「いやー、落ち葉集めをしよう、なんていきなり言い出すからなにを考えているのやら、と思ってたけど……」
「ん、そこはかとなく許可を取るのが一番面倒臭かった」
「まぁ、勝手に燃やすと怒られますからね、今のご時世」
とある休日のこと。
部屋でのほほんとテレビを眺めていた俺は、唐突に扉をすぱーんと開いたTASさんに連れられ、気が付いたら……さつまいもを落ち葉で焼いていた!
なにを言ってるかわからんと思うが、正直言葉通りの意味でしかないので解説しようのない俺である。
まぁ要するに、落ち葉でさつまいもを焼こうとTASさんが思い至った、というだけの話なのだが……突拍子もなかったので困惑するのも仕方ないというか?
なおあまりにも突然の行動であったため、今回は俺とTASさん以外には、AUTOさんとダミ子さんの二人しか居なかったりする。
他の二人(CHEATちゃん・MODさん)はおやすみである。
「いいですよねぇ、さつまいも。しっかり焼くのは意外と難しいですけどぉ、上手く行くとほくほくなんですよねぇ……」
「ん。ダミ子はすっかり食い気優先」
で、いの一番に言い出したTASさんが(比較的)目を爛々と輝かせて集まった落ち葉を見つめているのに次いで、その総身から待ちきれないオーラを立ち上らせているのは、なにを隠そうダミ子さんなのであった。
……いやまぁ、初対面の時にデザートの前であれこれ悩んでいたこともあり、人によっては隠すもなにもって思いそうではあるのだが。
こう、以前よりも遥かに食欲への抑えが利かなくなっているような、というか。
「……空腹度のパラメーターがおかしくなった、などということはありませんわよね?」
「え?……え、ええー。いやいやそんなまさかぁ。単に私はですね、きっとTASさんが焼き上げるさつまいもなら、それはそれは美味しいのだろうなぁと思った次第でして……」
「ん、焼けた」<ポーイ
「え?……ぬわっ!?あっつ……くない!?」
「瞬間放熱……だと作り置きと大差ないから、アルミホイルに外部への断熱効果を付与した」
「なんかまたわけのわからんもの作っとる……」
なので、
それに当の本人が、『そんなわけない』と──自分の体のことながら、若干以上に不安げな空気を滲ませつつ、それでも笑顔で答えを返し。
言い訳なのかはたまた本気でそう思っていたのか、どちらなのか今一分かり辛い言葉を吐いた彼女に、TASさんが軽く放ったのはアルミホイルに包まれたさつまいも。
……さっきまで落ち葉の中で蒸し焼きにされていたそれは、とてもではないが素手で掴めるはずのないもの。ゆえに突然それを握ることとなったダミ子さんは、大きな悲鳴をあげ……ようとして、実際にはそのアルミホイルが寧ろ冷たいことに気付き、首を傾げるのだった。
……まぁうん、TASさんのことだからなにか対策はしてるんだろうな、とは思っていたが。それにしたって突然凶器めいたものを放るのはビックリされて当然なので、ちょっと説教めいた話をすることとなったがそれは置いといて。
ともあれ、さつまいもである。
どうやらしっかり焼けているかどうかを確かめさせる意味も込めて、さっきからわりとがっついていたダミ子さんに毒味……もとい味見の役が回ってきた、ということになるようだ。
「えと、いいんですかぁ?」
「大丈夫。ずずいっと。一息にどうぞ」
「いや、一息は無理じゃねぇかな?」
どうぞどうぞ、とダミ子さんにさつまいもを食べるよう促すTASさん。……なのだが、流石に一息には無理だろうとツッコミをいれざるを得ない。
アルミホイルが冷え冷えだからといって、中身まで冷えているわけではないのは先程彼女が言った通り。
ならば、中身の熱さによって食べきるにはそれなりの時間が……。
「では失礼して。いただきまーす」
「本当に一息で食った!?」
「おお、上手上手。計画通り」
掛かると思っていたのだが。
ダミ子さんは器用にアルミホイルの中のさつまいもの皮を剥き、そのあと空中にそれを放ってぱくり、と可食部分を一息に食べきってしまったのであった。……いや今物理法則無視しなかった?あとなんかTASさんが不穏なこと言ってなかった???
困惑しきりの俺の目の前で、異変は起き始めていた。
さつまいもを一息に食べきったダミ子さんは俯き加減に下を向き、わなわなとその体を震わせている。……気のせいでなければ、その体が徐々に大きく……いや広がっているような?
謎のオーラを立ち上らせながら徐々に震えを大きくするダミ子さんの姿に、先程のTASさんの言葉が聞き間違いでないことを悟り。
そうして、AUTOさんと目配せをして、なにが起きても対処できるようにと身構えようとして。
(……う、動かん!体が!一辺たりとも!!)
(こ、これは一体……!?)
(ムービー中だから。動けないのは当たり前)
((ムービー中!?))
突然、自分の意思で体を動かすことができなくなり、思わず目を見開くことに。
そうして脳内に響いてくるのは、TASさんの今の状況を説明する声。……こいつ、勝手に脳内に……?!
冗談はともかく、ムービー大嫌い勢()のTASさんが、特に慌てることも不機嫌になるでもなく現状を傍観している、という辺りに違和感を覚えつつ、なんにもできないので仕方なく前を見る俺である。
状況は現在、ダミ子さんが大体二倍くらいの大きさになり、俯いたその顔──眼窩や口腔から、目映い光が漏れていることを目視で確認できる、というもの。
正直ここからなにが起きるのかはわからんが、絶対ろくでもないことなので本音を言えば逃げ出したい。……まぁ体が動かんので逃げられないんだけどね!
「うーまーいーぞーぉー!!!」
「うわぁビームだ!!ビーム出しやがったこの人!!?」
「地球がー!!地球そのものがーっ!!!?」
で、最終的に起こったのがダミ子さんの顔の穴という穴からのビーム掃射。
それは大地を抉り、空を割り、まさに天変地異・世界の終わりを体現するかのような規模のモノであり──、
「で、貴女達が来て
「「……なんて?????」」
……他のプレイヤーを利用してのイベントスキップの練習だったんなら、最初から言って欲しいな!?
的なお叱りを投げ付けましたが、TASさんは「最終的に無事だったんだから問題はない」と取り付く島もないのでありました。