
「ずりぃ!?」
「勝負にずるいも卑怯もないんだよCHEAT君!いやまぁ、君に対してこういうこと言うの、どうかなーと思うんだけどね!」
「じゃあ言うなよ!?」
右を見れば、CHEATちゃんとMODさんが、何故か納豆の糸を強靭無敵に編み上げる競争をしていたり。
「うぅ……行きたくないですぅ……絶対サメとか出てきますですぅ……それも頭が一つや二つどころじゃなく、増えた頭が球体状になるレベルのやつが、まるでブイのように浮いているに決まってますぅ……」
「いや、変なフラグ立てるのやめない?」
さしずめ
まぁ、そんな愉快な光景が、俺達の前には広がっている。
……ぶっちゃけるといつもの光景なわけだが、ルーチンワークを保つことができれば日々は滞りなく進むもの、とどこかの誰かも言っていた気がするのでこれでいいのである。
「なるほど。じゃあ私が儀式をしても特に問題は……」
「それはルーチンワークにしちゃダメなやつ」
「ちぇー」
なお、TASさんにおかれましては、特定の行動を何回か繰り返すことでバッファオーバーフローとかを引き起こす可能性がございますので、意図的なF5連打はお止しになるようご協力お願いします。
……というようなことを述べたところ、彼女は残念そうにお猿のお面を懐にしまうのだった。……仮死
ともかく、朝食はそのまま滞りなく進んだ、というのは確かな話。
これから俺達は、MODさん所有のクルーザーに乗って、これまた彼女所有の無人島に向かい一週間ほど滞在する予定である。
なので、酔い止めとか必要な人が居ないか確認して、それから荷物を持って出掛けることとなったのだが……。
「……よくよく考えなくても、学生でクルーザー持ちというのはあれなのでは……?」
「はっはっはっ。まぁ細かいことを気にしてはいけないよ」
ここでAUTOさんが、冷静に考えると色々ツッコミ処があるような、と声をあげる。
なにせ、場所も移動手段もMODさん持ち。確かに裏で色々やってる彼女のこと、なにを持っていてもおかしくはないというのはわかるのだが、それはそれとしてなんなんだろうこれ、みたいな気分になってしまうのは致し方ないことなのであった。
「……一応言っとくけど、そこで驚いてると更に驚く羽目になるぞ」
「これ以上なにを驚くことがあるというのですか……」
「聞いて驚け、無人島までクルーザーを運転するのはMODさんだ」
「…………!?」
けど、これはまだまだ序の口。
ここで躓いていてはこれから転びまくる羽目になる、ということだけは先に忠告させて貰う俺である。
なんでかって?この人クルーザーの運転できるんだよ!
「一瞬運転できる人に変身すれば……と思いましたが、そういえばMODさんのそれは、あくまで姿形が変わるだけでしたわね……」
「え、ってことは素で運転できるんですかぁ!?」
「ふふふ、ちゃんと免許も持ってるよ」
「ホントだ……小型船舶操縦士って書いてある……」
ふふん、と胸を張るMODさんがみんなに掲げて見せたのは、CHEATちゃんの言う通り、小型船舶を運転するための免許証である。
実は船の免許って、バイクの免許と制限年齢がほぼ同じなので、小型船に限るのであれば高校生でも普通に免許が取れるのだ。意外な事実である。
「ふ、船の運転してください、とか無茶振りされなくてよかったですぅ……」
「あー、ダミ子さんは運転免許とかも全部紛失してるんだっけ?」
「はいですぅ。ぶっちゃけると、本当に成人してたのかもあやふやな気がしてきましたぁ」
「おい」
そこは自信持とうよ?!
……というこちらのツッコミに、「この状況で自信なんて持てませんよぉ」なんて空笑いが返ってきて、思わず天を仰ぐ俺である。……お労しすぎやしないこの人?
「んー……でもそれとは別に、なーにか忘れている気がするんですよねぇ……」
「DUMMYは心配性。案ずるより産むが易しとも言う」
「……んー、そこはかとなくごまかされている気もしますが……まぁ、私が心配したところで大した価値はありませんよね!」
「やだ、ネガティブ方向にポジティブ……」
微妙に反応に困るんだけど。
そんなことを宣いながら、俺達は港へと急ぐのであった。