「とりあえず、問題は大体解決したってことでいいんだよな?」
「まぁうん……色々と疑問もなくはないけど、一応はその認識でいいんじゃないかな……」
「なんだよ歯切れが悪いな……」
しゃあないやんけ真面目に考えると頭が痛くなってくるんだもんよ……。
一応あの時の爆発で冥界の最深部は埋まってしまったことだろう。
ってことはこのままこの国がアンダーランドを経営し続けたとしても、不慮の事故が起こる可能性は極めて低い。
つまりこの国の問題は解決した、と言ってしまっても過言ではないわけだ。
……過言ではないんだけど、同時にどうしたもんかなってなるのがそこで王女様にうざ絡みしているDBさんである。
「おっと私の話題かな?任せたまえ、瞬きの間に終わらせるとしよう。……ところで、何の用事かな?」
「特に何も言ってないのにこの反応、ウザいぞこの人とてもウザい」
「あはは、酷い言われようだ」
なお、話題の当人はこの反応である。
……何も言ってないのに視線を感じて振り返ってくるのは止めてくれないかな?
というか王女様との会話はもういいのかと。
なんて思いを込めて視線を向けたところ、彼女は笑いながら、
「とりあえず、このノートは貰っていくことにしたよ。ここに置いておいても良いことにはならないからね」
「……気のせいかな、ノート自体が不満を漏らしているような気がするんだけど」
「仮にそうだとしても力の差の問題でなんともならないさ」
「憐れなノート、もとい先代様……偏に貴様が滅びを敢行しようとしたからだけど……」
うん、自業自得ってやつだな!(適当)
というか爆発のエネルギーを使って転生したからなのか、半透明だった時代と比べて墓守さん……もといDBさんの影響力爆上がりしてるみたいだし。
まぁ、存在としての影響力であって、何かしら特殊なことができるってわけではなさそうだけど。
「そうなんデスか?さっきカラあれこれやってるヨウに見えマスけど」
「これに関しては私が力を行使しているというより、私の意に沿って影響が発生している……という方が正解なんだよ。丁度そこの巫覡君がやってることに近いかな?」
「この人のは相手が悪霊ですし、お願いを聞いて貰っているというよりは無理矢理従わせているという方が近いですけどね」
なお、ノートを完封したりしているのは能力じゃないのか?……という質問が日本被れさんから飛んできたが、これに関しては本人と新聞部君が述べた通り。
方向性としては新聞部君と同じく、特殊な素養で周囲に存在する『見えない誰か』を使役する、というタイプになるとのこと。
無論、本人達の説明するように、見た目としては近いが向いている向きは真逆。
新聞部君のそれが『神の溺愛による過保護』だとするなら、彼女のそれは『墓守の権限による隷属』となるらしいが。
……そのうち反逆されそうな感じがスゴいするのだが、どうにもシステム的に不可能であるとのこと。
「初代冥界行を成し遂げた者というのは、即ち冥界というシステムを切り開いたというのと同義。すなわち私への反逆は私の存在の否定、ひいては自身の属する冥界という概念そのものの否定に繋がってしまう。ゆえに彼らは私に逆らえない、というわけさ」
「うわぁ」
彼女を否定するということは、遠回しに自分という悪霊を否定することと同じ。
今までは同じ霊体であったためそれでも問題なかった(≒逆らう意味がなかった)が、こうして墓守ではなくDBとして──生きた人間として定義され直したことで、逆らうことに意味ができてしまった。
意味が生まれれば、それに伴う反作用も共に現れる。
何もない空間を手で押したところで何も起きないが、そこに浮く何かがあるのであればそれを押すことは可能だろう。
……つまり、反逆することに意味ができ理由ができ可能性が生まれたと同時、それを選ぶことによる自身へのフィードバック──この場合はデメリットも同時に有効化されてしまった、というわけだ。
「その癖本来なら悪霊達を無理に使役する、っていう行為に掛かるはずのデメリット──死に近付くだとか不運が付きまとうだとかの話は全部踏み倒せる、って言うんですからこっちからするとふざけるなって話ですよ」
「あー……新聞部君の場合に発生する『神々に猫可愛がりされる』相当のデメリットがDBさんの場合発生しない・もしくは無視されてるようなものなのか……」
「なるほど……これが称号持ちと我等の違い……明確な力の差というわけか……!」
「そんな微妙な差を羨ましがるような話なのか……」
いやまぁ、デメリットなんて受けない方が良いだろうけども。
……隣にデメリットを受けることを逆に利用するような
「ん、端から起こらないのより起こることであれこれ弄る余地が生まれる方がいい」
「TASさんにとってはそうでしょうね……」
基本この世の中TASさんとTASさん以外、みたいなもんなんじゃねぇかなと達観する俺なのであった。