「その辺りの話はこれくらいにして。ここが購買」
「わぁ、懐かしい記憶が蘇りそうな場所ですぅ」
「本音は?」
「正直なんにも思い出せないので、とりあえずメロンパンだけ買っておきたいですぅ」
あれこれと会話をしながら、三人がたどり着いたのはいわゆる購買と呼ばれる場所。
時間帯が少しずれているため、今は閑散としているが……昼休み時になれば、生徒達が食事を買いに来るため、結構賑わう場所でもある。
……なお、ずれた時間にやってきた理由は、そうして人がごった返すのを嫌ったから、というところが大きかったり。
ともあれ、折角来たのだからなにか買っていこうか、と品物を物色し始めたダミ子の横で、TASはいつも通りの日課を始めていたのであった。
「……いや、なにをやっているんだい君?」
「アイテム欄を十行目まで埋めて、セレクトボタンを──」
「もういい、わかったから止めるように」
「ええー、消しゴム補充に丁度いいのに」
「やってることが随分とみみっちいな君?!」
その日課と言うのが、各種
無論、それらの品物に対しての金額は先払いしてるので、どちらかと言えば『モノを買う』というシステムを借りるための行動、ということになるのだが……その辺りを知らないMODからしてみれば、ヤバいことをやっているようにしか見えず、思わずツッコミを入れてしまうことに。
……こういう時、彼女に対するマニュアルを読み込んでいる(ようなものである)かの男性と、そうでないものとでの対応の違いというか、対処ミスとでも言うものが出てしまうわけで。
どこか遠くの部屋の一室で「あっ、なんか知らんけどヤベー予感がする……っ!?」と謎の悪寒を感じた男性が居た一方、自分が選択ミスしたことを理解していないMODは、TASの凶行を止められたのだと(勘違いして)安堵のため息を漏らし。
「──わかった、ちょっと豪勢に行く」
「……ん?あれ?おかしいな止まらないぞこの子?……えっちょっまっ、なに?なにしてるのそれ???」
次の瞬間、彼女の目の前で色んな商品が増えては減って減っては増えて、という異常な挙動を見せていることに気が付いてしまう。
それはもう、コンマ秒単位で増えて減って減って増えてする消しゴムやら鉛筆やら下敷きやら、そんなおかしな状態を見せられてしまっては彼女も流石に自分がミスったのだ、と悟ること頻りであり。
止めなければ、とようやく彼女が正気を取り戻した時には、既に全ては終わってしまったあとなのであった。
「完成。壁抜けアイテム、お値段Ⅲ#∀Δ円也」
「ツッコミ処しかないんだが!?」
主にそれって店で売ってるのかとか、それって何円なんだよとか。
……ともあれ、TASが思わずごまだれーとでも言いそうなポーズで頭上に掲げたのは、一見したところ単なる消しゴムであった。無論、なんか七色に輝いているってところを除けば、だが。
いわゆるゲーミングアイテム、ということになるのだろうが……何故だろうか、あれらの商品に共通するバカバカしさとか笑えてくる空気が一切なく、おどろおどろしい邪神とかを信奉している感じのBGMが似合いそうな感じになっていないだろうか?
あれだ、実はアイテム名が『銀の鍵』とかでもおかしくなさそう、というか。
「?赤じゃないの?」
「なんで赤……?」
「折角選ぶのなら赤がいいって聞いた」
「よくわからないけど……そもそも、名付けるのなら『虹の鍵』だろう、どちらかというと」
「それもそう。それで、この
「……わぁ、単純でわかりやすい説明」
話が逸れたが、元々この
「──はい、あげる」
「えっ、ちょっまっ、あげるってこれどうやって使ミ゜」
「……あり得ない速度で上に吹っ飛んで行っちゃいましたですぅ」
「……失敗した。アイテム作成後にデータの初期化をし損ねてたから、多分上方向の加速度が入りっぱなしだった。……このままだと成層圏まで飛んでいったあと、そこから地上に落下してくる」
「……死にませんかぁ、それ」
「移動中は※かべのなかにいる※にならないように、生命保護が働いてるから大丈夫。問題なのは地上への落下時。機能を切らない限り死にはしないけど、重力には従うからそのままほっとくと地球の中心部までまっ逆さま」
「ああなるほど。地球中心部までの旅路を敢行した挙げ句、そこから帰ってくる術がなくなるんですねぇ?」
「操作方法説明する前に吹っ飛んだから、仕方無い。……一応、また上方向の加速度を代入すると戻ってこれる」
「……それ、外部から操作はできるんですかぁ?」
「できない、無理」
これくらいならできるぞ、と見せ付ける用途が主であり。
ゆえに、それをMODに渡してしまうのは既定路線。……
……その後、全透過状態で捕まえるのにも苦労するMODが落下してくるのを、どうにかして(具体的にはダミ子にあれこれ代入して変身させて)キャッチしたTASは、やっぱりダミ子は使える……と一人確信していたのであった。
「……そこは懲りろよ!」
「まぁまぁMODさん。TASさんがそれくらいで懲りてたら、
「君は君で軽いな!?」