うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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ゲームの秋、日本の秋

「今日は初心に帰って、ゲームクリア時間の短縮を狙っていく」

「なるほど。では今日やるゲームは?」

「とりあえず初代の『携帯できる怪獣』を……」

「うーんめくるめくバグの予感」

 

 

 というか、前も別の時にやってなかったっけそれ?……とツッコミを入れたところ、TASさんは微妙な顔をしたのちに『じゃあ、別のにする』と声をあげたのだった。

 

 というわけで、今回は遊びの秋……もといゲームの秋である。

 リアルでTASしたら、それは最早RTAなんよ……という言葉の通り、今日の彼女はTASと言うよりかはRTAさん、という趣なわけだが……いやでもやっぱりTAS技前提でやろうとしている辺り微妙だな?……などと首を傾げないでもない俺である。

 

 

「むぅ、サイコロは乱数的な問題でピンゾロ揃えるのに制限があるし……」

「ツッコミたいところは色々あるけど、個別乱数じゃないのな」

 

 

 あるいは、個数が多すぎると処理が面倒とか、他の処理に影響を及ぼすとかか?

 ……まぁともかく、当初の予定が崩れたため、なにをしようかと悩み始めたTASさんに対し、それじゃあと俺が提案したのが……。

 

 

「シリーズものの初代から順にRTA……それ、下手すると一日で終わらないこともあるよ?」

「まぁ、TASさんなら大丈夫でしょ」

「むぅ……」

 

 

 某キングコングをモチーフにしたゴリラのゲームを、初代から最新作までぶっ通しでTASる……というものなのであった。

 まぁ、普通にやったら一週間あっても足りるかわからんが、TASさんなら多分大丈夫大丈夫。

 

 ……と、言うわけで。

 微妙に照れたような表情(当社比)をするTASさんに首を傾げつつ、彼女のゲームプレイを横で鑑賞する俺である。

 

 

「……そういえば、シリーズものの初代からだと、思いっきりオマージュ元の影響バリバリの作品からやらなきゃいけなくなるんだな……」

「後の方の作品で都合あと二回やらされる。正直げんなり」

「なんで?」

 

 

 なお、今回の一連のプレイはいわゆる完全攻略(100%)であるため、ちょっと手間が多い……と述べながら、TASさんはさくさくとプレイを進めて行くのであった。

 

 

 

・A・

 

 

 

「……やってたのゲームなんだよね?」

「そうだね。今見ても綺麗な2Dゲームが豊富だから、意外と盛り上がったよ?」

 

 

 さて、RTAやらTASやらを名乗ってゲームをするのだから、その動画を撮って記録を認めて貰おう、みたいなことを考えるのはそうおかしな話ではない。

 なので、そうして撮影した動画を確認していたのだが……それを横目で見ながら、CHEATちゃんが不思議そうな顔でこちらを見つめてくる。

 なにが気になったのだろうか?……と首を傾げていると、彼女は画面を──ついでに幾らか体裁を整えて動画サイトに投稿した、記録云々とは別に『みんなで楽しむ』ことを目的とした動画の、そこに流れるコメントを指差しながらこう告げるのだった。

 

 

「……野球の単語があったり、歴史の用語があったりするのはどういうことなの……?」

「んー……」

 

 

 ああなるほど。そういえばこのゲーム、バグによる特殊な移動に付けられている名前が微妙に聞き馴染みがあるものが多いのだったか。

 そう思いながら見つめる画面上を流れているのは、バントの構えから切り換えて玉を打つ打法とか、元はとあるギャグマンガに出てきた技によく似ていたために名付けられた、飛鳥次代の名前を冠した移動法とかの名前。

 ……後者に冠しては、その発展系に『時代が大化から大宝に変わる時に起きた国政改革』の名前を付けるきっかけになったりしているが、そこら辺を知らない人からすると、まったく無関係の動画でまったく関係の無いスポーツや歴史の話をしていることになるわけで……って、あ。

 

 

「なに?」

「いや……こういうのもこう、スポーツと政治の話は荒れるから止めとけ、ってやつになるのかなーって」

「はぁ?」

 

 

 野球の単語なのだから、スポーツの話だというのは間違いないだろう。歴史の話についても、改革云々の部分にまで及ぶのだから、政治の話だと言えなくもない。

 ならば、それらを兼ね備えたこのゲームの話が、ある意味『荒れる』モノであるのもまた、当たり前のことなのかもしれない。

 

 

「……説明すんの面倒臭いってハッキリ言えばよくない?」

「はっはっはっ。──君にもそれやって貰うからよーく覚えておくように」

「へ?はっ!?え、あっちょっ、やだ!!私やだ!!こんな1Fひたすら擦り続けるようなゲームやらされるの私やだ!!」

「はっはっはっ。君に拒否権はないぞー」

「あっばっ、ふふふふざけんなぁっ!!!?」

 

 

 なお、ご覧の通り話を逸らすことには失敗したため、最終手段に訴えかけることになったけどなにも問題はありません。

 ……お前も怒りのテーマを流しながら蜂の巣の中を突撃するんだよ!!

 

 

「……なんであの方は説明を厭がったのです?」

「単純に説明するべきところが多岐に渡るから、だと思う。暈しきれない、みたいな?」

「えー……?」

 

 

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