うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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大真面目に頓珍漢

「……そういえば、向こうは大丈夫なのかねぇ」

「ピガガ……ダイジョウブデス、モンダイハアリマセン」

「お、おぅ……」

 

 

 みんなが学校に行ってしまい、家で手持ち無沙汰にしていた俺であったが、そこはTASさんが寂しくないように……と置いていってくれた一分の一TASさん人形が会話相手になってくれていたため、楽しく過ごせて(?)いたのだった。

 ……いやまぁ、実際には人形ってよりどう見てもロボなんだけど、正直下手にツッコミを入れてわけのわかんない状態になるよりゃマシかな、というか。

 

 ともあれ、向こうの様子が気になる、というのは別に誇張表現でもなんでもない。……突然に巻き込まれる形となったダミ子さんについては特に。

 

 いやだって、ねぇ?

 ダミ子さんは健全な青少年には目の毒でしょ、どう考えても。

 だってスイカだぜ?あんなん思春期に見せられたら色々おかしくなるわ。

 一応、TASさんになにか秘策がある……とのことだったのだが、下手するとみんなの目ん玉を爆散させる、みたいなとんでもないことをするのが彼女なので、そういう意味でも心配だし。

 

 とはいえ、俺に向こうを確認する術はない。……っていうか、あったとしても青少年の学舎を覗き見る形になるので、俺が不審者扱いされそうだからやれないって面もあるわけで。

 こういう時、他のメンバーと年代が違うのって難儀だよなぁ、なんてことをぼやきながら、俺はテレビの電源を入れるのであった。

 

 

 

・A・

 

 

 

「……むっ、少しビビっと来た」

「なにが来たんだい?」

「説明をしろ、というお告げ。主にダミ子の扱いについて」

「なんだいそのお告げ?」

 

 

 首を傾げるMODを微妙にスルーしながら、TASは話題の人物──ダミ子の方に視線を向ける。

 

 少し前にプールに出掛けた時、衆目を集めに集めたのが彼女である。

 その理由はまぁ、あまり声高に叫ぶものではないが……彼女のある部分が、あまりにも衝撃的であったからというところが大きいだろう。

 もし仮に、なんの対策もなしにこの学校にアレを解き放ってしまっていたならば、健全な青少年達の目は焼き爛れていたであろうこと違いあるまい。

 ……なお、この場合の焼き爛れるとは、文字通りTASが不埒者達の目ん玉を薬品とかで焼く、という意味である。

 

 猟奇的すぎやしないかなぁ!?……というMODのツッコミを更にスルーし、TASは黙考する。

 無論賢い彼女は、そんなことをすれば色々ヤバいことになる、ということは理解しているため、そんなことにならないように予め手を尽くしていた。

 

 ……とはいえ、できる対処というものは限られている。

 今のダミ子の姿は、元々別世界のサンタクロースの()()を写し取ったものである。一部分がなんか強調されまくっているような気がするが、概ね間違いはあるまい。

 

 ここでの問題は、それ以外の姿に変じさせるには、それなりの準備が必要だということ。

 ダミ子の姿は迂闊に変更させられるものではなく、またこの姿以外のコピー元が都合よくこの世界にやって来る、という可能性は期待できまい。

 それをするためにはまず彼女の姿を崩す必要があり、その時点で姿を変える必要性、という前提が崩れてしまっているからだ。

 

 今の彼女の姿を変えないというのが最低条件である以上、身体を書き換えるという手段を取ることはできない。

 つまり、なにかしらごまかすにしても、そのままでは場当たり的な対応しかできない、ということ。

 ──物理的にもぐ、というのは言語道断というわけである。

 

 ななな、なに恐ろしいこと言ってるんですかぁ!?……と泣き叫ぶダミ子はスルーするとして、TASは更に黙考する。

 体型を直接弄れない以上、できることは一つ。……とはいえ、それをするためには足りないものがあった。

 そのための技術は今の世界にはなく、どこかから持ってくる必要がある。……しかし、そのための扉は自身が危険と判断し、閉じてしまっている……。

 

 これは困った、そう考えた彼女は、考えに考えた末に──()()の存在を思い出した。

 そう、それに使われている技術はまさしく現状に必要なものであり、それさえあれば全ては解決すると言えた。

 ゆえに、彼女はそれを使い、とあるものを作り出した。それこそが、

 

 

「異次元ブラ~」

「なんだいそのダミ声。というか色々危なくないかい?」

「大丈夫、制服にアレを収めようとするより危なくない」

「いやあの、あんまり話題にしないで欲しいんですけどぉ?!」

 

 

 そう、使ったものはサンタの袋。

 内部にモノをたくさん収納できるそれは、ほっとくと制服のボタンをぶっ飛ばしかねないそれを隠すには、あまりに最適な素材であった。

 それを使って作られた下着は、彼女の目立ちすぎる部分を異次元格納することにより、まさかの板レベルにまで見た目を変化させることに成功。

 ……存在を別空間に格納することで、肩への負担までも軽減するそれは、もし製品化することに成功すれば欲しがる人は山のように居るに違いない、まさに至高の逸品なのであった。

 

 

「少なくとも変な目で見られなくなる」

「ああうん、そんなつもりがないのに見られる……というのが大問題だ、というのはよく聞くからねぇ。……いやでも、アレがまな板になるのはちょっと衝撃的だなぁ」

「従来のそれと違って、無理矢理平たくするってわけじゃないので苦しくないのもいいですねぇ」

 

 

 女性だけの空間だと、わりとエグい話をしていたりする……。

 そんな言葉が浮かんでくるような三人の会話は、特に誰の耳に入ることもなく、虚空へと消えていくのであった。

 

 ……同時刻、何故かよくわからないけど安堵した男性が一人居たとかなんとか。

 

 

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