「……ええとつまり、貴方は先代様ではなく私のいとこで、そちらも先代様ではなく初代様であると?」
「そういうことになるねぇ。いやはや驚かせて申し訳ない」
「嘘付け絶対申し訳ないとか思ってないぞ」
寧ろ楽しんでただろテメー、王女様が大混乱している様をよー。
……ってなわけで、ようやく現実を直視した王女様が現状を理解したわけなのだが。
その様子は憤慨するようなもの……ではなく、どこか安心したような表情なのであった。
まぁうん、彼女が今回もノートの影響を少なからず受けていたのだとすれば、その辺の戒めから解き放たれた今の状態は肩の荷が降りたようなもの、ということになるのかもしれない。
そりゃまぁ、今みたいな安堵したような表情になるのも当たり前というか?
「ええまぁ、はい。……どうにかしなければと思い続けてはいましたが、こちらとしては何の対処も思い付かず……」
「そうこうしているうちに呪術師さんがやって来て、冥界の平和的利用を打診してきた……みたいな?」
「ええ、そうなります。……私は先代様のご意向もあり反対の立場でしたが、他の方々は今が富めばそれでよい、と相手の提案をあっさり受け入れてしまいまして……」
「うーん清々しいほどの利己主義……」
もしくは金の亡者、というか。
……というかこの分だと呪術師さんがここに来たのは偶然だった、ってことになるのだろうか?
「……あれ、でも確か呪術師さんって端からこの国の冥界に眠る力を目的にやって来たんじゃ?」
「その辺とてもややこしい。あの時は流れで押し切る必要があったから幾らか事実と異なることがある」
「おいィ?」
しれっと何やってんのこの子?
……どうやら以前解説された今回の一件の原因というか理由というか、ともかくその話はどうにも事実と異なる部分がある様子。
具体的には呪術師さんがこの国に来た目的と、彼女が操られたタイミングとかがそれに当たるらしい。
「ええと……呪術師君は探し物のためにこの国に来て、そこで冥界に足を踏み入れた際に悪霊共の影響を少なからず受けた、と?」
「そう、前回の説明だと富を得るためにこの国に来たってことになってたけど、実際は自身が弱っていることを察した結果、何かしらの治療法を求めての来訪だった」
「ふむ?」
どうにも、やけにあっさり彼女が異世界行きを受け入れた理由にも関わるようで。
まず、彼女はMODさんの妹である不思議さんと入れ替わりにこっちにやって来た同人ちゃんと同一の存在。
それゆえにということなのか、こちらの空気?的なものと相性が良くなかったらしい。
……まぁ、合わなかったと言っても本格的に排斥されるレベルではなく、少々体調に影響が出るくらいのものではあったようだが。
とはいえ単に生きてるだけで余計な負担を受けていることに代わりはなく、それをなんとかしたいと願いながらあちこちを旅していたらしい。
で、その流れでこの国の冥界に行き着いたわけだが……その際悪霊達の影響を少なからず受けてしまった、と。
「これは彼女が不思議の代わりである同人と同位の存在だったから、という面もある。何せその姉はこの国の王族の血を引くもの。つまり、その妹である不思議にも同じことが言える」
「その不思議さんの代わりとして現れた人が同人ちゃんであり、存在としてほぼ同一の呪術師さんにも少なからずその要素が伝播してた、と?」
「そう。分かりやすく言うと悪霊達の影響を受けやすい下地があったってこと。まぁこれは同人にも言えることだけど」
なるほど、言われてみれば確かにあり得そうな話である。
で、そうして微弱ながらも悪霊達の影響を受けた彼女は、冥界を解放する手段として冥界の利用を国の重鎮達に示唆した、と。
「本人としては自分の延命……っていうと大袈裟だけど、治療の一貫として提案したという認識だと思う。王女達には単に金儲けのため、みたいに見えてたんだろうけど」
「え、ええ。本人にその意識があったかはともかく、大分悪い顔をしていらっしゃいましたね」
……やっぱりこの国の重鎮達まとめて追放した方がいいのでは?
まぁそれはともかく、こうして重鎮達と呪術師さんの提携が開始したわけだが、そうなると動かなければならないのが墓守さんである。
「うむ、このままほっとくと酷いことになるのは目に見えていたからね。だから様子を見ていたんだけど……」
「ダミ子さんがやってくることを知ってさぁ大変、と?」
「うむ。さっきの話で言うと、不思議君の要素を間接的にでも受け継ぐ呪術師君は、未来視技能に少なからず素養があるってことになるわけだが、それが悪霊達と変に噛み合った結果……ね」
「ついでに言うと、ダミ子と冥界自体相性が良すぎてよくない。結果その来訪は拙い未来視でも見えてしまうくらいの未来図となった」
「なるほど、そのあとはほぼ前回の説明通りだと?」
「そう、墓守が封印されてダミ子に助け出されて、そこからあの何でもあり空間に飛び込んで色々おかしくなって……」
「……いやちょっと待った、今なんて?」
「?何でもありの場所に飛び込んだからちょっとおかしなことになった?」
「……この人がこうなった理由あそこのせいかよ!?」
幾らエネルギーの消費先として墓守さんの実体化、みたいなのが都合が良かったんだろうとはいえ、唐突に性転換するのはおかしいとおもってたんだよ!
結局ガチャの結果じゃねぇか、という感想を抱きながら天を仰ぐ俺なのであった──。