うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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無事に終わったと思ったか、バカめ!!……バカめ?

 慌ただしかったハロウィンも終わり、危なっかしいお菓子達の処理も終わったはずのある日。

 

 

「大変だー大変だー!」

「おっと、随分大騒ぎしてますけど何があったんです?」

「この間のハロウィンの時に出たお菓子に、回収漏れがあったんだよー!!」

「えっ」

 

 

 突然大慌てで食堂にやって来たDBさんの言葉に耳を傾けてみれば、なんとお菓子の回収漏れがあったとのこと。

 そんなことには万が一にもならないようにとしらみ潰しに探した結果これで終わり、とまで太鼓判を押したのは君じゃなかったっけ……と、困惑と猜疑の気持ちでいっぱいの俺である。

 

 

「そうだよ押したよ太鼓判を!でもどっこいまさかの時間遡行してやがったんだよアイツゥ!!」

「……はい?」

 

 

 その疑問にはこう返ってきました、あの時回収できたものは確かに回収し尽くしたのだ、と。

 ……どういうこっちゃ、と改めて子細を確認すると、どうにも二周目ラスボス戦時、みんなで一斉攻撃して吸血鬼をぶっ飛ばしたのが宜しくなかったらしく……。

 

 

「端的に言うと過剰火力だったんだよ。明らかに必要以上の威力だったんだ」

「そのせいで一時エネルギーの過剰密集が発生、短時間極小範囲ながら次元の歪みのようなものが発生した、と?」

「そもそもあの吸血鬼自体ラスボスだからエネルギー蓄えまくってたからねぇ」

 

 

 ふむ、色んな条件が重なった結果、時間の穴のようなものが発生してしまっていた、と。

 無論小さくて短時間空いてただけのものだから、そこを通れるものなんてたかが知れてるけど……それがラスボスの構成素材であった悪意でできた気であることもまた事実。

 わかりやすく言うと取りこぼし、ということになるわけだと。

 

 

「でも、その程度なら問題にならないんじゃないのかい?」

「単に隠れたってだけならね!でも私は始めに言っただろう、時間遡行だと!」

「えーと、そこうって言うと……?」

さかのぼ()る、という意味の言葉。具体的には一定方向に流れるモノをそれに逆らって進む、という時に使われる表現」

「なるほど、説明ありがとう読書家ちゃん。……つまり時間を遡ってしまったと?」

「その通りー!」

 

 

 とはいえ、そんな小さな穴を通ったものなど高が知れてるのでは?……と疑問に思うことも無理のない話。

 特にハロウィンからそう時間も経過してないのだから、変な問題になる余地なんてなくない?……みたいな気持ちは真っ先に湧いてくるものだと言えるだろう。

 

 そんなテンションを咎めるように、DBさんは再度問題点を指摘してくる。

 ──そう、時間遡行。

 時の流れを遡る──すなわち相手は過去に送られてしまったのだと告げる彼女。

 過去だと何が危険なのか、って部分がいまいちピンと来てない他の面々に、彼女はその問題点を子細に解説し始めて……。

 

 

「なるほど、足りないことを指摘されないとわからない程度の微細なエネルギーであれ、それが飛んでいった時代から今の時代まで続いていたら莫大な規模に膨れ上がる可能性が高い、と?」

「そうだよ!具体的にどれくらい昔まで遡ったのかわからないけど、もし仮に遡った先に都合良く寄生できる相手が存在したら……!」

「この間の吸血鬼なんて目じゃない、それこそ地球滅亡レベルの存在へと成長しているかもしれない、と?」

「その通りだよああもう一体どうすればいいんだ……!」

 

 

 そうして説明し終えたのち、頭を抱えて踞ってしまったのである。

 ……うん、飄々とした人物だと思っていたけど、案外責任感とかあったんだなーと思わず感心してしまう次第である。

 あ、そういうとこも含めてMODさんの祖先、ってことなのかな?

 まぁ、じゃなきゃ長い間誰にも感謝されないのに墓守なんてやってないよなー、というか。

 

 そんな感じで密かに感心していたのだが……どうにもDBさんからすると、悠長に構えているように受け取られたようで。

 

 

「わかっているのかい君ぃ!?このままだと明日か明後日か、下手すると次の瞬間には私達は滅んでしまっているのかもしれないんだぞ!?」

 

 

 と、凄い剣幕で詰め寄られることとなってしまったのだった。

 ……まぁうん、心配する気持ちはわからなくもないよ、けどね?

 

 

「TASさんが今回の話に一枚以上噛んでる時点で、そこまで深刻な話じゃねぇなこれ、って風にしかならないというか」

「……はい?」

「む、お兄さん酷い。私はいつでも世界を守ってるのに」

「へいへい、最終的に滅びなきゃ何してもいいとも思ってるでしょ君」

「むー」

 

 

 ご覧の通り、TASさんが全く気にしてない時点で、他の面々も気にする理由がなくなっているというか。

 ……この辺は新人ゆえの早とちり、ってことになるのかなー?

 

 そう、TASさん。

 彼女が関わっていて、尚且つ止めるタイミングは幾らでもあったのに止めてないということは。

 そのイベントが珍しかったり、はたまた進行上必須のイベントであったりなどの理由が込められている可能性が大なのである。

 

 今回だと──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とか、だろうか?

 そんな話を聞いたDBさんはと言うと、しばらく「ハァ?」と呟き続ける機械と化したのでありました。

 ……急性TASショックですね、お薬出しときますんでお大事に。

 

 

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