「じぬ゛がど思゛っだ……」
「だろうね!!」
ガタガタと震えるCHEATちゃんの姿に、思わず「バカかなこの子!?」と言いたくなってくる今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか?
俺達は現在、地味に死に掛けてたCHEATちゃんの看病中である。
……いやまぁね?さっきここのオーナーさんのところに行ってたのは、久々にTuberとしての仕事──動画撮影をしようと思ったから、というのはなんとなくわかるのだ。
いわゆる撮影交渉というやつをした結果、うまく行ったんだろうなーっていうのも理解はできる。
分からないことがあるとすれば、なんでそんなに浮かれてたのか、っていうこと。それも、自分がカナヅチであることを忘れるほどに、だ。
彼女、普段の時にはわりと常識人に区分されるタイプでもあるわけで、それほどに羽目を外していた理由が分からない……というわけである。
……逆を言えば、彼女がそれだけ浮かれてしまうようななにかがあった、という風にも解釈できるわけなのだけれど……。
「思い付く人ー」
「……居ませんわね」
「ナンデダヨーワカルダローチクショー!!」
なんということでしょう、だーれも彼女が浮かれている理由に思い至らないではありませんか()
いやー、困った困った。まさかとは思うけど、こんな騒いでると悪目立ちするような場所で、いつものノリでTASさんに挑もうとしてる……なんてことはないと思うから、俺達にはぜーんぜんわからないなー()
「絶対わかってるじゃんその言い草……」
「エッナニキコエナーイ,ゼンゼンリカイデキナーイ!」
「ウゼーッ!!ゼッタイワカッテテトボケテルジャンカコイツー!!」
「うるさいですわ二人とも。こういう場所では、お静かに」
「「……はい」」
……まぁ、そうして彼女を煽って遊んでいたら、案の定二人してAUTOさんからの鉄拳制裁を受ける羽目になったのですが。
でもまぁ、ちょっとエスカレートしていたのは確かなので、反省する機会が与えられたことは良いことだと思います、多分。
ともあれ、さっきまでの反応からするに、やっぱり彼女が許可を取りに行っていたのは、ここでTASさんとの対決を行うためのモノで間違いないだろう。
……折角の休み&遠出なのだから、いつものルーチンワークは忘れて素直に遊んでれば良いのに……みたいな思いもなくはないが、休日であろうとも高みを目指そうとするその姿勢そのものは褒められて然るべきモノなので、とりあえず口を噤む俺なのであった。
「でしたら、最初から黙っていれば良かったのでは……?」
「一度こうやって怒られないと、普段の煽り系Tuberとしての性質が強くなりすぎるだろうからね、仕方ないね」
「注意のためだけに体を張りすぎですぅ。漫画みたいな大きなたんこぶ、私初めて見ましたぁ」
「ん、おそろい」
「「「お揃い……?」」」
「なんでもない。忘れて」
無論、口では良さげなことを言っておきつつ、やってることがさっきのアレなので、こうして生真面目なAUTOさんからは普通にツッコミを入れられてしまうわけなのだが。
……ところで、TASさんの発言がMODさんのツボに入ったのか、滅茶苦茶大爆笑してるんだけど大丈夫だろうかこの人?
「コラーッ!!ワタシヲホウチシテタノシソウニスンナーッ!!」
「おおっとCHEATちゃんがお怒りだ。では気を取り直して……TAS選手、勝負への意気込みは?」
「挑んでくれてとてもありがたい。丁度試したいことがあった」
「おおっと気合い十分です、この時点でいやな予感しかしませんが、この発言を受けたCHEATさんはどうなっているでしょうか?!」
「ハヤマッタカモシンナイ……」
「凄まじく弱気になっていますわね……」
「TAS君は今まで頑なに、海とかに入ろうとしていなかったからね。恐らく、彼女はそれをTAS君が
気を取り直して、改めて試合前インタビュー的なものを行う俺達。
いつも通り挑んでくるもの全部ウェルカム、なTASさんは擬音を付けるのならしゅばばば、って感じの文字になりそうな華麗なジャブを見せ付けている。
それに対するCHEATちゃん、さっきまでとは打って変わって意気消沈。
それもそのはず、彼女が先ほどまで勝利を確信したかのように喜び浮かれていたのは、今までの行動からTASさんは泳げない、と勘違いをしていたがため。
……喜びのあまり、自身が泳げないことまで忘れていたのはどうなのか?……という思いもないではないが、ともかくあまりにも迂闊な勘違いである。
顔面蒼白なCHEATちゃんに対し、いつも通り無表情ながら、ふんふんと鼻歌まで聞こえてきそうなTASさん。
……これ、やる前から結果が決まっているのでは?
そんな言葉を飲み込みながら、二人が試合を開始するために移動していく、その後ろ姿を見送る俺なのであった。
「……いや、溺れるのがわかってるんだから止めるべきでは?」
「……泳げないって再認識した上、滅茶苦茶意気消沈してるのにも関わらずそのままスタート地点に向かってる辺り、なにか策があるんじゃないの?」
なお、そのまま見送ることにMODさんからのツッコミが飛び出したが……流石に同じ失敗は繰り返さないだろう、と認識していた俺は、その事を伝えることで皆を納得させることに成功したのでしたとさ。