「さて始まりました神への奉納・足掻く人々の姿の再演!解説は私冥界の番人でもある墓守と、」
「そんな彼を解放してしまった結果、その裏に隠れてた悪霊にさっきまで乗っ取られてた呪術師がお送りしまーす。……憑依解除されたと思ったら唐突に解説席に座らされた上にそこから動けないとかどういう方向の罰ゲームなんですかねこれ?」
『その辺は自身の迂闊さを呪って欲しいところだね』
ふと視線を向けた先に解説席らしきものがあった件について()
……半透明の方は久方ぶりの墓守さんだが、その隣でフードを目深めに被ってるのが件の呪術師ってことでいいのかね?
顔は見えずとも困惑してるのが感じられる辺り、基本的には好い人の類いなのかねぇ……。
とはいえその辺りは正直どうでもよく、個人的にというか全体的にというか、気にすべきは目の前にある障害物達の群れの方になるのは間違いあるまい。
……いや、これどう考えてもあれだよね、その内オリンピック競技になるやつ。詳しい名前を明記するのは流石に躊躇われるやつ。
どう考えても一般人相手に出してくるもんじゃないし、かつこんなタイミングで出てくるものでもないんだけど……隣のTASさん的にはそうでもないようで。
「ん、とりあえずタイムアタックすればいい?」
『そうだねぇ、全三ラウンド完全制覇が条件であって、特に時間制限とかはないけど……やりたいならやってもいいよ?』
「イェー!!」
「そんなキャラ変わるほど喜ぶところなのそこ?」
喜ぶところなんだろうなぁ……。
個人的には墓守さんの言った条件の方が気になって、とてもじゃないがそんな気分にはなれないわけだけど。
「……ん?条件?」
「全ラウンド完全制覇と時間制限なし、って言ってたじゃん?普通この形式のものって時間制限あるものなのに」
「……言われてみれば、こういうのは競走とセットだから、時間制限はあって然るべきだよね。時間を掛ければ誰だってクリアできるかもしれないんだし………………あ゛っ」
「……気付いたようだから明言しとくと、多分
俺の言葉に不思議そうな顔で反応してきたMODさんに、さっきのやり取りで読み取れることを説明すれば。
ご覧の通り、彼女は絶望したような顔で待ち受ける障害物に視線を向けたのであった。
……ええまぁ、はい。
現状俺達の視界に入っている障害物は……まぁ、一般的?と言うとなんか変な感じだけど、まぁ件の競技を思い浮かべた際に誰もが想像するような、そんなスタンダードな外見であることは間違いあるまい。
最初の方に左右にぴょんぴょん飛び跳ねながら進む足場があったり、ロープに捕まって滑走して行く場所があったり、はたまたネズミ返しみたいになった壁を登る場所があったり……ってな感じで、『あーそうそうあの競技ってこんな感じ』ってなること受け合いな感じの障害物が並んでいるというか。
……何があれって、そういうオーソドックス?な障害物も、初めてやる人間には普通に高難易度でしかないにも関わらず、これを完全制覇することを求められている、という点である。
いやまぁ、TASさんなら普通に攻略するだろうけどね?でもそれを俺達にまで求められても困るというかね?
ここまでの話で不思議に思った人もいるだろう。
なんで俺達まで攻略しなければならない、みたいな話になっているのかと。
とはいえこれに関して答えは非常に単純、俺達の姿を確認すれば『ああ……』ってな感じに納得すること頻りのはずだ。
なんでかって?胸元にゼッケンついてたらそりゃ参加者扱いされてんのはすぐわかるでしょって話ですよぉ!!
「いつの間に付けられたんだろうねこれ……」
「触れない剥がせない辺りフィールド効果とかだよこれ……霊的なゼッケンとかだよこれ……」
「霊的なゼッケンってなに???」
霊的なゼッケンは霊的なゼッケンだよ、考えるなそのまま流せ()
……ともかく、ここに足を踏み入れた時点で参加者扱いされていることは間違いあるまい。
その上で、あの墓守さんの言いぶりだと参加者全員が完全制覇を成し遂げないとクリアしたことにならない……みたいなことになっているのだろう。地獄かな?
「ん、その通り。一つ目で既に絶望しているお兄さん達は、これから先上がり続ける難易度の前に心を折られるのは間違いない」<ワクワク
「間違いない、とかそんな楽しそうに言う必要性ある?……いや待った嫌な予感がしてきたまさかとは思うけどそういうことですかマジで?!」
「と、突然どうしたんだい君?!」
そしてその地獄、更なる地獄へと繋がることが確定しました。
無論、一つ目でもお腹一杯なのに二つ目・三つ目とおかわりが待っている……ということを意味しているのではない。
完全制覇が全員の攻略を示すということはだ、さっきのTASさんの言葉も意味が変わるということ。
「え゛っ」
「自分の力でクリアできないというのなら仕方ない。私がクリアさせてあげるね?」
「あばばばばばばばばばばばばば」
──さぁ、地獄のミラーリングのお時間だ!(白目)