うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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何処から作る?船から?島から?

「……長いようで短かった合宿も、今日で最後かぁ」

「今日もなにもない素晴らしい一日だった」

「いや、颯爽と終わらそうとすな終わらそうとすな」

「これが一番早いと思う」

「中身が一切なくなってるだろうが」

「むー……」

 

 

 はてさて、合宿と称した一夏の大冒険……大冒険?も終わりを迎えた日の朝のこと。

 いつも通りの挨拶から始まった今日この日だが、実はやることがまだまだ詰まっていたりするのだった。

 

 

「いやー、君達が居ない間は、生活環境を整えるのに必死でねぇ」

「こっちも似たようなもの。気にすることはない」

「まさか炭鉱夫と化していたとはな……」

 

 

 たはは、と声をあげるMODさんに対し、気にするなとTASさんが声を掛ける。……まぁうん、こっちもこっちで大変だったからなぁ、主に俺の命が()

 

 ……ともあれ。俺達が大変だったように、残された側も大変だったということは間違いないようで。

 聞くところによれば、どう見ても撃沈判定・沈没してないのが不思議な状態を、無理矢理他所の法則で大破判定にまでごまかしていたかのクルーザー。……そんな彼・ないし彼女がそんな無謀なことをできたのは、偏にTASさんとCHEATちゃんが揃っていたからこそ、ということになるらしく。

 

 

「彼女が貴方様を探しに世界を越えた時点で、お二人の共同作業によって保たれていたその船体は瓦解し、哀れな鉄の塊と化してしまったのです……」

「危うく潰されそうになりましたぁ」

「君は運勢を何処かに落としてきたのかい?」

 

 

 思わずダミ子さんにツッコミを入れてしまったのはまぁ、一先ず置いとくとして。

 

 その船体を保つ力を失ったクルーザーは、幻想を忘れ現実に立ち戻り、結果として単なる鉄屑に戻ってしまったのだった。

 ……じゃあ、もう一度二人に共同作業をして貰えればいいのか、というとそういうわけでもない。

 

 

「完全に直してから止めたんならまだしも、中途半端に延命治療しながら無理矢理走らせてたもんだから……」

「ああなるほど、最後の命の煌めきを見せてしまったんだな……」

 

 

 ()()()()()()()はぁ、とため息を吐くCHEATちゃんに、なるほどと首肯を返す。

 ……まぁ要するに、無理をさせたまま動かした挙げ句、そのあと適切な処置もしないまま放置される形となったため、結果として完全に撃沈した扱いになってしまった、ということになるようだ。いわゆる完全消失(ロスト)である。

 まぁ、本当に消えてなくなってしまったわけではなく、『鉄の塊』という別のオブジェクトに変化してしまっただけなので、適切な処置を施せば新生させることはできるみたいだが。

 

 ──新生、そう新生である。

 今俺達がしようとしていることは、すなわちなんにもない所から大型船舶をフルスクラッチすることなのであった。……控えめに言ってバカかな???

 

 何故なら、俺達は船に乗ることはできても、船を作ることに関してはてんで素人。……いやまぁ、船乗りとしても素人だろうと言われると困るのだが、それは置いとくとして。

 ともあれ、俺達は造船技術なんて欠片も持ち合わせていない、というのは間違いなく。

 ……幾ら帰るためとはいえ、それなら狼煙でもあげて近くの船が助けてくれるのを待った方が、遥かに確実に帰還できる方法ということになるわけなのだが……。

 

 

「こういう時ほど、自分の存在を強く意識することもありませんわね……」

「うーん、この人も大概無法者だよねぇ」

 

 

 TASさんだって大概無法なのだが、無法レベルでは普通に追従してくるAUTOさんも大概である。

 ……うむ、どうやらダミ子さんが、

 

 

「はわわ、このままだと無人島に骨を埋めなきゃいけなくなりますぅ!!そんなのやですぅ!!でも船なんて直せませんですぅ!」

 

 

 ……などと口走ったところ、天啓を受けたAUTOさんが、

 

 

「私一人では無理がありますが、皆さんが力を御貸しくださればイケるかもしれませんわ……!」

 

 

 と発言したことにより、島内の使えそうなものを集めて船を作り直そう、という方針になったのだそうだ。

 ……直そう、と言って実際に直せる辺り、どこぞのアイドルグループを思い出す流れである。

 

 

「まぁ、流石にエンジンが完全に壊れていなかったから、という部分も多いのですが」

「燃料タンクもね。……いやホント、真っ二つになってるのにその辺りが無事ってのはビックリだね」

「それは当たり前。システム適用時に撃沈判定が出なかったのは、そこが無事だったからってことだから」

「……あー、システム適用前に壊れてたんならあれだけど、この船が完全に壊れたのは島に着いてからだから、逆説的にそれをリアルに変換すると『エンジン周りは無事だった』ってなるってことか?」

「そういうこと」

 

 

 一応、それが可能になったのは、『島までたどり着くことができた』という事実が現実的な解釈をされた結果、ということになるらしいが。

 件の共同作業は、言うなれば臨時の追加パッチのようなもの。

 いつまでも追加されるモノではなく、影響は残るがそれが使用されたという事実は残らないもの、なのだという。……一応TASさん的にも他所の世界云々の部分は対処してたんだな、とちょっと申し訳ない気持ちになってくるが、それは置いておいて。

 

 ともかく、結果は残るが過程は曖昧になるので、後々世界からの修正が入る、ということになるらしい。

 いわゆる辻褄合わせ、というやつだが、それによって一連のどう考えてもおかしなあれこれは、()()()()()()()()()()エンジン周りが無事だったクルーザーが、どうにかこうにか島にまでたどり着きその後完全に動作を止めた……ということになっているのだそうだ。

 

 なので、船体は完全に瓦解したものの、エンジン部分はそのまま流用できる……という状態になっているのだとか。

 ……都合が良すぎる?TASさんって雑に言えば、ずっとご都合主義な展開を引き寄せるもの……ってことだから仕方ないね!

 

 

「ふふん。もっと褒めて」

「はいはい、良くできましたー。んじゃま、必要素材集めに俺達も岩肌掘るぞー」

「ん、任せて。地球の反対側まで突き抜ける」

「無理なはずなのに、TASさんだとやってしまいそうな気がするのは、一体なんなのでしょうね……」

 

 

 ちょっと胸を張るTASさんを諭して、俺達は近くの崖に向かっていくのだった。

 

 

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