うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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新しい仲間がぴょんと

「……そういえば聞きそびれてたんだけど、もしかしてDBさんってこっちについてくるつもりだったりするんです?」

「おや、その言い分だと置いていくつもりだったのかな?君達のために頑張ったのになんて仕打ちだ、およよ……」

「下手な泣き真似止めーや」

 

 

 実態がどうあれ目の前で泣かれるとこっちが悪者扱いされるんだわ、そういうの止めて欲しい。

 ……え?何々AUTOさん、今の俺の発言を踏まえると実態にも俺が悪くなる?そんなー。

 

 まぁそんな冗談はともかく、だ。

 冥界に根差した能力持ち?みたいなことになったDBさん、ってことは迂闊にここを離れられないのでは?

 ……みたいな懸念を抱くのはそうおかしなことでもないだろう。

 ついでに言うと、あくまで墓守として成立してたのはこの国の冥界でだけの話だし?

 他所に行ったらバニラ……もとい本当に何もない人に成り下がるんじゃないかなー、なんて心配もなくはなく。

 

 

「その辺は大丈夫だよ。そもそも彼等も連れていくつもりだからね」

「えっ」

「いや、寧ろここに放置して行く方が問題だろう?墓守である私が居なくなるんだ、ということは鬼の居ぬ間になんとやら、好き勝手し始める可能性の方が大じゃないかい?」

「それは……そうなんだけど……」

 

 

 などと疑問を呈したところ、返ってきたのは斜め上の返答であった。

 ……え?DBさんだけでも大概なのに、それだけじゃなくてここにいる悪霊達も引き連れて行くつもりなんです?

 いやまぁ居るって言っても現在の俺達にはまったく見えんのだけど。

 

 そう困惑したものの、続けて彼女から発せられたその理由を聞いて、思わず唸る羽目になった俺である。

 ……確かに、お目付け役でもあるDBさんがこの国から離れた場合、彼等はそれを好機と好き勝手し始める可能性がとても高いだろう。

 

 冥界に蓄えられたエネルギーもほぼ底を尽き、かつ要でもあるノートもDBさんが持っていくこともあって最早失われたようなもの……。

 という悪条件こそあれど、そもそもの話目の上のたんこぶであるDBさんが居ないのなら、他のやりようなんて幾らでもありそうなものである。

 

 なんなら再度王女様に洗脳を仕掛け、傀儡にすることで長期間かけて国を掌握する……みたいな方向性でも、彼等にはそこまでの問題にはなり得まい。

 ……その辺も踏まえての『この国から離れることはできないのでは?』って言葉だったのだが、まさか問題点を引き連れて行けば問題ない、とかいう脳筋染みた答えが返ってくるとは……。

 

 その辺も踏まえて唸っていたわけなのだが、対するDBさんは不思議そうにこちらを見てこう述べたのだった。

 

 

「そもそもの話、だ。……こいつらがやらかそうがやらかすまいが、ここに残っているとこの国の重鎮達が知ったらどうなるだろうね?」

「あっ」

 

 

 ……なるほど、そりゃ是が否にでも連れて行かなきゃダメだわ。

 

 悪霊達が裏で何か画策するというのも大概だが、この国のアホアホ重鎮達が悪霊達──欲に溺れた魂達が未だに冥界に彷徨っている、と知れば余計なことしかしないのは目に見えている。

 なんなら餌になるものを選んでくべて勢いを取り戻させる……というぼかしてもなお『何やってるんだこいつら』としか思えないようなことをやり始める可能性もとても高いだろう。

 

 その際犠牲になるのは間違いなく王家の血を引く者──王女様であろう。

 そんな未来は望むべくもない、発生要因から根絶するに限る。

 ……え?なんかTASさんがほんのり残念そうな顔をしている?

 いやそんなははは、王女様犠牲ルートで何か特別なイベントが起きたんじゃないかなー、なんて風にちょっと勿体なく思ってるなんてそんなことはわははは。

 

 

「…………」

「見つめないでお兄さん、ほんのちょっと過っただけだから。本当に選ぼうとか思ってないから。私がTASけないのは悪人だけだから」

「……よしんばそうだとして、王女様の犠牲をそこらの重鎮達と土壇場で入れ換えようとか考えたりはしてないんだろうね?」

…………(;「「)

「考えてた顔!明らかにそういうことを考えてた顔だこれ!!」

 

 

 そんな露骨に目をそらすやつがあるかぁ!!

 ……ってなわけで、危ない橋を通ろうとするな、とTASさんに説教をする俺である。

 考えただけって言っても、そもそも君未来演算で実際に体験したこととして仮想未来を処理できるでしょうが。

 それって要するに、そもそもの可能性自体をゼロからそれ以上に引き上げる行為でもあるわけだから、むやみやたらにやるもんじゃないって前にも叱ったでしょうが……。

 

 みたいな感じに滾々と説教を続けたところ、『私の敗けでいいから、話を戻して』という謝罪の言葉が飛んできたため渋々ながら話を戻す俺である。

 

 

「……えーと、確かDBさんが俺達に付いてくる、って話だっけ?」

「言葉にすればそれだけの話なのに、随分と遠回りしたねぇ」

 

 

 くすくす、と笑みを溢すDBさんの様子に辟易する俺だが、その辺はあくまで俺の感想なので流すとして。

 とりあえず、こう宣言しておくべきだろう。

 

 

 DBさんが 仲間になった !!

 

 

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